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冒険に時代は関係ない  作者: 松 優季
1/5

きっかけの第二王子

 世界は、一つじゃ無いらしい。

らしいと付けてしまう自分に悪態を着くと、それでも歩みを止めずに少年イクセルは進む。


 伸びっぱなしの草、生い茂る木の枝、辛うじて分かる道は整備されていないため歩きずらい。

 それでも、この先に有る神殿にどうしても行かなくては成らなかった。

 そもそも、この土地の荒れ方が可笑しいのだ。

 王家に代々伝わり守らなければならない神殿は、異世界から救世主と戦巫女を呼ぶことが出来ると言われている場所の為きちんと整備をするのが当たり前だ。

 なのに大地が痩せて、草木が枯れた場所が増えた今、栄養いっぱいに伸び伸びと、草木が生い茂る所がこの世界ルコリエに有るのが信じられなかった。


 掻き分けて歩き続けるイクセルは上手く先に進めない現状に焦りも出てきた。


 それでも、足を止める訳には行かない。

 神殿に、たどり着いてもいないのだ。


 ――――救世主さえ来てくれれば。

 ――――戦巫女を呼び出せれば。


 荒れ果てた大地は元の緑豊な場所に戻り、妖魔に怯える事が無い生活が戻ってくると願っていた。


 王である父上はからは、「今苦しんでいる民の事を考えべき」と濁された。

 母上からは、「叔母上が語って聞かせた、夢物語」と困った顔をされた。

 兄上からは、「無駄に動かず、必要な軍や国庫の動きを考えるべき」と諭された。


 九歳と幼い、モノも知らない第二王子の我儘に連れ出せる兵は居ないと言っていたが、今回二十名程の護衛、従者が付いた。

だがそれも、神殿に近付くにつれて気が付けば一人になっていた。

裏切られた。いや、自分が逸れたのか。

 どちらにしても、神殿に辿り着かなくては行けない。


 ――絶対に、絶対に、無駄にはしない。


 視界が明るくなってきた、そしてイクセルの頭の上に有る茶色いフサフサとした丸い耳が水の音を拾ったのだ。

 もしかしたらと、足が駆け出していた。 


 開いた先で見たのは、正面は、何処からか水が溢れ出てまるで滝のような勢いなのに向こうが見える事が存在感を表しながらも入るものを拒んでいる様子がある。

 横や後ろの方には上も見えないような険しい崖が、囲んでいた。


「っ、こんなの聞いてない」


 イクセルは、水が苦手なライオンの獣人種だった。

 この世界ルコリエにある、トラグスト国の代々続く王家の一族がライオン種なのだ。

 だがイクセルは、人間種の母の間に生まれたハーフだった。


 ライオンの本能が水を嫌うけれど、母はお風呂が好きだ。

何の抵抗もない人間だ。

 ならば、自分だってこの水を超えられる。


 両手をぐっと握り締めて歯を食いしばり、水の方へ駆け出し入り口を目指した。

 全身がずぶ濡れになりながらも駆け抜けて靴の底が石を叩き、上からの水で濡れることがなくなったとき、両手を膝に当てて荒い息を整えると、顔に張り付く髪をどけて、水を拭う。


「ホラ見ろ!このぐらい出来るに決まってる」

 荒い息のままそう言うと思ったより声が大きかったのか反響してきた声に顔を歪め、ヨロヨロと歩き出した。

 通路を抜けて入った場所に有ったのは広い石舞台。

登るための階段手前には、一対のライオンの石像がこちらを見ている。口を開けて鋭い牙が見えていて来たモノを威嚇しているようだ。

登りきると今度は舞台に上がってすぐの両脇にまた後ろ姿で置いてある石像はライオンで、横を通る時に顔を見てきたが、片方は何処かツンと済ましているようで、もう片方は何処か難しそうに顔を歪めていて何故だか分からないがが少しおもしろかった。

 四つ角には何かが乗るような巨大な柱が建っていて、舞台の真ん中には大きな大きな丸い石。父上の何倍大きいのだろうかと思う。

その丸い石の後ろに、見たこともない鳥が今にも羽ばたきそうにもしくわ丸い石を守るよう石像が有った。


 どんな風に呼べば良いのか知らない、どんな事をすれば良いのか知らない。

 それでも、願うことは決まっている。

 祈りは、誰よりも強く祈れる。


 民を、この国を、世界を助けて下さい。

 どうか、届いて。

 どうか、応えて。

 一緒に戦って。

 

 丸い玉と鳥の石像の正面で膝をつき、頭を下げて、胸の前で両手を合わせて指を組み、強く強く何度でも祈り呼ぶ。

 



――――救世主様

――――戦巫女様



淡く光る緑の光が、惹かれるようにイクセルの中に入ってい行った事には彼は気づかなかった。




読んでくださった方ありがとうございます。

平成の時代に有ったような、異世界冒険物語書いて見たいと思って書き始めた作品です。


素人の物語ですが、宜しくお願いします。

お時間をありがとう御座いました。

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