53.サハギン討伐大作戦⑤
サハギンナイトの槍を弾いたのは。
パペットゴーレムのエレだった。
「援軍がきた…」
エレは長い鼻で槍を掴み、サハギンナイトに投げた。
ギャギャ!
サハギンナイトは槍を避け、エレに向かって走って行く。
サハギンナイトはエレを掴もうとするが、鼻で攻撃を弾く。
ギャラララ!
エレの鼻はサハギンナイトの腕に巻き付き、持ち上げて地面に叩きつけた。
ギャラララ!
エレはサハギンナイトを離さず、何回も何回も地面に叩きつける。
ギャ……
サハギンナイトはもう動く力がないようだ。
オイラはサハギンナイトに近づきに絶斬を振り下ろし、首を切断した。
「エレ。ありがとう」
エレは飛び跳ねている。
「残りのサハギンも手伝ってくれ」
エレは顔を縦に振った。
エレとドルンと共に残りのサハギンを倒しているとトランシーバーから声がした。
「こちらクリフです。眠らせる能力を持っている上位種を南の海岸で確認しました」
「了解」
「いまはマオが対応しています」
「小町は?」
「大丈夫です。いま救出しました」
「よかった。ありがとう。危なくなったら僕も向かうから」
「はい。わかりました」
南側で眠らせる能力を持つサハギンが出現したようだ。
「早く片付けて、南側に行こう」
オイラ達はサハギンの殲滅を進めた。
▽ ▽ ▽
吹き飛んだ僕を助けてくれたのはパペットゴーレムのジラだった。
「ジラありがとう」
ジラは長い首を縦に振った。
ジラは僕を地面に置き、サハギンジェネラルに向かって走って行く。
ジラはそのままサハギンジェネラルに突進をした。
ギャララ!
サハギンジェネラルは腕で防御するが、海に吹き飛ばされた。
「おお。強い」
僕はジラの強さに驚いた。
ペペンが僕の元にやってきた。
「プン。大丈夫?」
「うん。上位種はジラに任せて、僕らは残りのサハギンを片付けよう」
「わかったわ」
僕達はハンドガンを握り、サハギン達に向かった。
ジラは海から飛んでくる水の塊や水の槍を首を振って弾いている。
ギャラララ!
サハギンジェネラルは海から飛び出し、ジラに飛び掛かる。
首を振ってサハギンジェネラルの顔面を殴打するが、まったく怯まず向かってくる。
怯まず向かってくるサハギンジェネラルは4つ腕でジラを掴んだ。
ギラララララ!
ジラは殴打し続けるがサハギンジェネラル離さず、ジラの身体を裂こうとしている。
ジラの身体は少し裂け、綿が出てくる。
ギャラララ!
ジラの腕が引きちぎられた。
「まずい」
僕はすぐにジラを助けに行こうとしたが、どこからか叫び声がした。
「ジラ!上にあげて!」
ジラは首をサハギンジェネラルの股下に潜らせ、宙に弾き飛ばした。
サハギンジェネラルが弾き飛ばされた先にはドグドくんがいた。
「ジラ!ありがと」
ドグドくんはそういうと身体がどんどん大きくなった。
そしてグローブでトゲトゲが付いた拳を振り、サハギンジェネラルを地面に叩きつけた。
ドグドくんは大きな身体のまま、叩きつけられたサハギンジェネラルを踏み潰しながら着地した。
着地をすると、身体がいつもの大きさに戻った。
「ジラ、プン、ペペン。大丈夫?」
「僕達は大丈夫だ。だけどジラは……」
ドグドくんはジラの元に向かった。
「ジラ、ママに直してもらえるようにお願いするから、家で待ってて!腕は俺が持っていくから」
ジラは首を縦に振った。
「プン、ペペン。休んでて!残りは俺がやるよ」
そういってドグドくんは身体を大きくさせた。
トランシーバーから声がした。
「こちらクリフです。眠らせる能力を持っている上位種を南の海岸で確認しました」
「了解」
「いまはマオが対応しています」
「小町は?」
「大丈夫です。いま救出しました」
「よかった。ありがとう。危なくなったら僕も向かうから」
「はい。わかりました」
南側がまずい。
休んでいる場合じゃないな。
「ドグドくん!南側に眠らせるサハギンがいる」
「わかった!すぐ終わらせるよ」
僕達も残りの残党を倒していった。
▽ ▽ ▽
テツジ様の作戦は概ね上手くいった。
エレとジラとマオを最初から配置するのではなく、眠らせる能力をもっている可能性がある上位種にぶつける作戦だ。
パペットゴーレムは元々眠らない。
眠らないエレ達を眠らせるなんて無理な話だ。
唯一予想が外れたのは上位種が分散したところだが、こちらもエレ達を分けて向かわせた。
ここの戦いを早く終わらせ、一番強いであろうサハギンジェネラルがいる北西の海岸に向かう。
「アデスちゃんは魔法とステッキで遠距離から攻撃してほしい」
「うん!」
「マオは『同志討たず』を取得していないから攻撃しないように気を付けてくれ」
「わかった!」
アデスちゃんは空を飛び、海岸に向かった。
「ドルンは私と一緒に来てくれ、さっきのように足場を頼む」
「わかった!」
私とドルンも海岸に向かった。
海岸ではマオが武闘家のように身体を動かしてサハギンウィザードの攻撃をしているが、水の壁などで防がれていた。
アデスちゃんも遠距離攻撃しているが、すべて防がれる。
「ドルン。足場はできた?」
「出来た。なんかあったら言ってくれ、オイラも近くに行けさえすれば戦える」
ドルンはハンマーを取り出して言った。
「ありがとう。とりあえず今は大丈夫。何発か撃ったら場所を変えるつもりだからよろしくね」
「わかった」
私は足場を登り、寝そべりってスナイパーライフルを構えた。
戦況は変わっていない。
マオとアデスちゃんの攻撃はサハギンウィザードに防がれている。
「意識外の攻撃なら当たるんじゃないか?」
私はサハギンウィザードの頭を狙って、引き金を引いた。
バシュン!
弾丸はぎりぎりのところで避けられてしまった。
「これを避けますか」
スコープ越しでサハギンウィザードと目が合う。
「まずそうですね」
サハギンウィザードは私に向かって水の矢を放った。
「ドルン!降りますよ」
「大丈夫。クリフはそのまま攻撃を続けて」
「え?」
ドルンは私の前に立ち、宙を掴み始めた。
「オイラが守るから!」
水の矢はドルンが触れている宙に弾かれた。
「ドルン、ありがとう!」
私は再度スコープを覗いて狙いを定めた。
魔法で防がなかったということは、魔法の発動が間に合わなかった?
反射神経だけで避けたのなら……。
私は引き金を引いた。
バシュン!
すぐにボルトを引いて、もう1発撃ちこむ。
バシュン!
サハギンウィザードは1発目を避け、2発目は水の壁で防いだ。
「いいんですか?こっちを防いで」
2発目を防いだ瞬間、マオの強烈なパンチがサハギンウィザードを吹き飛ばした。
吹き飛んだサハギンウィザードを狙い、アデスちゃんもステッキを投げた。
私もすぐにボルトを引き、引き金を引いた。
ステッキは水の壁で防がれた。
「次はこっちを防いだ方がいいですよ」
私が放った弾丸はサハギンウィザードの額に当たり、貫通した。
「終わりましたね。ドルン、ありがとう。助かりました」
「オイラも役に立ててよかった」
私達はアデスちゃんとマオの元に向かった。
「倒せてますよね?」
「うん!」
アデスちゃんは笑顔で言った。
「マオはコマチ様とプロールの警護をお願いします。アデスちゃんとドルンは私と一緒に北西の海岸に向かいましょう」
私がそういうと遠く海岸沿いにプン達がいるのが見えた。
プン達だけでなくザンやダルン達もいる。
「大丈夫でしたか?」
「ああ。ギリギリ」
プンは少し怪我をしているようだ。
「眠らせるやつは倒したのか?」
「今倒したよー」
アデスちゃんは嬉しそうにみんなに伝えた。
「じゃあこれで終了ですね。テツジ様に報告を」
ドゴゴゴゴゴゴゴ!
トランシーバーを取り出そうした瞬間、ビーチの方角で火柱が上がった。




