次回予告とオレ
柏の森がデュランの家……つーか屋敷? 館? の周りにはドーンと広がってる。
上から見ると完璧な円形なんだそうな。
近くにはコンビニも無けりゃATMも見当たらないなんて不便そうだと思うが、まぁここには魔法とかいろいろあるし、住んでるのは何せ魔界最強(ただし性格最悪。顔は美形過ぎてこれまたアウト)の魔王様と、一応高ランクの魔族(隠しダンジョンとかで出てきそうな奴)でドラゴンでお世話の達人セシェン君(苦労性属性付き)の二人だからあんまり不便さは感じないんだろう。
まぁデュランの方は無人島に放り出されても美形オーラを背負って優雅に足組んで座ってそうだし、セシェン君の苦労は地理的なものよりむしろ主の問題児っぷりによるものだろうし。
なんて長々語ってみたけど結局何が言いたいのかと言いますとですね、奥さん。
そのなかなか良い感じだった柏の森が全滅しました。
幹から葉っぱから根っこまで全部真っ黒に炭になってます。
炭になって無いのはそれより先にデュランのビームで消滅した所だけ。
おまいは巨○兵か。七日もかからず世界を焼き尽くしそうだなぁ!
「……ふむ」
「ふむ。じゃねぇ!」
「何だそこに居たのか。小さくて気付かなかったぞ」
「ちっさい言うな! 人間の価値は身長できまるんじゃないんだぞ! つーか無視かよコラ!」
「冗談だ。落ちつけ」
眼に痛い紫のオーラを纏ったまま微笑するデュラン。殺意沸くなぁ。
というか何でそのオーラがさらにパワーアップしているのか小一時間ほど問い詰めたい。
「あぁ、これか……悪かったな」
デュランが呟いた途端、眩しかったオーラが普段の明るさより少し明るいかなぐらいレベルまでひっこんだ。
どういう原理だ? その背景効果。
「セシェン、返せ」
「畏まりました」
一帯を炭化させておいて平然としているデュランに、セシェン君がショッピングモールで使っていた黒い輪っかの入った箱を恭しく差し出す。そこから輪っかを取り上げて、デュランはそれを自分のエルフ耳に大量に着けている黒いピアスの群れの中に加え、パチンと閉じた。
同時にオーラがネオン広告レベルからクリスマスの電飾レベルまで戻った。
「あー……」
「何だ」
「いや、どっかで見た事あるなーとは思ってたんだけどさ。ソレかーと思って」
「あぁ、そうだな」
頷くデュラン。
てか、あれと同じモノが体中にジャラジャラつけてるのかコイツ。そりゃあ強くなるよなー。
「良いなぁ……あ、そうだ。それ欲しい。頂戴」
ねだったオレにセシェン君が驚いたように目を向ける。
一方のデュランは面白そうだ、という感じで笑んでるだけだ。
「何? ダメ? 良いじゃん、そんだけいっぱい持ってるんだし。一個くらい記念にくれても」
この際出所がデュランだっていう事実はまぁ我慢しよう。水に浸して百回くらい洗えばきれいになるだろうし。
「まぁ、構わんがお前が身につけても意味が無いぞ」
「え? マジで?」
「魔力が無い者には何の意味も持たない代物だからな……まぁ、後で一つやろう」
お金持ちは気前が良かった。
と、急にデュランの眉が片方だけピクリと動いた。紫の目が細くなる。
「もう復活してきたか……」
「何と言う……」
「え? 何が?」
もちろん最後のセリフがオレ。
何か二人の視線が同じ方向を向いている。
てか、そう言えばそもそも何でこんな騒ぎ(森林一つ丸焼け)が起ったのか原因まだ聞いてないや。
しかしオレはすぐにそれを知る事になる。
黒く燃え尽きた死の森から立ち上がったその姿。
それは、まさしく。
……次回に続く!!
これ、やってみたかったんだよねー。
【作者後記】
ここのシステムって良いなぁ、と思ったことの一つ。
お気に入り登録して下さった方が他に読んでいる小説へのリンクが出る事です。
私自身は中華ファンタジーの某方の小説が縁でこちらを知ったのですが、他の方の小説が読み放題なんて……。
軽度の活字中毒の私にはたまりません。幸せです。
以上雑談でした。
皆様への感謝をこめて 作者拝