表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/61

探検とオレ

 いやー、食った食った。

 正直食べすぎたかもしれない。これは体重計が怖いぞ……まぁ、体重計なんて4月の身体測定から乗った事無いけどね。体重ぐらいで騒ぐな。むしろ問題は身長だろう。

 とはいえ、食べすぎは体に良くないので運動を兼ねてその辺をぶらぶらすることにした。

 セシェン君から「中見てみたら?」という発言があったと言う事はデュランからの許可はもう降りてるんだろうし、実際ちょっぴり興味が無くも無いのだ。

 探検ごっこ。

 「いい歳してどうよ?」とか「むしろオレみたいなのうろうろ出来るって警備面でどうよ?」とか思わなくも無いのだが何せオレは暇だし、どう頑張ってもオレの細腕でデュランをどうこうできるとも思えないのでまぁ問題無いんだろう。

 ちなみに各部屋はこのキューブが一種の通行許可証になってて、実は普通の魔族じゃ入り込めないんだそうな。

 つまりオレか、セシェン君か、もしくはデュラン本人。

 どうしてもキューブ無しで入り込みたいなら、デュランからケツジュとかいう宝石を受け取る事。

 ただしこれはデュランがヒッキーなのでほとんど不可能。

 外に広がってる柏の森に踏み込む事自体、相当な度胸が必要らしいから実質ここは陸の孤島だってことだ。


 ちなみにオレの部屋はオレのキューブが無いと入れないし、オレのキューブでは危険物がある所には入れない。で、デュランの部屋とラボについてはセシェン君もオレもデュランがOKしなけりゃ何処にあるかすら分からないのだそうな。

 ま、余談だけどね。



 ってことでオレは現在もそもそと館内を移動している。

 客室フロアは見ても仕方ないので、今居るのは歴代魔王のコレクションの展示フロアである。つってもただ2階に上がっただけなんだけどね。

 いやー、しっかし金持ちってやる事何処でも一緒なんだなぁ。

 絵、彫刻(何か訳分からん形してた。多分そう言う魔族が居るんだろう)、宝飾品(屋久杉でもぐるっと囲えそうなサイズだったけど多分首飾りだろう)、衣服。

 うん、何か美術館でも見学してる気分だ。

 どれも今でも使えそうにしっかり手入れされてるっぽいが、これは多分セシェン君の努力の賜物だろう。

 取り敢えず疲れたので展示してあった椅子に座って休憩する。

 飲み物持って来れば良かったな。


「えーと、どれどれ。うわー、まだけっこう見る所あるじゃん」


 キューブを起動して館内マップを呼び出す。

 無駄に広いんだよここ。

 本当に。

 絶対2人用じゃねぇだろ。いや、あれはデュランのわがままだっけか。

 動く歩道でもくっついてれば良いのに。


「えーと、こっちがデュランの収集物コーナーか」


 靴を脱いで素足をぶらぶらさせながらオレは独りごちる。

 独り言が多いのは昔っからだ。


「ふむ」


 美術品を見るのは嫌いじゃないが、どっちかと言うとデュランのコレクションがそろそろ気になる。

 何でかと言うと、デュランのコレクションについてセシェン君がこんな風に言っていたからだ。


 いわく、「陛下は人間の使う物を集めていらっしゃる」と。

 ナニソレ? という感じだが色々聞きだした話を総合してみるとどうやら「機械」を集めているらしい。

 何故に? という質問にはセシェン君も「さぁ?」と首を捻っていつもの通り「陛下は少々変わってらっしゃいますから」と最近ほぼお決まりとなりはじめてる台詞で締めくくっていた。

 ま、多分そう言う事なんだろう。

 だって魔界の一切合財は基本魔力で動いているんだし。石油も使わないし、電気もいらない、君(魔力)がいれば良い、的なシステムなのだ。

 背景キラキラ効果に使うぐらい魔力有り余ってるデュランなら大抵の事は可能だろうに、なのにわざわざデュランは機械を使ってる。やっぱマゾなのか。

 ま、お陰で魔力ゼロのオレでも使えるキューブとかいう便利アイテムが今手元にある訳だけど。


「こっちの世界の機械ってどんなんかね」


 さくっと異世界にコンタクトしちゃうデュランだから案外うちの近所から持ち出してるかもしれないし。

 ホームシックという奴は今のところ無い(部屋いじられたらやだなぐらいには思ってる)が、ちょっとどう扱われてるか興味が無くはないし。うん、じゃあ今度はこっち行くか。


「えーと、ナビどうやるんだっけ」 


 ナビ、と呟いた瞬間、出てきている半透明の画面の背景色が変わった。

 同時に足元に何か線が出てきた。ドアの方向に向かっている。隣にはデジタル表示の数字。


「……えーっと」


 試しに椅子から降りてみる。数字がピコンと音を立てて1つ減った。

 ふむ。

 後ろに似非ムーンウォークしてみた。数字がピコンと音を立てて1つ増える。

 あ、やっぱり到着までの残り歩数なのか。

 じゃあ、まぁてくてく歩きますか。わたしは元気。それなりにね。


 続くラインを辿っていくと、プレートのかかった扉の前に出た。


「はいはーい、しつれいしまーす……」


 モ○イと目があった。


「……。部屋間違えましたー」


 バタン。


「ってお約束やってる場合じゃねぇし!!」


 ガチャと秒速でドアを開きなおし、オレは目の前にデーンと立ってるそれを再度確認する。駄目だ、どう頑張っても某孤島の石巨人にしか見えない。しかも目玉いり、帽子付。え? あれって随分前に世界遺産登録されてませんでしたっけ? 何でここ居るの? 複製? いや、勘だけどこれ本物だよね?


「……奴か」


 誘拐に加えて窃盗かよ。何処の犯罪者だ。魔王だからある意味正解なのかもしれないけど。

 まさか奥にスフィンクスとか居ないだろうな。居たら全世界の考古学者が泣くぞ。


「この分だと何コレクションされてっか分からんな……」


 大体モアイは機械じゃねぇし。

 溜息つきつつオレは折角なんで奥の方も見て回る事にする。

 歴代魔王コレクションと同じ、黒いビロードの台の上に色んなものが陳列されている。

 手動式鉛筆削り。

 その隣に何かでっかい青い宝石(サファイア? っぽいけど何か違うような、まあいいや)がついた派手なネックレス。

 サーモンと虎のミケ。……何だこのパチもん。

 トイレ用サンダル。

 コインロッカー。

 点字ブロック。

 アンパン。

 駅の改札の機械。

 溶けないアイスクリーム(イチゴ味)。

 真っ赤なスポーツカー。

 赤い風船。

 黄色いハンカチ。

 青いサンゴ礁。

 緑のマキバオ○。

 ホワ○トハウス。


 ……はっきり言おう。

 デュラン、お前元の場所に返してこい。


「っとうに何がしたいんだアイツは……」


 ブチブチ言いながらホワ○トハウスの角を曲がり、オレの足がそこで何かをぎゅむりと踏んづけた。

 


「……あ」


 足の下にゴキブリがいた。


 

【作者後記】

昨日から拍手機能をくっつけようと思い、その名も「Web拍手」というサイトに登録して来ました。

……来たんです。

でも、試しにやってみてもタグが直に表示されるばかりで……拙い私のスキルでは行き詰りになりました。つまり挫折してます。


うーん、多分入れ方が違うような気はするんですけどね。


そんな事でじたばたあがいている間にお気に入り登録41件に増えました。

ありがとうございます。

次でやっとこさあの人再登場です。この前一瞬しか出番がなかったのですが暫くGのターン。

反応が少々心配ですが気を引き締めて、尋、いっきまーす!



コレクションのラストの方で笑えた貴方はお友達   作者拝

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ