人生で初めて騙された………
3才の時。
夜店だ。
夜店で騙されたんだ。
子供の頃、初めてお祭りにいった時に、夜店がでてた。
ヒーロー変身セットが夜店に売ってた。
賢い子供の俺は、当然に偽物かと疑ったんだ。
夜店の婆さんは、本物だと断言した。
だからおれ。ソレを使ってヒーローになって、宇宙怪獣と戦う覚悟を決めたんだ。
地球の平和を守らなきゃって。
その為に、万引きすると決めた。
覚悟を決めた。
地球の平和の為だ。
夜店の婆さんが盗まれるのは仕方ない。
コレは仕方の無い事なんだ。
何のギモンも、もたなかった。
人生初めての犯罪をおかすとこだった。
それでも世界平和の為だ。
仕方ない。
本気で、こう考えてた。
理論武装バッチリだ。
盗人にも三分の理屈だ。
子供の俺はヤバかったな。
………まぁちっこかったし。
包装中に親が来たんだ。
盗もうとしてるとは、気が付かれずに、何買ってんだ?
金も持たずにと、怒られた。
すでに包装されつつあるのを見て、観念して。
親が金を、払ってた。
1980円。
安い。
イロイロ関係無かった。
気にしなった。
地球の平和を守るのだと使命感で一杯だった。
家に帰って、
包を開けて。
中にあった変身メガネ。
その変身メガネをかけて、
変身出来なかった。
あの時の絶望感。
人類に対する不信感。
夜店の婆さんに対する騙されたと言う憎しみ。
忘れる事が出来ないんだ。
騙された。
騙された。
騙された。
おかげで
今でも全てを、疑っている。
子供の頃。
考えに考えぬいた末に、
気がついた。
俺はメトロン星人に騙されたんだ。
あの夜店の婆さん。メトロン星人だった。
メトロン星人
ウル○ラマンで人気を誇る宇宙怪獣。
力では無く、頭脳を使って人間の信頼関係を壊し。
人間不信にする事で、地球征服を企む知能犯。
正義に燃える3才の俺の心を闇落ちさせた悪い奴。
夜店にはメトロン星人が、いっぱいいる事を知った。
あいつ等、地球人と共存してるんだ。
大人になった今でも、固くそう信じている。