67.ランヴォック騎士団長
テツジもザンもゴーレムも全員海に吹き飛ばされた。
デュドドという男は力を解放した。
やはりこの男もあのマジックアイテムを使っていたようだ。
私がどうにかこの男を倒さないといけない。
倒すためには私も力を解放するしかない。
▽ ▽ ▽
デレメメ王国は戦争に敗れた。
ザルグリッド軍政国の圧倒的な戦力で押しつぶされた。
その中でも敵の指揮をとっていたザリナタという女将軍は桁違いだった。
ザルグリッド軍政国が他国と戦争をしているときに、気になる噂が入っていた。
ザルグリッド将軍格は魔石からモンスターの力を抽出して体内に入れていると。
最初は信じていなかったが、ザリナタ将軍と戦って真実だと気付いた。
羽が生えて人とは思えない動きをしていた。
私は勝てないと気付き、王家最後の希望であるスオン様を連れて逃亡をした。
安全なところに連れて行き、再起をするために人員を集めようと考えていると部下達が捕虜になっていると知った。
私は単身でザリナタ将軍が占拠している王城へ向かった。
王城に侵入をし、怪しげなマジックアイテムを見つけた。
それが何かはすぐにわかった。
魔石から力を抽出して体内に入れ込むマジックアイテムだった。
私は王城の宝物庫へ侵入し、デレメメ王国の秘宝を回収した。
数百年も昔。
デレメメ王国は狂暴なモンスターに襲われ、街がいくつも破壊された。
その狂暴なモンスターはサーメットグリズリー。
当時の国王と国民は協力をし、サーメットグリズリーを討伐した。
王族と国民が手を取って協力をした象徴として、サーメットグリズリーの魔石はデレメメ王国の秘宝として保管されていた。
どこまで本当の話なのかは知らないが、この魔石は今使うしかない。
本当は私みたいな成り上がりの騎士団長が使ってはいけないのかもしれない。
だがデレメメ王国を救うためだ。
歴代の騎士団長達には死んだら説教されよう。
私は魔石を入れ、マジックアイテムを使用した。
そこからの話は脱出した騎士から聞いた話になる。
私は暴走をしてザルグリッド兵と戦いを繰り広げ、王城を完全に破壊。
捕虜になっていた者達はその隙に逃亡。
騎士数人が暴走する私を遠目で監視してくれていたおかげで、暴走が止まって気絶した私は騎士達に回収された。
▽ ▽ ▽
私はデュドドの攻撃を防ぐ。
やはり力を解放している相手の攻撃を重いがなんとか防げている。
デュドドは攻撃をしながら口を開く。
「あー。クソ。やっぱり意識を持ってかれてたか」
強力で雑だった攻撃が減ってきているとは感じていたが、意識が戻ったみたいだ。
「おっさん。さっきまでの俺よりも強いから気を付けろよ?」
「ぐっ!があっ!」
4本の腕から繰り出される攻撃はさっきまでの雑さが全く無い。
デュドドの拳に鎧を少しずつ破壊される。
私も解放するしかない。
身体の中にあるモンスターの力を解放するように魔力を流す。
▽ ▽ ▽
「ん?ここは」
私は海に浮かんでいた。
デュドドの攻撃で意識を失っていたみたいだ。
私は翼を広げて海岸の様子を見る、テツジ様もマオもいない。
戦場は異様な光景だった。
デュドドの腕は2本折られて、巨大な魔獣人族のような人物に攻撃をされ続けていた。
魔獣人族のような人物の正体は顔の特徴から辛うじてランヴォックさんだと分かった。
ランヴォックさんが両腕で地面を叩く。
すると地面から巨大な金属の腕が現れ、デュドドを叩き潰した。
巨大な金属の腕は音を立てながら圧縮されて、球体になる。
球体は潰れたデュドドにくっつき、大爆発を起こした。
ランヴォックさんの圧勝だった。
「グウオオオオオオ!!!」
ランヴォックさんが雄たけびをあげる。
海岸が勝利の雰囲気になると思っていたが、様子がおかしい。
騎士達がランヴォックさんに剣を向けた。
「グラアアアア!!」
ランヴォックさんは雄叫びをあげながら騎士達を襲いだした。
私はすぐに海岸に着地し、腕を『龍化』させてランヴォックさんの攻撃を防ぐ。
「これはどういうことなんですか?ランヴォックさんじゃないんですか」
私は騎士に問いかけた。
「だ、団長です。団長からこの状態になったらすぐに殺すように命じられているんです」
「は?どういうことです?」
「団長の意識はないんです。暴れ尽くすまで元には戻らないんです」
騎士達の表情は暗い。
「グオオオ!」
小さな金属の球が私達の身体に張り付いて爆発した。
「がっ!」
「ぐああ」
「うわあ」
爆発で怯んでいる騎士達をランヴォックさんは殴り飛ばしていく。
私は再び両腕を『龍化』させて、ランヴォックさんに攻撃をする。
「ガアアア!!」
ランヴォックさんの腕に付いている金属の鍵爪が私の肌を抉る。
『龍化』状態の肌を抉られるとは思っていなかった。
「グワアアアア!!」
大きな螺旋状の金属が現れる。
螺旋状の金属は回転をしながらこちらに向かってきた。
『土潜』で攻撃を避けるが、螺旋状の金属は地面を抉りながら追ってくる。
「ぐっがああ!」
螺旋状の金属に追いつかれ、背中を大きくえぐられる。
このままだと殺されてしまう。
それに島も破壊される可能性がある。
私は決心した。
ランヴォックさんのように自我を保てなくなるかもしれないが『龍化』を使う。
▽ ▽ ▽
ダルンがガレー船の修理を進めていた。
島の戦闘が気になっていたが、ザンやクリフがいるから大丈夫だろう。
「「「うわああ!!」」」
奴隷達の叫び声が聞こえた。
奴隷達の視線の先を見ると、船の横の海面に見覚えのあるモンスターがいた。
ノヴァさんのタックだ。
「ノヴァさんですか?」
僕が叫ぶと、タックの甲羅の上にノヴァさんが現れた。
「あれ?プン?」
「はい!」
「テツジの連鎖玉が割れたから来たんだけど」
昨日の夜、テツジ様から海賊が来たら、連鎖玉を割ると聞いていた。
テツジ様はノヴァさん達の到着が奥の手だと言っていた。
「ノヴァさん!海賊が島に攻め込んできました!それとこの船にいろんな種族の奴隷がいて、魚人族もいます」
「本当!?」
ノヴァさんは跳び上がって甲板に乗った。
「はい。船内の下層にいます。僕達は船を修理したら島に戻るつもりです」
「わかった。うちも一緒に行くよ」
僕はノヴァさんを魚人族の元に案内した。




