6.島デート
昨夜は本当に楽しかった。
久々に呑み過ぎた。
オクトンを家に呼び、一緒に酒を呑んだ。
懐いてくれているのか、ボディタッチがすごかった。
ヌメヌメになるけどすぐに自動掃除機が近くに来て綺麗になった。
小町の料理も最高に美味しかった。
ブラックサーモンを調理してくれたのだが、絶品だった。
こっちの世界の魚も口にあって安心した。
オクトンもおつまみをガンガン食べていた。
3人で呑みまくったせいで、ビール24本とワイン2本が無くなった。
ほとんどオクトンが飲んだのだが、僕と小町もいつも以上に呑んだせいで速攻で寝た。
目が覚めると、別荘の寝室で寝たことを思い出した。
リビングに降りると、小町が朝ごはんを作っていた。
「おはよ」
「おはよー。哲ちゃん二日酔いは?」
「あれ?全然。むしろ元気すぎるくらい」
「だよねー」
「そういうこと?」
「たぶんー。物凄い元気だもん」
「ベッドもマジックアイテムになってるのか」
ベッドには回復能力があるのだろう。ここ最近感じていた疲れや痛みが全くなくなっている。
「四宮さんって意外と抜けてる?すごいマジックアイテムになってるのに気付いてなかった?」
「かもねー。そろそろご飯出来るよ」
「わかった」
僕と小町は朝ごはんを食べ始めた。
「今日の予定は?僕、何にも考えてないけど」
「ちゃんと決めてるよ!朝ごはん食べたら海!」
「わかったよ」
「じゃあ食べ終わったら着替えて集合ね」
「OK!」
▽ ▽ ▽
僕は水着に着替えてリビングで待っていた。
羽織るパーカーも用意してくれているなんて、小町は出来る女性だ。
数年前に買った腹筋ローラーのおかげで、割れてはいないがお腹は引き締まっていた。
「おまたせ!」
リビングに現れた小町は真っ黒なビキニを着ていた。
「小町、ごめん。海行くの無理かも」
「えーなんで」
「小町が美しすぎて、僕死んじゃうかも」
「はいはい!じゃあ行くよ」
小町は腕に抱き着いて、僕を海へと向かわせる。
「だめだ!感触が」
「バカ!」
僕は頭を叩かれた。
▽ ▽ ▽
綺麗な海と女神のような小町。
最高だ。
小町は海で遊んでいる。
僕はオクトンとレジャーシートに座ってその様子を見ていた。
朝のうちに小町がポリタンクを持って行き、ウィスキーを入れる作業は終わらせていたみたいだ。
「哲ちゃんも泳ごう!」
小町に呼ばれた。その姿も美しかった。
「わかったよ」
僕は海に向かうと小町に突き飛ばされた。
海に頭から入り、目を開けると見たことない魚がたくさん泳いでいた。
「ぶは!見たことない魚がいっぱいいるね」
「でしょ!すごいよね」
小町ははしゃいでいる。
「これも買ったから使ってみよ」
「ん?」
小町は砂浜に戻り、マジックバックからマットレスみたいなものを取り出した。
「なにそれ」
「浮き輪だよ。これで一緒に乗ろ」
マットレスみたいな浮き輪にはロープが繋いであった。
ロープの端をオクトンに持ってもらい、沖に出ないようするみたいだ。
「こんな大きな浮き輪初めて乗った!」
小町は浮き輪の上で飛び跳ねた。
「さすがにそんなに動いたら壊れちゃうよ」
「はーい」
僕と小町は浮き輪に上で寝転んで過ごした。
オクトンの粋な計らいなのか、ロープを左右に振って適度に浮き輪を動かかしてくれていた。
「哲ちゃん、あれつけてよ」
「あれ?」
小町はそういうと砂浜に何かを取りに行き、すぐに戻ってきた。
「じゃーん」
小町が持ってきたのは、この前買ったサングラスだった。
僕はそれを受け取って、サングラスをかけた。
サングラスをかけると自然に小町の胸に目線が行った。
決してサングラスで目線が分かりにくくなるのを狙ったわけではない。
「ん?」
僕の視界に変なものが映った。
そのせいで胸が見えない。
「魅了の黒ビキニ?」
視界には文字が浮かんでいた。
○魅了の黒ビキニ
強度上昇(低)・身体能力上昇(低・水中のみ)・魅了(高)
「もう!どこをずっとみてるの!」
「見てるけど見てないの」
「何言ってるの?」
小町は少し照れながら怒っていた。
「これ付けてみてよ」
僕はサングラスを小町に渡した。
「え?海水パンツ、強度上昇?」
「自分の水着見てみて」
「魅了の黒ビキニ?」
「このサングラス、当たりのマジックアイテムになったよ!これって四宮さんが書いてた『鑑定』じゃない?」
「そうだよ!」
僕は小町からサングラスを受取った。
周りを見渡した。
○海水パンツ
強度上昇(低)
○レジャーシート
強度上昇(低)・クリーン
○癒しのウォーターマット
強度上昇(中・水上のみ)・転覆防止(水上のみ)・回復(低)
小町やオクトンを見るが、二人の情報は映らない。
物限定で『鑑定』ができるみたいだ。
「ねー哲ちゃん!」
「なに?」
「魅了されたの?」
「ノーコメント」
「えー」
素の小町に魅了されているとは、恥ずかしくて言えなかった。
▽ ▽ ▽
海を出て別荘に戻った。
「哲ちゃん!次はお昼ご飯を食べながら映画を見てダラダラタイムです!」
「おーいいね」
「20本も買っちゃったよ」
「え?」
「異世界もののアニメ映画もあるよ」
「それは気になる!」
「じゃあ着替えて、リビング集合!」
「一度お風呂入りに家に戻る?」
僕がそういうと、身体にまとわりついていた砂や海水が消えた。
足元を見ると、自動掃除機が動いていた。
○自動掃除ゴーレム
強度上昇(超)・クリーン(半径5m)・浮遊
「なんか大丈夫そうだね」
「うん」
僕達は着替えに行った。
▽ ▽ ▽
僕達はポップコーンとコーラを食べながら、ソファーで映画を見ていた。
小町に勧められた異世界アニメ映画を見ている。
「ゴブリンってこんなにかわいいの?」
「作品によるかなー」
「そういえばスキルを僕達も取得してるんじゃなかったっけ?」
「そういえばそうだね」
「見てみる?」
「哲ちゃん!いまいいところだから静かに!スキルは終わってから!」
「…はい」
珍しくガチめに怒られた。
僕は映画が終わるまで、ポップコーンを口に中で湿らせながら食べた。
▽ ▽ ▽
「あー面白かったね―」
「そうだね。うるさくしてごめんね」
「気にしてるの?哲ちゃんかわいいねー」
母性溢れる小町もかわいかった。
「それじゃスキルを見てみる?」
「うん。ステータス!」
「ステータス!」
目の前にディスプレイが現れた。
【募前】 五縺ォ繧治
【繧ュ繝】 魅0
【職業】 デザ」縺ー
【レベル】疲ォ
【窮命力】暦シ1撰ウ
【魔艦】 0
【筋匿】撰シ呻シ
【碁ケ濱力】榛シ鍍ォ曇シ
【禽敏力】螺ウ0
【スキル】
○エクストラスキル
愛の主導者Lv1
→最愛への贈り物
○通常スキル
共通言語
自動翻訳
状況把握
「スキルのとこ以外、物凄い文字化けしてる」
「私のも。あれ?哲ちゃん見てる?」
「見てるよ。ディスプレイ出てるでしょ?」
「全然見えない」
「僕も小町のディスプレイが見えない」
人のステータスは見れないようだ。
「タップすると詳細が見れるってノートに書いてあったよね?」
僕はスキルをタップした。
○愛の主導者Lv1
指揮能力が上昇し、愛する者へ力を与える。
→最愛への贈り物
最愛の相手にエクストラスキルを与える。
「なんかよくわかんないな。指揮能力が上昇して、愛する者へ力を与える?」
「私は米職人?」
「最愛の相手にエクストラスキルを与える?」
「あー私が最愛の相手だ」
「え?」
「エクストラスキルのところに2つスキルがあるよ」
「僕が米職人を与えたの?」
「ちがうみたい。過保護な防壁?ってやつかな。こういうの見るの苦手。哲ちゃんに見てほしいー」
小町がそういうと小町の目の前にディスプレイが現れた。
「あっ。小町のディスプレイ見える」
「え?ほんと?」
「うん。僕も小町に見せたいなー」
「あっ!見えた!」
ディスプレイは本人が許可したら見せることができるみたいだな。
「じゃあ小町のステータスちゃんと見るね」
「うん!小町こういうの苦手だー」
【募前】 五縺ォ腑町
【繧ュ繝】 鬲4
【職業】 孜業戎婦
【レベル】疲ォ
【窮命力】痲ウ5綻シ
【魔艦】 0
【筋匿】蔓ォ氣シ
【碁ケ濱力】琲シ后ォ曇シ
【禽敏力】濾ウ1
【スキル】
○エクストラスキル
米職人
過保護な防壁(最愛への贈り物)
○通常スキル
共通言語
自動翻訳
料理
人気者
「この『過保護な防壁』は僕が与えたみたいだね」
「じゃあ私が最愛の相手ってことだね」
いざ言葉にされると恥ずかしくなってしまったので、聞こえないふりをした。
「じゃあ詳細見たいから、スキルをタップして」
「うん」
小町はスキルをタップした。
○米職人
米作りに関する能力が上がる。
○過保護な防壁(最愛への贈り物)
いかなる攻撃からも守ってくれる防壁が常にある。
○人気者
自分が好意を向ける相手に好かれやすい。
「なんか『米職人』って小町っぽいね」
「そうだね。米農家の娘だもん」
「『過保護な防壁』は良いね。完全に小町は安全になったよ」
「やったー!モンスター討伐いこー!」
「それはダメ」
「はーい」
小町はさっき見た異世界アニメに影響されていた。
「『人気者』ってスキル良いな。『料理』も持ってるし」
「四宮さんもへこむなって書いてたじゃん」
「そうだけど、僕は『状況把握』か必要なスキルだけど…」
僕はちょっとへこんだ。
「落ち込まないの、最高のスキルで私の事守ってくれるんでしょ」
「うん」
「愛の主導者だよ。哲ちゃんが私の事を大好きでいてくれるから取得できたんだよ。それ以上に何を望むの?私は哲ちゃんに守ってもらえてうれしいよ」
「こーまーちー!」
小町は僕をやさしく抱きしめた。
やっぱり僕の妻は世界一で異世界一だ。
▽ ▽ ▽
僕達は夕飯を食べている。
スキルチェックの後、少しいちゃついて今に至る。
「おいしい?」
「うん。最高」
「最近、調理がスムーズって思ってたけど、『料理』のおかげだったんだね」
「そうなんだ。スキルってすごいね」
「そうだ。この前お米作りたいって言ってたじゃん。この島でやりたい!」
「え?」
「だって土地も広いし、スキルもある。絶対できる!」
「まあ四宮さんの前の人は畑をやつてたらしいからね」
「それじゃあ、明日家に帰ったらおじいちゃんに電話してみる」
「わかったよ。僕も楽しみだ」
僕達は夕飯を済ませ、寝室へと向かった。