表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/73

68.龍化

『龍化』は龍人族特有のスキル。

獣人族の『獣化』とは違い、完全に龍になる。


龍人族が成人になったら他種族の国で数年活動するのには理由がある。

完全な『龍化』をしても自我を保てる精神を培うためだ。


身体の一部を『龍化』させるのは他種族の国に行くまでに使えるようにして、冒険者として活動できるようにしておく。

数年冒険者として活動をして、帰ってから先人に完全な『龍化』のコツや精神を教わるのが一般的だ。


私の場合はゴフェルおじい様に命じられ、15の時にアデス様を連れて他国に行った。

なので身体の一部の『龍化』は会得しているが、完全な『龍化』は教わっていない。


やり方がわからないわけではない。

己の中にある龍の血は感じられている。

出来ないはずない。


冒険者になり、その後奴隷になってしまった。

そして島でテツジ様や家族と出会った。

大切な人達を守ろうとしてる私の精神が『龍化』に負けるはずがない。


私はランヴォックさんの攻撃を避け、精神を集中させた。

「龍化!」


▽ ▽ ▽


全身が痛い。

デュドドの攻撃で僕は意識を失って、海に流されていた。

何とか泳いで島には着いたが身体が痛すぎる。


さっきまで戦場となっていた海岸では大戦争が起きていた。

巨大なドラゴンと金属を纏った獣のようなものが戦っていた。


「どうなってるの?てかあのドラゴンの色がザンの髪色と一緒だけどまさか…」

僕の中でドラゴンの正体がザンだとなんとなくわかった。


「ザン!!!」

僕は大声で声をかける。


すると金属を纏った獣は僕に向かって金属の槍を放ってきた。

「うわあああ!」

僕はそれを避けようとするが間に合わない。


カキン!

金属がぶつかる音がするが、僕には当たっていない。


「テツジ様!!お怪我はないですか」

ドラゴンが僕に話しかけてくる。


「やっぱりザンだよね?」

「はい。このような姿で申し訳ないです」

「かっこいいよ!あの金属を纏った獣は何?」

「ランヴォックさんが暴走しています」

「え?あれはランヴォックさんなの?」

「っぐ!は、はい」

ザンは話しながらランヴォックさんからの攻撃から僕を守ってくれていた。


「わ、わかった。詳しい話はあとで聞くから。僕にできることある?」

「遠くからグレネードランチャーで支援をお願いします。私だけでは倒すことは出来なさそうなので。ぐっ、デュドドという男は倒れてます。もう1人の姿がずっと見えないので気を付けてください」

「わかった」

「ではランヴォックさんを制圧しに行きます。ギャアアアアアオ!!!」

ザンは叫びながらランヴォックさんに向かって行った。


僕はグレネードランチャーを準備する。


ザンは鋭い爪で攻撃を繰り出すが、ランヴォックさんに傷すら与えられない。

螺旋状の金属の槍が現れ、ザンの肩に刺さる。

ザンは尻尾でランヴォックさんの脚を払って体勢を崩した。


「テツジ様!今です!」

僕はグレネードランチャーを構えて引き金を引いた。


ボシュッ!ボシュッ!ボシュッ!ボシュッ!ボシュッ!ボシュッ!


大きな弾は弧を描いて、倒れているランヴォックさんの近くに転がる。


ドボン!ボボン!ボン!


「グワアア!!」

ランヴォックさんを覆っていた金属が少し剥がれる。


ザンが口を大きく開く。

口から衝撃?エネルギー?ビーム?何かわからないが出てランヴォックさんに浴びさせる。


「ガッ!!グワアア!!」

ランヴォックさんは藻掻きながら何度も地面を叩く。

すると地面からランヴォックさんより一回り小さいサイズの金属の獣が10体出てきた。


10体はザンに飛びつく。

ザンは振り払おうとするが、金属の獣が少しずつ変形して逃れられないようになっていた。

ザンは空に飛び上がる。


「グラアアア!」


ドゴーン!


ランヴォックさんが叫ぶと、ザンに絡みついている金属の獣が爆発をした。

ザンは意識を失っているのか、逆さまになって落下した。


「ザン!!!!」

ザンの反応はない。



ランヴォックさんをみると僕を見ていた。

僕はグレネードランチャーの引き金を引く。


ボシュッ!ボシュッ!ボシュッ!ボシュッ!ボシュッ!ボシュッ!


グレネードランチャーの弾はランヴォックさんに当たる前に金属の槍が当たって爆発をしてしまう。


ランヴォックさんは拳を振り上げながら僕に向かってくる。

そして目の前にやってきて拳を振り降ろした。

僕は目を瞑る。


ドン!


また音は聞こえたが身体に痛みはない。

僕は誰かに抱きかかえられていた。


「緊急事態だからコマチは怒らないよね?」

僕はノヴァさんに抱きかかえられていた。

ランヴォックさんを見ると、ランヴォックさんよりも巨大な岩の巨人に押さえつけられていた。


「え?ノヴァさん?」

「テツジ、あれはなんだ?」

「僕もわからないんですが、デレメメ王国の元騎士のランヴォックさんが暴走したらしくて」

「なるほどね」

ノヴァさんは何かを考えていた。


「グラアアアア!」

暴れるランヴォックさんを岩の巨人は殴り飛ばす。


宙に浮いたランヴォックさんをどこからか現れた巨大なオオカミが空中で蹴り飛ばし地面に叩き落とす。

「ガアアアア!!」

ランヴォックさんは痛みで叫んでいる。


「ネゾネ!そいつ敵じゃないらしいから殺すなよ!」

ノヴァさんがそう言うと、ランヴォックさんの目の前に現れた人が急に巨大化した。


「ノヴァ!怪我は?」

「出来るだけさせるな」

「了解!」


ネゾネと呼ばれる人は巨大化し、身体に鎧が現れて両手がハンマーに変化した。

物凄いスピードで移動して、両手のハンマーでランヴォックさんを連打した。


驚いている僕を見たノヴァさんが口を開く。

「あれが【海獣の高波】のメンバーだ」

ノヴァさんはどこか誇らしげだった。

ランヴォックさんは3人の巨人の猛攻で劣勢になっていた。



これで終結すると安心していたが、急に海岸を寒さが襲った。

異常な寒さだ。


ランヴォックさんも3人の巨人も足元が凍って動けなくなった。


「巨人族まで使うとは…」

そう言って森から出てきたのはスオンさんだった。


「ランヴォックはやらせません」

海から海水が宙に浮く。

そして宙に浮いた海水が凍ってドラゴンのような形になった。


「奴隷でしょうがなく戦わされていたのなら申し訳ありません。ですがランヴォックは守ります」

氷のドラゴンが3人の巨人に向かって行く。


僕はスオンさんの誤解を解こうと声をあげようとした。

その瞬間、氷のドラゴンが棘の付いた鉄球に破壊された。

横を見るとノヴァさんがいない。

いつの間にか3人の巨人の足元に移動していた。


「ノヴァさん!その人味方です!!!!!」

僕は大声で叫んだ。

「え?は?」


▽ ▽ ▽


ノヴァさんとスオンさんの誤解を解くことができた。

3人の巨人もほとんど怪我がない。


「本当に申し訳ありません!!」

スオンさんは謝り続けていた。


ランヴォックさんはスオンさんのスキルで氷漬けになっている。

暴走が落ち着くまで、完全拘束しながら回復しているらしい。


ザンもマオも一応無事だった。

ザンは意識がまだ戻らないが、呼吸や心拍は問題ない。

マオは海に飛ばされて海水を身体が吸って動けなくなっていたが絞れば問題なさそうだ。


ノヴァさんはプン達と沖で出会ったらしい。

一緒に島に向かっていたがドラゴンがいるのを見て【海獣の高波】だけ先行してくれたみたいだ。


クリフとドルンはズラヴィクという翼の男との戦闘で怪我をして集落でプロール達の救護を受けている。

ズラヴィクはスオンさんが撃退したらしい。


ズラヴィクは消息不明。

そして倒れていたはずのデュドドの姿も無くなっていた。

だが他の海賊達は大量に捕縛した。


騎士にも海賊にも死亡者が数名出た。

みんなは平気そうだが、まだ僕は慣れることが出来なそうだ。



▽ ▽ ▽



くそ。

こんなはずじゃなかった。


俺は気絶してるデュドドを掴んで拠点に向かって飛んでいる。

氷の魚に噛まれた所が痛む。


これも全部あのクソ女のせいだ。

ザリナタの野郎。

将軍だか何だか知らねえが、てめぇの失態の尻拭いをさせやがって。


俺達、ボルドスラフ海賊団の第2船団はデレメメ王国の制圧と制圧後の反乱分子の鎮圧を命じられていた。


せっかく騎士を大量に捕縛したのにあの女が逃がしやがった。

しかも例のマジックアイテムを騎士団長に使われた。

デレメメ王国の秘宝を使って新しい戦力を補強する予定だったのに。

敵に使われやがって。

あんなの化け物じゃねか。


全てザリナタの失態だ。

俺達が奴隷の運搬をすることになったのもあの女のせい。


あの女が使っていた奴隷商が大きな商談中に行方不明になった。

運搬を指揮できる奴がいないから第2船団に話が来た。

船長にこんなバカみたいな仕事をさせられない。

だから副船長の俺とデュドドでさっさと終わらせる予定だった。


「あの龍人族、それにエルフとドワーフもいた。奴隷商が行方不明になったときの目玉商品は龍人族だったはず」

俺は様々な可能性を考えた。


デュドドを回収して損害はできるだけ少なく抑えた。

3隻の船は奴隷商のものだし、船員は商人と言う名の荒くれどもだけ。


第2船団としては仕事を失敗したという損害だけだ。

「とりあえず船長に報告だ」


目から血が流れる。

「クソ!」


俺は痛みを我慢し、空を飛び続けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ