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69.デレメメの秘宝

もう夕方になっていた。


プン達が救出した奴隷達はノヴァさんが預かってくれることになった。

元々行方不明になった魚人族を探していたし、他の種族も求める形で面倒見てくれるという。

海賊達も連れて行ってくれるそうだ。詳しくは怖くて聞かなかった。


捕まっていた魚人族が凄いお礼を言ってくれた。

全員見た目がだいぶ若かった。

自分達の落ち度で捕まったらしく、このあと魚人国で説教らしい。


僕とプンとペペンは、出発するノヴァさん達と奴隷達の食事を作って送り出す。

奴隷達をガレー船に乗せて行った。


「はぁ。疲れた…」

「お疲れ様です、テツジ様」

プンが労ってくれる。


「ザン達は?」

「ザンはまだ目を覚まさないです。クリフとドルンは治療中です」

「マオは?」

「カーレがさっき絞ってました。明日の朝には乾くと思いますよ」

「そっか…」

思ったよりもうちの被害は大きかった。


「騎士達は?」

「怪我人多数、死者数名です。スオンさんのスキルで治療をしてるみたいですが…」

「色々足りなそうだね。食事を運んであげようか」

「そうですね」

僕達は再び、調理を始めた。


▽ ▽ ▽


夜中。

僕はデルンと剣の稽古をした。

今回は全く戦力になれなかった。


人と戦う決心がまだ出来ていない。

キャラメルで小舟から上陸してくる海賊を何人か撃ったが、キャラメルの正確さが無かったら殺していただろう。


「テツジ様、大丈夫ですか?」

「う、うん。大丈夫だよ」

デルンは心配そうに僕を見た。


「そういえば海賊が乗っていた船2隻ですが、修理したら使えそうです」

「え?」

「マストは折れて甲板は焦げてますが修理すれば使えそうです。それにマジックアイテム化すれば…」

「そっか。それならもらっておこう」

「はい。既に回収しているので、明日から修理を始めますね」

「うん。よろしくね」

デルンと話しているとクリフとドルンがやってきた。


「2人共、大丈夫なの?」

「はい。御心配かけました」

「すみません」

2人は頭を下げた。


「無事ならよかったよ」

「私もドルンも骨を何本も折られて完敗だったんですけどね」

クリフとドルンは苦笑いしていた。


「え?大丈夫なの?」

「はい。完治とはまだ言えませんが、ホワイトポーションで痛みはすぐに無くなりました」

「変に骨がくっついたら困るので、さっきまで安静にしてました」

ホワイトポーションの能力が凄すぎた。


「僕も戦闘中に飲むべきだったな」

「そうですね。身体に痛みがあると動きが鈍くなるので飲むべきです」

「わかった」


僕はクリフ達が戦ったズラヴィクの話を聞いた。


「あの男は獣人でした。『獣化』を使って身体能力が向上をしてました」

「翼が生えてたよね?それに海岸で戦ってたデュドドも腕が4本で長かったし」

「あれは手長族だと最初は思ったのですが……」

「それにランヴォックさんの暴走した姿もおかしかった」

謎は深まるばかりだ。


「空を飛ぶ敵がいるのは困ったな」

「そうですね。海流を超えて島に来れてしまうのは困りますね」

「色々対策を考えないとダメそうだなー。嫌だな」

僕は考えることをやめたかった。



▽ ▽ ▽



翌日。

朝にザンが目覚めた。


「テツジ様。申し訳ありません。『龍化』に慣れておらず…」

「大丈夫だよ。かっこよかったし、助けてくれてありがとう」

ザンは僕がお礼を言うと少し照れ臭そうにした。


「あの後、どうなったんですか?」

僕はザンに説明をした。


「なるほど。あの2人に逃げられてしまったのはまずいですね」

「だよね」

「もしまた攻めて来られたら、ドグドくんとアデスちゃんの力を借りないと太刀打ちができないかもしれません」

「そうなるよね…」

「はい」

「本人次第か…」

僕は出来るだけ2人を人との戦闘に参加させたくなかった。



「ランヴォックさんについてですが」

「ああ。そういえば、あれは何だったの?」

「わかりません。ですが騎士達はランヴォックさんがあの状態になったら殺すようにと言われていたみたいです」

「え!ということは暴走するの前提だったの?」

「そうですね。私も自我を無くす可能性がある『龍化』を使ったので何も言えませんが」

「そうだったの?」

僕はザンに『龍化』について聞いた。


「なるほど。決心して使ったんだね」

「はい。私も暴走して迷惑をかけていたかもしれません」

「そうだね。使わないでとは言わない。だから使えるようにしていこう」

「はい。ありがとうございます」

ザンは何か決心したようだった。


▽ ▽ ▽


昼食の準備をしていると、ドルンがやってきた。

「テツジ様。ランヴォックさんが目覚めました」

「ほんと?」

僕はすぐに海岸に向かった。



海岸に到着すると、ランヴォックさんが地面に座っていた。

そのそばにはスオンさんもいた。


「ランヴォックさん!」

「テツジ。この度は申し訳ない」

ランヴォックさんは僕を見て頭を深く下げた。


「被害はなかったので許しますので、詳しい話を教えてください。海賊達の姿やランヴォックさんの暴走について、何が起きているのかを」

ランヴォックさんはスオンさんを見た。

スオンさんは頷く。


「わかった。説明しよう。前に話した内容と重複する部分もあると思う」

ランヴォックさんは話を始めた。



ザルグリッド軍政国が何故強いのか。

それはモンスターの魔石から力を得ているからだ。


ザルグリッド軍政国はモンスターの魔石から力を抽出して、体内に注入するマジックアイテムを持っていた。

ザルグリッド軍の主要人物はほぼ全員モンスターの力を注入していて、海賊にも力を注入している者が数名いた。


ランヴォックさんはそれに対抗するために、デレメメの秘宝と言われる強力なモンスターの魔石を自身に注入した。

その力は強力過ぎて、ランヴォックさんは制御できていなかった。



「かなり絶望的な状況じゃないですか?」

「ああ…」

ランヴォックさんは苦しそうな表情をしていた。


「これからどうするんですか?」

「考えはある」

「あるんですか?」

「ああ。まずはボルドスラフ海賊団の殲滅だ」

ランヴォックさんは自分達が出来る最大の作戦を話した。


「ボルドスラフ海賊団は3つの船団に分かれている。各船団は別々の島を拠点にしているから、まずはデレメメ王国に近い第2船団の拠点を攻め落とす」

「モンスターの力を使うやつはどれくらいいると想定してます?」

「詳しくは全く分からない。10人以下だと願いたい…」

僕は絶望的な状況に何も言えなかった。

ランヴォックさんも絶望的と分かっているが、最善がこの作戦なのだろう。


僕は悩んだ。

また海賊に攻めて来られるなら拠点を攻めるのはあり。

しかし人と戦うのは無理だし、家族を危険にできない。


その後もランヴォックさん達といろいろ情報共有をして別荘に戻った。




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