表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/61

後日談とオレ

ヤマトの勇気が世界を救うと信じて、

ご愛読ありがとうございました。

 オレがごろごろとベッドでねっころがってゲームをしていると、ピンポーンとチャイムの音がした。

 当然無視した。

 だってパジャマだし。

 昼間っから不健康この上ないがかもしれないが、これがオレのナチュラルだし。

 休みの日ぐらいリラックスしておかないと、また妙な白昼夢見るかもしれんしなぁ……。


 いやさ、この前教室で地理の授業中にどうやら爆睡したらしくってさ。

 爆睡つっても目が覚めた時は黒板の文字は寝る前と比べて一つも増えてないし、時計の針も記憶してた時間から(早く終われーと思いながら見てた)ちっとも進んで無かったし、まぁ、要は何も変わって無かった。

 ぶっちゃけ夢オチだった。


 夢オチかよ!!


 いや、最初にあの白昼夢見た時にこりゃ夢オチか異世界召喚か、どっちもやだなーとは思ったけどさ。

 マジで夢オチとは。びっくりだった。

 自分にあんな妄想癖があったのもびっくりだったけどさ。

 うん、でも夢とはいえご飯は美味しかったから良しとしよう。夢だから食べても太らなかったし、お得ってなもんである(念のため家帰ってから体重計使ってみたけど増えて無かったし、ついでに伸びても無かった……いいもん)。


 ピンポーン。


「ナカバー、宅急便出てー」


 うわ、めんどくさ。


「ヤダー」

「やだーじゃないでしょ。早く行きなさい」


 親は横暴だ。

 まぁここでごねても後で一発殴られる可能性があるし、この事で明日までねちねち説教されるのもめんどいし、かったるい。

 オレは起き上がって、パジャマの上にパーカーとズボンを着る。


 ピンポーン。


 はいはい、今行きますってば。


「宅急便でーす」

「あ、どうも。お疲れ様です」


 お、知らん人だ。この地区の担当変わったんかな……。


「こちら間違いないですか?」

「あ、はい」

「ではサインをお願いします」

「はいはい」


 ナカバ・マサキ……っと。

 サインを終えると宅配のあんちゃんは「ありがとうございましたー」と爽やかに挨拶して去って行った。

 元気だなぁ。

 しかしどこからの宅急便だ? 

 差出人確認するの忘れてたけど、まさか変な教材とかじゃないだろうな?

 中身は「衣類他」。ってことは、また母親が通販で何か買い込んだんだろうか……ん?


「オレ宛てじゃん」


 差出人は……見覚えないな。

 セシー○じゃなくてセシェン。セシェンってどんな会社だっけ? てかそんなのあったかなぁ。


「む?」


 おお、そうか。

 ポムと手を打つ。


「何だ、セシェン君か」


 はいはい、忘れてましたよ。


「……って、はい?」


 え?

 アレって夢オチとかじゃなくて?

 いやいや、冷静に考えれば名前がダブっただけだろう。世界は広いんだし。

 いやぁ、世の中偶然ってもんがあるんだなー、とか思いつつとりあえずマイカッターを取り出してジャキジャキと梱包を開く。

 でーんと万能包丁が鎮座していた。

 下には夢の中で俺が馬鹿買いした洋服と同じものがみっちり詰まってる。


 ……あれぇ?


「これも、偶然? ……あ、何か手紙とか入ってるし」


 封筒を開いて、中身を取り出してみる。なになに?


 時候の挨拶に始まって、延々折り目正しく続く文章を要約すると、オレの服だからこっちに送りました。元気でね、と言う事らしい。

 差出人は、セイリオス・セシェン・セイラム・セフィンクス・シリウス聖王近衛主任。

 

 ……。えーっと。つまり。


「夢オチじゃなかった、って事……ですか? これは」


 痕跡皆無だったから、夢か妄想か、オレこんな夢みるなんてどんな欲求不満かと珍しく悩んだけど。

 この万能包丁、この服の山、この手紙。

 ここまで証拠がずらずら並んだら、名探偵でなくても分かる。

 夢じゃ無かったって事。


「ふむ……」


 でも、これだけだと何かいまいち落ちつかないと言うか、物足りないと言うか。

 こういう場合絶対奴が出張ってこないはずがない。どっかにオチが用意されてるはずなんだが。

 オレは箱から万能包丁と手紙だけ取り出して、中身をバサァーっとひっくり返して床の上にぶちまけてみる。

 うーん、他には何もなしか。

 そうすると包丁か? いや、これには特に仕掛けとかなさそうだな……刺したら刃がひっこむビックリ包丁かもしれないけど、それは試すリスクが高すぎるし。

 そうなると、だ。

 オレは手紙の入っていた封筒を開いてひっくり返してみる。

 メモが一枚ひらりと出てきた。

 きゃっち……て待てコラ逃げるな。どこいったー!!


 ……で、何とか見つけたメモには紫の文字が一行だけあった。




『インスタントコーヒー、一つ。忘れるなよ』




「本当に珈琲好きだな、あんたはさ」


 うん、やっぱこうじゃなきゃ「面白くない」よな、デュラン。


 

【作者後記】

目が覚めて夢が夢だと分かるのは、そこに夢の痕跡が何もないから。

だから、夢でないと分かる為には何かがそれを教えてくれないといけないと思うのです。


思いつきで始めたナカバの異世界生活ですが、皆様のお陰をもちまして一先ず此処で完了です(今度こそ本当ですよ)。


訪れて下さる人がいる事が、

お気に入り登録して下さる人がいる事が、

メッセージを下さった人が居た事が此処まで来る原動力になりました。

ありがとうございました。


皆様へ、心よりの感謝をこめて。


作者拝

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ