71.帰還のポラロイドカメラ
翌朝。
僕はみんなを集めて帰還のポラロイドカメラの説明をした。
ザンが興奮気味に口を開く。
「どんな距離でも使えるのでしょうか?」
「それがわからないから検証しようと思って」
「やりましょう!!」
僕はみんなにリビングの写真を配った。
まずは1枚で複数人が移動できるかの確認だ。
プンがペペンの手を握って、写真に魔力を込める。
するとプンだけがいなくなった。
「うーん。やっぱり1人だけか」
「テツジ様、私も試してみたいのですが」
「いいよ」
許可を出すとクリフがプロールをお姫様抱っこした。
そして写真を手に取って魔力を込める。
すると2人の姿が消えた。
「あれ?2人移動できた。どういうことだ?」
僕達は細かい検証を何度も繰り返した。
検証結果、持っている物や人は一緒に移動できることがわかった。
手を繋いでるときはペペンの脚が地面に付いていたから持っている判定にはならなかったみたいだ。
ダルンとデルンとドルンが肩車をしたら3人で移動できた。
服や靴は地面に付いていても移動可能。
だけど武器は地面に触れていたら移動できなかった。
ダルンがメタルフィッシュハンマーを地面に置いて持ち手を握っていたが移動できなかった。
ちなみにオクトンも使えた。
これはかなりいい。
次は写真の状態の確認だ。
ザンが濡れた写真を持って口を開く。
「テツジ様、写真は濡れてしまうと使えないみたいです」
「あーそうか…」
「少し水が付くのは平気でしたが、写真がふやけたら使えなくなりました」
するとプロールが折りたたんだ写真を持って報告をする。
「折りたたんだ写真も駄目でした」
「折り目だとどう?」
プロールは写真を開き、魔力を込めるといなくなった。
「何か細かい条件がありそうだな」
僕は写真の裏側を見ながら魔力を込める。
しかし移動できなかった。
「もしかしたら写真を見ないとダメなのかも」
それを聞いたみんながいろんな方法を試し始めた。
数人がいなくなった。
やはり写真を見ながらが条件みたいだ。
次は海に移動した。
船ごと移動できるかを知りたかった。
「やってみます」
船の甲板にいるプンがいなくなった。
「ダメそうだな」
色々試してみたが船ごとの移動はできなかった。
これだと海上戦から撤退をするなら船を捨てなくてはいけない。
海に入って船をマジックバッグに入れてからだと写真が濡れて使えない。
「テツジ様、これを使ってみたいんですが」
プロールがそう言いながら出したのは潜水クリーム。
「あーやってみよう」
プロールは写真に潜水クリームを薄く塗って、海に入れる
数秒待ってから魔力を込めると、プロールが消えた。
「おお!潜水クリームで濡れる問題は解決か!」
これなら海上戦からの撤退もできそうだ。
最後は距離だ。
ザンは上空へ向かい、プンは海斬丸で沖に向かう。
そしてオクトンには海中を頼んだ。
残りのみんながリビングで待っているとザンが現れる。
「かなり上空まで行きましたが問題なかったです」
「ありがとう」
空は問題なし。
次はプンが帰ってきた。
「テツジ様、海流が元の状態に戻っていました。海流までの距離ですが問題なかったです」
「ありがとう」
海流の件はランヴォックさんに伝えるとして、ポラロイドは長距離でも使えるみたいだ。
最後にオクトンが帰ってきたが様子がおかしかった。
頭に何かが乗っている。
スライムのような物だ。
「オ、オクトン平気?」
キュー!キュー!
オクトンが平気そうなので安心した。
そのスライムはオクトンの頭の上で動き始める。
「え?なに!?」
スライムは動いて形が変わっていく。
スライムは完全にネコになった。
身体がスライムでできているネコだ。
ザンがそれを見て刀を構える。
他のみんなもエアガンを取り出す。
キュー!キュー!
オクトンが焦っている。
「敵じゃないの?」
キュー!キュー!
オクトンは僕達を静止させ、腕をスライムネコの身体に突っ込んで何かを取り出した。
僕はそれを受け取る。
高級そうな布でできた巾着に何か入っていた。
中を見ると腕輪が2つと紙が入っていた。
紙を見るとノヴァさんからの手紙だった。
[テツジ。うちの商会所属のシスターから渡してと頼まれてたのを忘れてた。その腕輪をテツジに渡してくれってさ。なんか神託があったらしい。うちもよくわかんないけど、シスターの神託には今まで何度か助けてもらったからそのまま伝える。ヘイルラーダ様が遅くなって悪いと言ってたらしい]
全然意味が分からなかった。
僕はプンに手紙を渡した。
「これどういうこと?ノヴァさんの商会って宗教とかやってる感じ?」
プンは手紙に目を通す。
「ノヴァさんの商会についてはわかりませんが、ヘイルラーダ様は九神の1人です」
「ん?九神?」
また知らない単語が出てきた。
プンがあっという表情をした。
「テツジ様、こちらの世界の神様のことです。九神教という宗教があり、9人の神様を崇める宗教でして」
「あーなるほど。それは危ない宗教?」
「いえ!そんなことないです」
宗教は疎いから、あんまり触れないでおこう。
うちにはいろんな種族がいるから、こういうことでギスギスしたくないし。
僕は切り替えて、サングラスを付けて腕輪を見た。
○聖盾ビナイギス
鑑定不可
「ん?」
なんだか腕輪なのに盾って書いてあるし鑑定不可って書いてある。
サングラスが壊れたのだろうか。
「なんか聖盾ビナイギス?ってやつみたい。鑑定できないからそれ以上わかんないんだよね」
「聖盾?」
みんなも首を傾げた。
僕はとりあえず両腕に腕輪を嵌めた。
すると意識が遠のいた。




