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某ゴキとオレ

 今年、オレは多分厄年に違いない。

 なんでかっつーと、すぐそこに三人目が居るからだ。

 何の三人目かって? オレがこの世で最も嫌いなタイプの三人目だ。


 中世ヨーロッパ貴族風のフリル衣装を着て、腰にはRPGで「魔法剣」に分類されてそうな剣が一つ。髪はお蝶○人もびっくりな金髪立てロール。顔は……まぁ、何も言うまい。

 それが今目の前でデュランに足蹴にされている。


「おお、麗しの私の陛下。今日も何とお美しい」


 顔をぐりぐり踏まれながら恍惚とした表情で何かほざいていた。

 見なかった事にしよう。


「ナカバ、代わ」「ヤダ」


 最後まで言わせるとでも思ったか、おろか者め。

 いや待てよ。

 考えてみればデュランは相当嫌がってるみたいだし、ここで恩を売っておくか?

 今のオレはキューブの空間なんたらのお陰で無敵な訳だし。


「交代したら元の世界戻してくれる?」

「……」


 オレの言葉に渋い顔をするデュラン。

 ちなみにつま先で金髪立てロールの顔面を踏ん付けて、なるべく自分から遠ざけつつ見ないようにしている。

 よっぽどイヤなんだな。

 何だっけ? 確か容姿を褒められるのが嫌いだとか何だとか。こりゃ筋金入りだな。

 ついでに言うと踏まれている方はそれでもさっきから「相変わらずお美しい」だの「私の魂を奪った罪深きお方よ」だの「御身を彩る光にすら嫉妬してしまう私はどうしたらよいのでしょう」だの何だの、鳥肌が立つような賛辞と歯の浮くような愛のセリフを吐き出し続けている。

 うむ、なかなか根性あるぞ。


「てか、誰?」

「ゴキブリだ」

「金髪縦ロールなこゆい顔のゴキブリ?」

「違います! とんでもございません!」

 

 慌ててフォローに入るセシェン君。


「この方こそ夜歩く者たちの中でも最高位にして、魔族の中でもっとも優美であるとされるヴァンパイアの系譜を引く四大卿のお一人。ヴァンパイア・ヴィスカス・ヴェルレイン・ヴェーレンハウゼン・ヴォイロッシュ・ヴェルゼンスタイン・ヴァートリッヒ・ヴィンセント・ヴォイド・ヴァルティウス・ヴァージニア・ヴィルヘルム・ヴィヴィリア・ヴァルバディアス・ヴォル・ヴォルヴォレ・ヴォヴァリヌス・ヴィリウス・ヴィレイゼン卿です」


 ……。何だって?


「ヴァンパイア・ヴィスカス・ヴェルレイン・ヴェーレンハウゼン・ヴォイロッシュ・ヴェルゼンスタイン・ヴァートリッヒ・ヴィンセント・ヴォイド・ヴァルティウス・ヴァージニア・ヴィルヘルム・ヴィヴィリア・ヴァルバディアス・ヴォル・ヴォルヴォレ・ヴォヴァリヌス・ヴィリウス・ヴィレイゼン卿です」


 何そのごこーのすりきれ。


「ヴィスカスで切っておけ。日が暮れる」

「それよりよく噛まないで言えたねって事誉めてあげたいんだけど」

「いえ、略式のお名前ぐらいは正確に申し上げてしかるべき事でございますので」

「さらに長いのか。しかも何か似たような名前がずらずら続いて何が何やら……」

「だから言っただろう。ゴキブリで十分だと」


 イヤそうにぐりぐりと金髪の顔を踏みにじりながらデュランが腕を組む。


「しぶといところと言い、しつこいところと言い、倒しても倒しても沸いてくるところと言い、どう考えてもこれはゴキブリだろう」

「てゆうかそもそも倒して良い訳? 魔界のお偉いさんじゃないの?」

「どうせ復活するから問題ない」

「陛下の炎でこの身を焼かれるなら光栄、むしろ本望です。ああ麗しの陛下……」

 

 当事者間では合意済みらしい。

 しっかし……魔界の高位魔族って美形で男で変態ばっかかよ。


「いえ、ヴィスカス卿は陛下に関する事だけが少々特殊でございまして……その他の事に関しましてはまともでいらっしゃいます」


 小声でセシェン君が言う。

 うん、でもそれってつまりデュラン関係はまともじゃないって言ってるって事気付いてる?


「まぁ、陛下はあのように魅了なさるお方ですから……」

「あぁ。あの駄々もれ無駄フェロモン」

「ふぇろも……?」


 アレ?通じない?


「あの紫の背景でキラキラしてる……小林幸○みたいな」

「あぁ、陛下の魔力のことでございましたか」


 あぁ、魔力だったのか……魔力だったのかよ!!

 つまりなんですか? あれは美形オーラじゃなくておどろおどろしい瘴気だったんですか? どうりで戦闘モードだと目と心への痛々しさ加減が増す訳だ。

 ん? ってことはさっきの輪っかは……。


「あの黒いじゃらじゃらって魔力の制御装置っぽいもの?」


 オレの問いにセシェン君は困ったように黙って笑っただけだった。

 その笑顔が「わたくしの立場からでは何とも申しあげかねます」と語っている。そっか、一応執事だったよね君。

 しかしあの反応って事は当たらずとも遠からず、か。うーん、もし魔力の制御装置だって言うなら確かにオレには何の意味もないなぁ。デュランも「はぁ?お前じゃ意味ねぇし。ムダムダ、ざまぁ」的発言してたしなぁ。

 え? 言い回しが違うんじゃないかって?

 あの気障ったらしい口調が真似出来る訳ないじゃん。

 文句あるなら試しに自分でやってみろ。その後自己嫌悪で死にたくなっても知らんけど。


 そうこうしている間に急にあっちの方(紫フェロモン、あらため紫魔力と金髪ゴッキー)の方が静かになった。

 あー、やっと終わったかーやれやれ。とか思って振り返ったオレが甘かった。

 うん、終わってたよ? 終わってた。

 


 ある意味、色々終わっていた。

 

【作者後記】

書いている間に今入力した文字列が最下行に移動します。

変換すると記入している列が入力フォームの下に消えます。

書いてると画面がガクガク上下して、列が見える見えない見える見えない……ものすっごい書きにくいです。


そんな愚痴はさておき更新が滞ってる中訪れて下さる皆様ありがとうございます。

取り敢えずまだA42枚分は残っているのでちまちま入力して行く予定です。

よろしくお付き合いいただければ幸いです。

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