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前哨戦とオレ

間に合わなかった……おのれプロバイダーめ……

すみません、お待たせ(?)しました追及編です

 促されて、オレはうーんと唸ってソファーの背もたれの方へ体を傾ける。

 キシ、とスプリんが軋んで心地よい反発のクッションがオレの体を受け止めてくれる。

 革張りより、こう言う布系の肌触りの方がオレは好きだ。

 さらっとしてていい。


「聞きたい事はさ、突き詰めると一個だけなんだけどね」

「ふむ?」

「先に幾つか質問して良い?」

「どうぞ」


 優婉に微笑むデュラン。

 元が男か女か分からん顔してるだけに、こう言う表情が妙に似合うの。

 何か悲しくなってきた。


「……ナカバ?」

「はぁ……」

「どうした?」

「いや……うん、じゃあデュランに魔族は逆らえないらしいよね」

「あぁ……」


 取り合えず遠回りすることにしたオレの質問にデュランは小さく苦笑する。


「正確には自意識を正常に保ち難くなる、と言うべきか。セシェンが起こしていた魔力酔いの状態だな」

「んーと、あれって結局どう言う事だった訳?」

「文字通り「酩酊」状態だ。正常な思考を失い、渇望……一種の飢餓に似た衝動を引き起こす。元より俺の力は奴らにとってはネコにまたたび、アル中にアルコールのようなものだからな」


 俺の力、ね。

 しかし、身も蓋も無い例えだな、相変わらず。


「通常状態でも一定時間以上近くに居る程に正常な判断力を失い、無条件に支配されることに喜びを感じるようになる。洗脳、服従、隷属……まぁ訓練次第である程度この呪いからは自由になれるがな」

「ふむふむ。じゃあさ、もう一個質問」

「どうぞ」

「あんたのチート能力……あの指パッチンって魔法? それとも魔術?」

「ふむ」


 オレの質問にデュランは一度瞬いて、それから目を伏せた。


「やはりお前は実に面白い」

「いや、そんな某物理学教授の台詞みたいな事言われても……」


 原作お勧め。実に面白い。


「答えは魔術、だ」


 最初からそう言えよ。


「まぁ、魔術自体は随分古い方法論だからな。今時使うのは俺ぐらいだろう」

「というと?」

「そもそもこの魔術という概念が発見されたのは今から数千年ほど前の話になる。このキューブが開発され、プチプーペの作成原案が出来たぐらいの時期だな。世界を解析する試みというのが当時なされていてな」


 姿勢を変え、組んだ膝の上に手を置いてデュランは何処か面白がってるかのような表情で語る。


「その研究の副産物として発見されたのが「魔術」だ。魔法がC言語ならば魔術は機械語というところか……根本に近く、その分理解しなければ扱えぬ難物だ。もっとも、この魔術を含めた当時の研究成果は、研究者当人が志半ばで事故死した事と、難易度の高さ、そして経過年月の関係で現在は散逸、或いは変形し、当時の形のまま残っているものはほぼ零と言っていい」

「へぇ、でもよく知ってたねそんな古い技術」

「あぁ、一応開発当時に現場に居たからな」

「ふーん……で、あんたいくつだっけ?」

「24」

「この期に及んでまだ言うか」


 数千年ほど前の技術の開発当時に生きてたってさっき言ったばっかりじゃん!


「ちなみにセシェン君は幾つ?」

「あれか? 確かまだ227歳ぐらいだったと思うがな」

「あんたとどっちが年下?」

「セシェンだな」

「……じゃあ、あんたは何歳?」

「永遠の24歳だ」

「はいはい、何かもうどうでも良いですよ」

「何だ、若さの秘訣でも聞いてくるかと思ったんだがな」

「別に興味無いから良い」


 こちとらとれたてピチピチカニ料理……ならぬ現役学生だし。

 普通に年とって、将来は「今時の若いもんは」とか愚痴りながら茶すするのが昔からの夢だし。


「変わった将来の夢だな」

「うっさい」

「まぁ、悪くない夢だな」


 パチンと指を鳴らすデュラン。

 オレの前にテーブルに乗っかったホットミルクが現れる。


「少し飲んでおけ。長い話になりそうだからな」

「どうも」


 舌火傷するとカッコ悪いので、表面をよーく吹き冷ましてスプーンで掬って少しずつ飲む。

 猫舌の悲しさって奴だ。


「まぁ、魔術自体はベーシックなものだ。構成はシンプルだがそれ故に理解していないものには使いづらい。その為にその発展形として作られた簡易版が今の魔法になるわけだ」

「はぁ」

「自動販売機を使った事はあるだろう」

「当たり前」

「コインを入れてボタンを押せば、欲しい飲料が手に入る。この手順が通常魔法の法則とされているものだ」

「ふむ」

「しかし、実際は自動販売機内部へ飲料を補てんしたり……まぁ、ボタンを押すことによる稼働、そう言った物を経て飲料が購入者の手元へ届いている訳だ。この背景での動きが魔術になる」

「あー、うん何となく分かった」


 ボタンを押す、出る。これが魔法。

 そのボタンを押すと出る背景には色々な仕組みがあって、その仕組みとか機械とか材料とかをつくる過程から始まるのが魔術と言う事か。

 なるほど、すっげー不便そうだ。

 どうりで廃れる訳だよ。めんどいもん。


「汎用性は魔術の方が広いがな」

「ふーん……で、魔術を使うのはあんたの懐古趣味だって言いたい訳? それとも汎用性?」

「懐古趣味、か。まぁ否定はできんな」

「でもそれだけじゃないんでしょ」


 苦笑したデュランにオレは続けて言葉を重ねる。

 言っていいのか分からない。

 けど、ここを逃せば言えなくなりそうだ。


 だから踏み込む。



「デュラン、あんた魔法、使えないんじゃないの?」



 

【作者後記】

ネット環境の復旧で真っ白に燃え尽きました。

こんばんは、自分で言っておきながら昨日中に間に合わなかった作者です。


接続は切れ、メールサーバーは動かず、小説を書こうからはログイン記録が消え、おまけにパスワードが思い出せず、ついでにお腹を下し、足を通勤途中にやられてまともにあるけません。

泣きたいです……折角のGWに向けて仕事片付けたのに……。


愚痴ばかりになりましたが、ナカバがポイントの一つに切りこんできました。

次から徐々に狭めていきます。そのはずです。


遅ればせながらお気に入り登録ありがとうございます。

ご訪問の皆様へ感謝を。

皆さんの身に災難が降りかかりませんように。


作者拝

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