はじめまして、異世界人
今回は、短いです。
ドサッ
前の方に何かが落ちた音がして、イクセルはギュッと閉じていた目を開けた。
「ぁあ、ほんとうに。ホントに居たんだ」
目の前に、居る二人の人物に嬉しくて嬉しくて溢れた言葉。
自分と同じ様な年頃の少年と少し年上のお姉さん。
この二人が、救世主と戦巫女なんだと止まらなかった。
「なぁ、一緒に戦ってくれるんだろう!妖魔を倒して、平和を取り戻して、民が、皆が幸せになるように一緒にさ!」
そう言って少年に駆け寄りぎゅっと両肩を掴むとキラキラした眼差しを向けたイクセルは、「救世主」「戦巫女」「来てくれた」と、色々な言葉が止まらない。
知らない場所、目の前の不思議な耳をした少年に困惑した二人はどうすれば良いのか解らなかったが、肩を掴まれた晃一は、「ちょっちょと!」待って、落ち着いてと声を挙げて逆に肩を掴むと声をかける。
「キミはだれ?ここは、何処なんだ!?」
その言葉で、パチクリと眼を大きくさせて我に返ったイクセルは、そういえばと納得して数歩下がると、ニィっと笑って言った。
「初めまして、オレはイクセル。一緒に妖魔を倒して世界を救う為に救世主と戦巫女を呼んだんだ。宜しくな!」
「は、初めまして。おれはコウイチ、高峰晃一って言うんだ。世界を救うって何?きゅう、救世主って巫女って?」
「この世界、ルコリエにある伝説だよ。世界に妖魔が現れて、大変な事になったら救世主と戦巫女が来て救ってくれるんだ。ねぇ、あんたの名前は?」
そう言うと、奏の方を見た。
「は?え?」
「オレもコイツも名前、教えただろう!?オレがイクセルで、こっちがコウイチ。ねぇ、名前は?」
「奏、篝奏」
「ふーん、コウイチとカナデ。なぁ、救世主と戦巫女って人族なんだな。オレとそんなに年変わんないんだ。どんな技使えるんだ?」
イクセルの勢いに押されて名乗った晃一と奏だが、二人の反応は違っていた。
世界を救うとか、伝説とか、ワクワクする内容に楽しそうに嬉しそうな顔をした晃一と、どうしよう、どうすれば良いんだろうと気持ちが落ち着かない奏。
知らない場所で、年下の少年が二人。
何とか落ち着いて少しでも情報を得るために、奏はイクセルに問いかけた。
「ねぇ…ここ何処?」
「救世主と戦巫女を祀ってるて言われてる神殿だよ。オレがお願いしたら、二人が来たんだ!だから、二人が伝説の救世主と戦巫女だ」
「お願い」と言う言葉にピクリと反応した奏は、視線をイクセルから晃一に移した。
自分はここに来る前に自宅の前で確かに聞いたのだ「お願いします」「助けて」と、その声がイクセルなのだとしたら、コウイチと名乗ったこの少年も同じ様な事が起こって此処に呼び出された、召喚された筈だ。
名前の雰囲気は、同じ日本人。
ワクワクドキドキ、わぁっと反応してイクセルと話し出した晃一を奏は見ていた。
読んで下さった方々、有り難うございます。
お時間頂きました。
更新速度が、遅くなるかも知れませんが。
完結出来る様にさせて頂きますので、此れから宜しくお願いいたします。