70.思い出
僕はみんなを別荘に集めた。
今の本心と悩みをみんなに伝えるためだ。
「みんなにどうしたらいいかを聞きたくて」
「何でも言ってください」
クリフが代表して答えてくれる。
僕はさっきランヴォックさんに聞いた話をみんなに共有した。
海賊の戦力と強さの理由。
そして空を飛ぶことができる敵を取り逃がしたこと。
ランヴォックさん達は第2船団の拠点を潰しに行こうとしていること。
僕も襲われる前に海賊は倒しておくべきだと思っていること。
だけど僕は人とは戦いたくない。
しかしそんなこと言ってられない状態になっていて、どうすればいいかわかんない。
僕はしっかりと自分の本心をみんなに伝えた。
ザンが口を開く。
「テツジ様。戦いましょう」
「ザン、そういうことじゃないと思いますよ」
「え?」
プロールの言葉にザンは戸惑った。
「テツジ様は私達の身を案じているんです。私達がどれだけ戦う気でいても、戦いで怪我をしたらテツジ様は自分の選択を悔やんでしまいます」
「なるほど…」
「ありがとう、プロール。上手く言えなかったことを代弁してくれて」
「いえ」
プロールは嬉しそうに頷いた。
ダルンが手をあげた。
「オイラはデルンとドルンほど戦える力はない。だけど今回みたいに船での戦闘ならできる気がします…」
「僕もそうですね。モンスターの力を使っていた人達を見てないですが、ザンやクリフやデルンが怪我をするほどの相手なのであれば僕も力になれないかもです」
「私も難しいです…」
ダルンとプンとペペンは申し訳なさそうに言った。
「そうだよね…」
僕達はお互いに意見を交換した。
色々話をしたが、僕の中で決心はつかなかった。
「ありがとう。僕もしっかり考えてみるよ」
僕は別荘を後にして、自分の家に帰った。
▽ ▽ ▽
僕は1人で横になりながら考えた。
僕自身が人を殺したくないっていうのが大前提。
それにみんなが危険な目に合って、手遅れになってほしくない。
でも海賊は島の存在を知った。
海流関係なく、空から攻めてくる可能性もある。
襲われる前に拠点にいる海賊達を拘束すれば、安全に生活ができるかもしれない。
僕は悩みまくる。
四宮さんのノートが目に入り、パラパラとめくる。
重要な内容はほとんど読んでいる。
出発までの数日間の日記みたいな文章になってからしっかり読んでいなかった。
僕は考えることから逃げるようにノートを読む。
○島を堪能①
島を出る目途が立った。
最近食べてなかったブラックサーモンを釣るために海に行った。
俺の釣り竿とルアーは勝手に魚に引っかかってくるから何匹も釣れた。
料理センスが無いから、刺身と酒で昼から楽しんだ。
飲みすぎてすぐに寝た。
もう夜中だ。
「冷蔵庫にブラックサーモンがあった理由はこれか。出発までに食べきれなかったんだろうな。」
○島を堪能②
今日は島の撮影をした。
帰ってくるつもりはないからデジカメに収めた。
バッテリーが無限になったし防水の効果が付いたから、俺が死ぬまでは持つだろう。
この島には色々助けてもらった。
これを読んでる君も思い出は何かに保存しておけ!
「思い出か…」
人との戦いにビビっているせいか思い出という言葉に惹かれた。
僕は車を出してカメラを買いに向かった。
▽ ▽ ▽
カメラを買ってしまった。
完全に悩みすぎで、僕は何かに縋ろうとしているみたいだ。
「弱いな。僕は…」
でも買ったことは後悔していない。
カメラは3台購入した。
一眼レフカメラとかを買おうと思ったが、せっかくならドグドやアデスにいっぱい撮ってほしかったから、ポラロイドカメラを3台と8枚入りフィルムパックを大量に購入した。
「一眼レフよりかは金額をおさえたけど、だいぶ買ったな」
最近のポラロイドカメラがこんなに高いとは知らなかった。
多分ドグドとアデスにカメラを渡したらすぐにフィルムが無くなるだろう。
僕はネットでフィルムパックを追加注文しておいた。
「そろそろ夕飯だ。島に帰るか」
僕はポラロイドカメラを持って島に戻った。
▽ ▽ ▽
プン達が夕飯を作っててくれていた。
僕が考え込んでいるせいで、みんなが心配そうに僕を見ていた。
早く方針を決めないとな。
僕はソファに横たわる。
「あっ!カメラに能力付いたか見ないと」
僕はサングラスをかけてポラロイドカメラを見た。
「え??」
ポラロイドカメラの黒と白は電池不要で強度が少し上がっただけだったが、青のポラロイドカメラはマジックアイテムになっていた。
○帰還のポラロイドカメラ
撮影した写真に魔力を注ぐと、撮影した位置に移動する。
人が映っている写真では移動できない。
強度上昇(高)・動力不要
「撮影した位置に移動?」
僕はリビングを帰還のポラロイドカメラで撮影した。
写真が出てくる。
味のある写真だ。
僕は別荘の外に出た。
そして写真に魔力を込めてみる。
ノヴァさんからもらったマジックタンクリングを始めて使う。
「ん?こうか?こういうこと?」
身体の中で何かが動いている感じがした。
すると目の前の景色が変わった。
僕はさっき撮影をした場所に移動していた。
「これは使えるかも…」
このポラロイドカメラがあれば、僕の悩みが少し解決するかもしれない。
僕はリビングの写真を数枚撮って、クリフを呼んだ。
「どうしたんですか?」
「ちょっと確かめたいことがあって」
「はい!手伝います!」
「これに魔力を注いで」
「は、はい。こうで」
クリフが喋っている途中でいなくなった。
持っていた写真は砂のようになって消えていった。
僕はすぐに別荘に向かった。
すると驚いていてキョロキョロしているクリフがいた。
「テ、テツジ様!!これは何ですか!?」
「新しいマジックアイテムなんだけど、これがあれば海賊と戦いに行っても危なくなったら帰れるかも」
「範囲は調べないといけないですが、これは凄いです!!」
クリフはテンションが上がっていた。
「そうだね。検証は明日みんなでやってみよう」
「はい!」
僕はクリフと別れ、別荘に戻った。




