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異世界とオレ

以下の話は勇者もいなければ、特殊な力も無く

何の問題も解決する事の無い「オレ」が常にマイペースにだらだと喋っているだけの話です。


それでもよろしい方はお進みください。

 異世界召喚物。


 今更くどくどと説明する必要はないだろうが「え? 何ソレ?」という人の為に説明しよう。

 誘拐だ。以上。

 何、はしょりすぎ? じゃあもう少し詳しく言おう。

 合意の場合も無くは無いけど、大抵は強制連行されて知らない世界で騒動に巻き込まれ――というファンタジーの定番、お約束パターンの1つだ。

 マンガでも小説でもゲームでも昔から何度も何度も何度も繰り返されている奴。今更そんなの誰が読むのかと思うけど、まぁオレみたいなのが読むんだろう。うん多分。ま、でも所詮はファンタジー。現実にそんな事が起ったら普通に大問題。大騒動。ありえないって分かっているから娯楽として楽しめる訳だ。逆に言えば娯楽じゃなければ楽しめない。



 どうも、オレはその「楽しめない」状況に直面しているようだった。



 てゆうかさっきまでオレ、普通に学校で授業受けてたよね?

 その場面が何故にどこぞのアニメにしか出てこないような真っ白な宮殿っぽい空間に切り替わってるんですかね?

 足元はふわふわの毛足の長い純白の絨毯(じゅうたん)で、天井は真っ白な――えーと、大理石という事にしておこう。とにかく白い石っぽいツルツルした天井。

 そして目の前にはやっぱり白い寝椅子が一つ。素材は不明。むしろ知るか。

 そしてその寝椅子の上にはこれまたお約束の超絶美人が寝そべっていて、オレの方をしげしげと見ていた。


 足首まで届きそうなさらさらつやつやの黒いストレートヘア。

 それつけまつ毛ですよね? というようなバシバシに長いまつ毛。

 生まれてこの方日焼けした事なんてございません、というような白い肌。

 淡く微笑む桜色の唇。すらっと高い鼻に(りん)とした眉。

 八頭身どころか九頭身なスタイル。しかも身長多分180越え。どこのモデルだよアンタ。

 これで尖ったエルフ耳と紫の瞳。

 もはやお約束がてんこ盛り過ぎてどん退きレベルである。

 てゆうか、何か少女漫画とかにありそうなキラキラオーラのエフェクトまでかかってるし……。


 はっきり言おう。

 これがオレの妄想ならイタすぎて死ねる。

 なので出来ればこれがオレの夢とかそういうオチはやめてほしい。

 そうなると二つ目の可能性として異世界召喚ってことになるんだろうけど、妄想と異世界召喚どっちがマシなのかビミョーだなぁ……。



 でも妄想とかあり得ないんだよね。 

 なぜなら。


「ふむ」


 しげしげとオレを見ていた美形が口を開く。

 勿論、だみ声なんて意表を突く事はしない、「甘く蠱惑的な優しい声」だった。


「よし、お前にしよう」

「死ね」




 オレ、美形の男とか大っ嫌いなんだよね。


 

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