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54.サハギン討伐大作戦⑥

別荘に戻ってきた。

東の崖は異常なかった。


「哲治くん。戦況はどうじゃ?」

シゲ爺が話しかけてきた。


「はい。上位種が現れたので、今対応しているところです」

「そうかそうか。それで今からどこに行くんじゃ?」

「ビーチでオクトン達と合流するつもりです」

「ならわしも行くぞ。暇でしょうがなかったんじゃ」

シゲ爺は肩を回しながら言った。


「上位種も居て危険ですよ」

「大丈夫じゃよ。ささ、ビーチに向かおう」

僕はビーチに向かうシゲ爺に付いて行った。



「オクトン!カーレ!」

ビーチに着いた僕は焦った。


オクトンとカーレがビーチで倒れていたからだ。

しかもオクトンは血だらけだ。


そしてオクトン達の近くに立ち、僕をニヤニヤしながら見ているサハギンがいた。

今まで見たサハギンより身体が大きく筋肉質で、大きな三又の槍を持っている。


これはまずい。

そう感じるほどの威圧感があり。

僕は恐怖を感じて動けなくなっていた。


「サハギンキングじゃな」

シゲ爺の声で我に返った。


「シゲ爺。逃げましょう」

僕は撤退しようとしたが、サハギンキングはすでに僕達の目の前まで移動していた。


ダメだ。これは死ぬ。

シゲ爺だけでも逃がさないと。


僕は目をつぶり、腕を開いてシゲ爺の前に飛び出した。


ドシュッ!


ものすごい音がした。

僕は攻撃されたのだろうか。

だけど痛みがない。


恐る恐る目を開くと、サハギンキングは吹き飛ばされていた。

そして僕とサハギンキングの間には見知らぬ長髪で白髪の若い男性が立っていた。


「え?誰?」

僕は見知らぬ人の登場で動揺した。

「シゲ爺は?」

辺りを見回すがシゲ爺の姿はなかった。


見知らぬ男性が振り向いて、口を開いた。

「哲治くん。サハギンキングはまだ君には厳しい。わしが倒すから見ておきなさい」

見知らぬ男性の喋り方はシゲ爺そっくりだった。


「え?シゲ爺なんですか?」

見知らぬ男性は僕を見てにこっと笑った。


「白焔刀」

男性の手に白くて美しい刀が現れた。


男性はサハギンキングに向かって行く。

「まずは刀の稽古をわしが直接つけてやらないとダメじゃな」

そういって男性はサハギンキングを斬りつける。


ギャア!

「これでは倒せないのは知っておる」


男性は距離を取り、刀の先端をサハギンキングに向けた。

「散るんじゃ、白弾星」


バチバチバチバチ


サハギンキングの身体から音が鳴り始め、苦しみ始めた。

ググギャアア!


サハギンキングの身体から火花が飛び散っていく。

「そろそろ時間みたいじゃ。白焔柱」


男性はサハギンキングの足元に刀を投げると、そこから大きな火柱が上がりサハギンキングを焼き尽くした。


▽ ▽ ▽


僕は男性に駆け寄った。


「シ、シゲ爺なんですか?」

「ああ。そうじゃ。哲治くん、ちょっと身体を支えててもらえるか」

「え?」

すると男性の身体が光りだし、光が止むといつものシゲ爺の姿に戻った。


「本当にシゲ爺だったんですね」

「そうじゃよ。このスキルを使うと、数時間は動けないんじゃ。別荘まで運んでくれると助かるのお」

「わかりました。でもちょっと待ってください」

僕はゆっくりシゲ爺をビーチに寝かせた。


トランシーバーを取り出し、みんなに確認を取った。

「こちら哲治。みんな大丈夫か?」

「こちらクリフです。オクトンとカーレ以外は合流して南の海岸に居ます。上位種3匹を倒しました」

「わかった。ビーチに来てもらえる?オクトンとカーレが倒れている」

「わかりました。テツジ様、先ほどの炎はいったい」

「それはあとで説明する」

「わかりました」


僕は通信をやめ、みんなの到着を待った。


▽ ▽ ▽


無事にサハギン達は殲滅できた。


軽傷者は数名、まだ寝ている小町とプロール、重傷者はジラとオクトンとカーレ、そして反動で動けなくなったシゲ爺。

僕の知らないところでいろいろ起きていたようだが、後で報告を聞けばいいだろう。


「みんなにホワイトポーションとブラックポーションを配りました」

クリフがそう言いながらやってきた。


「ありがとう。オクトンとカーレには?」

「はい。オクトンには飲ませましたが、カーレには飲ませる方法がわからず身体に塗っておきました」

「ありがとう。とりあえずみんなの話を聞きたいから、ザンとプンとデルンを呼んでもらえる」

「わかりました」


僕はみんなから上位種との戦闘について聞くことにした。


▽ ▽ ▽


数時間が経ち、小町とプロールが目覚めた。

オクトンとカーレもポーションのおかげで全快とは言えないが回復した。


「頑張ったね、小町」

「ううん。途中で眠らされちゃったから……」

小町は少し凹んでいた。


「小町がしっかり指示を出してプロールを避難させたんでしょ?」

「うん」

「それにマオが来るまで時間を稼いだ」

「それは『過保護な防壁』のおかげだから」

もっとみんなの力になりたいと思ったのだろう。


ドグドとアデスがやってきた。

「ママ!アデスちゃんから聞いたよ。かっこよかったんだってね」

「凄かったんだよ。しゅぱぱぱってしてた!ね?」

「う、うん」


小町は2人の勢いに吞まれていた。

これで少しは元気が出てくればいいのだけど。



「小町。シゲ爺のことなんだけど」

「おじいちゃんがどうしたの?」

「実は……」

僕はサハギンキングとの戦闘について話した。


「え?何それ」

「小町も知らなかったか」

「知らないよ。若いおじいちゃんがサハギンキングを倒したなんて信じられない!」

「本当なんだよ。しかもスキルも使いこなしてるみたいだった」

「うーん」

小町は首を傾げた。


「スキルの影響で今は動けないみたいだから、回復したら話を聞こう」

「うん。そうだね」

小町は頷いた。


「今日はこのまま休んでて。昼ご飯はみんな適当に食べたし、夕飯は出前でも取るから」

「ありがと、哲ちゃん」


僕はアデスとドグドの方を向いた。

「頑張った2人は何を食べたい?」

「「うーん」」


2人は悩んでいた。

「あっ!僕、あれ食べたい!お寿司」

「俺も!」


今日はみんな頑張ってくれたし、高い寿司でも頼むことにするか。



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