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60.サバゲー女子

今日は小町とドグドとアデスと買い物だ。


何を買うかは教えてもらえなかった。

行先は下平ミリタリーショップ。

小町がいつの間にか下平店長に連絡をしていたみたいだ。


「小町―そろそろ教えてくれよ」

僕がそう言うと小町がとびっきりの笑顔を向けた。


「秘密の方が楽しいでしょ?」

「うーん。お金はだいぶあるからいいけど、武器はもういらないからね」

「わかってるよー」

本当に何を買うのかわからないまま運転を続けた。


「あー!ドグドくん!あれ!イヌだよ!」

「本物だー!!」

ドグドとアデスは後部座席ではしゃぎ続けていた。


なんだかんだこんな日常が幸せなんだとしみじみ思った。


▽ ▽ ▽


下平ミリタリーショップに到着した。


店に入ると、いつもと様子が違う。

見たことのないブースがあった。


店内を見渡していると、店の奥から下平店長が出てきた。

「あーいらっしゃいませ!お待ちしてましたよ」

「なんか妻がすみません。何か無理を言われませんでしたか?」

「いえいえ。私もワクワクしながら商品を用意しましたよ」


下平店長はニコニコしていた。


「僕は何も聞いてなくて……。もしかして妻が用意させたのってこれですか?」

僕は新しくできていたブースを指差す。


「はい!サバゲー用の服や装備一式をご用意いたしました。男性用女性用子供用、様々な種類をご用意しました」

「あーなるほど」


僕は小町の考えが分かった。

ノヴァさんからテツコマチの料金としてもらった着装の指輪に入れるものを買いに来たのだろう。


「奥様のご要望通り、女性用の服は可愛いものを用意しました!知り合いのサバゲー女子にアドバイスももらったので満足いくものがあるはずです」

「本当にわざわざすみません」

僕は頭を下げた。


「いえいえ。やらしい話になってしまいますが、奥様から親戚のみなさんの分もご購入とお聞きしていますので」

下平店長としても、大量に売れれば問題ないということなのだろう。


「じゃあ見せてもらいますね」

「はい。簡易的な更衣室はあちらにございますのでご自由にお使いください。私はこのあとサバゲー体験の予約が入っていて、準備をしてくるので30分ほど外させていただきます」

そう言うと下平店長は店の外へ出ていった。


▽ ▽ ▽


結論を言うと、下平店長のセンスは抜群だった。

僕やクリフ達が着るであろう男性用もかっこいいが、女性用と子供用が抜群にセンスが良かった。


「パパー」

「哲ちゃん!どうどう?かわいい?」

更衣室から満面の笑みでこちらを見ている天使は僕の妻だ。

そしてその横にいる小さな天使は僕の娘だ。


「ごちそうさまです」

「え?良いってこと?」

「うん。最高にかわいい」

まさかミリタリー系の服までこんなに似合うとは思っていなかった。

僕が褒めると2人は嬉しそうに更衣室に戻っていった。


ドグドがテクテクと僕の元にやってきた。

「パパ、どう?」

「おーかっこいいぞ!」

「本当に?」

「ああ。もっと強くなっちゃうかもな」

「へへー」

ドグドの嬉しそうに飛び跳ねた。


小町は何着か試着し終わると、買うものをまとめ始めた。

「いいのあった?」

「うーん。女性用のかわいいのは全部買っていい?」

「え!?」


驚いていると上目使いで詰め寄ってくる。

「ダメ?」

「えーっと。お金は余裕があるからいいけど買いすぎじゃない?」

「だってープロールもペペンも絶対似合うよ?私もアデスも似合ってたでしょ?」

「……うん」

「じゃあいい?」

「いいよ」

「やったー」

僕は一生小町に勝つことはできないみたいだ。


小町と一緒に買うものをまとめていると、下平店長が店に戻ってきた。

「決まりましたか?」

「はい!今まとめてます」

「それは良かった!ところで五十嵐さん、ご相談があるのですが」

「なんでしょう?」

下平店長からの相談なんて初めてで驚いた。


「サバゲー体験をこの後するのですが、参加予定だった1組がキャンセルなりまして、代わりに参加されませんか?」

「サバゲー体験ですか?」

「はい。もう1組の参加グループも4人組の初心者なんです」

「なるほど、娘と息子も参加できるということですか?」

「はい。危険はありませんが、弾が当たるとちょっと痛かったりするので心配でしたら無理はしなくて大丈夫ですので」

「ちょっと聞いてみますね」

「はい」

僕は3人の元に向かった。


「サバゲーの体験をしないかって言われたんだけど」

「えーやってみようよ」

小町は乗り気だった。


ドグドとアデスに弾が当たってもノーダメージだろうけど、親としては少し心配だ。

「下平さんが銃を使った戦いの遊びをしないかって言ってたんだけど、ドグドとアデスはやりたい?弾が当たると少し痛いかもだって」

「「やりたーい」」


僕の心配は杞憂だったみたいだ。


僕は下平店長に参加すると伝えた。

銃を貸してくれると言われたが、時間が余ったら射撃練習場で練習しようと思っていたので銃は持ってきていた。


僕達は服の清算を済まして、サバゲー体験に向かった。


▽ ▽ ▽


「楽しかったね!」

「「うん!」」

帰りの車の中で3人は満足げに話していた。


サバゲー体験は楽しかったが結果はボロ負けだった。


相手チームは社会人4人で、こちらに子供がいるので最初は手加減をしようとしてくれていた。

だけどミニガンを振り回すドグドにビビったのか、初戦から普通に戦った。


敗因はリロードだ。

島で使うときはリロードを自分ですることがない。

なので残弾管理などがボロボロで、すぐにやられてしまった。


体験なのでいろいろなルールを遊ばせてもらった。

ドグドもアデスも楽しそうにしていたので、参加してよかった。

2人共テンションが上がっていたのか、体験後に相手チームの人に話しかけちゃうくらい楽しかったみたいだ。


そんなことを考えながら運転していると小町が話しかけてきた。

「楽しかったけど疲れたね」

「そうだね。でもステータスが上がってるから昔より動けてびっくりした」

「よーし!なんかやる気が出てきたー。帰ったらザンとアデス用に尻尾と羽根を出せるように改造するぞー」


よくわからないが小町はハイになっていた。

普通は心配すべきなのだろうけど、ハイな小町も可愛かった。




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