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チートとオレ

「で……何で森が復活してるのさ」

「復活させたからな」

「蹴落とすぞ」


 不毛な会話だった。

 特に絶対に蹴落とせない辺りが。


 というかセシェン君は後ろ姿はまぁ一応まともなレベルにギリギリかすってる感じだったけど、こいつはアウトだな、とかオレはデュランの後ろに座りながら思う。

 何この黒髪。

 銀髪より色的によっぽど普通のはずなのに、シャンプーのCMかよってほどの艶サラっぷり。

 ガム持ってたら即くっつけてやりたいくらいだ。

 全部枝毛になってしまえ。


「陛下の魔法ですよ」


 後ろからデュランへ呪いをかけてたオレに、犬型セシェン君が説明してくれる。


「陛下は大抵の者は一瞬で復元する事が可能でいらっしゃいます。あの館も今までに何度も消滅しておりますが、状態は過去から現在に至るまで殆ど変化しておりません」


 陛下のコレクションが増えたぐらいでございましょう、とセシェン君。

 てか今までに何度も壊れてるのか。

 その落ちつきっぷりは数々の破壊の末に築き上げられた一種の悟りですか。


 しっかし。未だに目の前のコレが信じられん。

 きれいさっぱり消えたのが元通り、ねぇ……うーん……。


「あの容赦ない破壊っぷりはこれが原因か」

「なるべく被害は抑えているぞ」

「どこがっ?!」

「あのゴキブリが悪い」

「だから責任転換すな」


 うん、でも大体分かった。

 つまりあのショッピングセンターでの不幸な事故を直したのと同じ事を、このあたり一帯にやってのけたってことか。

 しかし、何でもありって言うか、何このチート能力。


「魔術だ」


 面倒くさそう、と言うか明らかに言い方が投げやりなデュラン。

 感じ悪いな。


「魔法じゃなくて?」

「そんな面倒な手続きを踏む気は無い」

「面倒なの?」

「陛下が変わってらっしゃるだけですよ」


 苦笑いしているのが声で分かるぞセシェン君。

 デュランは例によって全く気にしてない様子だけどね。あんたがとことんマイペースだって言うのはもう分かっているから別に良いけどさ。


「じゃあ魔術って何?」

「……疲れているんだが?」

「オレも疲れてるんだけどね。誰かさんのせいで」


 笑顔で返してみると、振り返った紫の目に見下された。

 見下された。

 見下された。

 見下された。


「物理的にお前の方が低いのが悪いのでは……?」

「うっさい、縮め」

「面倒だ」


 面倒なのか。てか出来るのかよ。


「出来るぞ……」


 ダルそうにデュラン。


「魔術で?」

「そうだな」

「何でもありだな」

「そうでもないがな」

「魔法の上位版みたいな?」

「逆だがな」

「……。もしかして眠い?」

「眠い訳ではない」


 嘘こけ、この野郎……。

 予想通りふっかふかのセシェン君の背中に寝そべって、目を閉じてる時点でどうみても眠いんだろうが。

 セシェン君が気遣ってくれてるお陰で揺れないし、寝心地良さそうだけどさ。

 だけどさ!


「魔術って何」

「魔法の下位概念」

「……つまり?」


 しつこく食い下がってみた。

 いや、正直興味無いけどむかついたから。


「ゲームソフトの作成。ソフトが世界」

「……チート?」

「げえむそふととは? ……いえ、失礼致しました」


 セシェン君何気に聞いてたんだ。

 デュランもそう思ったのかふっと息だけで笑う音がする。


「後でお前に説明してやっても構わんが、お前の嫌いな人間の技術だぞ」

「けっして嫌ってはおりませんが……」


 曖昧に言葉を濁すセシェン君。

 ふむ。


「まぁ、お前に対する説明と、セシェンに対する説明を同時にやるのもやぶさかではないが……後でな」

「どうやって同時にやるんだ」

「間に仕切りを立てればよいだけだ」


 酷く大雑把な説明だった。

 てかあんたの口は一つだろうが。


「お前たちの認識している音声など所詮は空気振動だ。口に頼る必要はない。何ならばセシェンには魔力を介して伝えても構わない」

「……セシェン君、今の翻訳して」

「わたくしに仰られましても……強いて申し上げるのならば。陛下ならば可能と言う事でございます」

「なんだこの無駄な感じに万能な設定」

「魔王らしくて良いだろう」


 今、明らかにテキトーにコメントしたな。


「なら魔王らしく崇められてれば?」

「それは嫌だ」

「子供か!」

「眠い」

「しかもやっぱり眠いんじゃねーか!」

「お静かに」


 セシェン君、普通そこでデュランの味方する?

 なんだよ、オレの味方はどこ?

 まぁ、美形の味方とか正直いらないけどさー。

 良いよ。オレにはスライス君が居る。

 おお心の友よ。今度リサイタルにでも招待するよ。オレ、カラオケとか嫌いだけださ。


 ……って、本当に目閉じてるよデュラン。マジで寝てる?


「寝て無い」

「なんだそりゃ」

「お前もとりあえず黙っておけ。ドラゴンの中でも高位の白銀狼の背中に乗る機会など滅多に無いぞ。普通は無礼極まりない行為だからな」


 その無礼極まりない行為をセシェン君にやらせているのはお前だ。

 と、思ったけどこのもっふもふ&ふっかふかの毛皮ベッド(移動式で頭付き)が居心地いいのは確かだし。ま、いっか。



 とりあえずオレはその日は家までセシェン君の背中で日向ぼっこしつつ帰る事になった。


【作者後記】

PVが18,000突破、ユニークが2,000突破してました。(総計)

ありがとうございます。


ところでこれ、下書き保存とかできないんでしょうか?

毎度時間切れで落ちるたびに最初から書きなおししてるのですけど……。

ごっきーことヴィスカスさん登場の話など、5回ぐらいやりなおしてるはずです。

もう一度機能見直してコンスタントに新作書けるようになっておきたいですね。


作者拝

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