49.サハギン討伐大作戦①
みんなを広場に集めた。
小町とドグドとアデスはお説教タイムなのでいなかった。
「みんな。申し訳ないけど手伝ってほしい」
みんなはソワソワし始めた。
「実は……」
僕は今日あったことをみんなに話した。
「それで、この島にサハギン達を誘導して討伐したいんだ。もしかしたらこの集落や田んぼが壊れたりしちゃうかもしれない。だけど海賊がこの島に気づく前にサハギンを討伐したい。だから協力してほしい」
僕は頭を下げた。
するとクリフが口を開いた。
「協力するに決まってるじゃないですか。頭を上げてください」
「そうですよ。私達はテツジ様に命を救ってもらって、こんなに素晴らしい生活をさせてもらってるんです」
「僕も戦いますよ。こんなに良くしてもらってるんですから」
「私達はテツジ様の奴隷なんですから。命令をしないところがテツジ様の素晴らしい所なんですけどね」
「何を建てます?メタルフィッシュで何でも作りますよ!」
「海では戦えなくて悔しい思いをしましたからね。頑張りますよ」
「オイラも頑張ります」
僕はみんなの言葉を聞いて泣きそうになった。
本当にいい仲間、いや、家族を手に入れた。
「わかった。ありがとう。作戦は今日中に考える。だからみんなは銃の練習をしておいてくれ」
「「「「「「「わかりました」」」」」」」
僕は広場を離れた。
「作戦に絶対必要な存在を連れて来ないと」
▽ ▽ ▽
別荘に入ると、小町が泣いていた。
当然ドグドとアデスも泣いてる。
3人は泣きながら抱き合っていた。
「どういうことですか?」
僕はその場にいたしげ爺に聞いた。
「ははは。最初は怒ってたんじゃが、2人に何かあったらって話しているうちに小町が泣き始めて。それを見た2人も謝りながら泣き始めたんじゃ」
「あー。なるほど」
僕は3人の元に行った。
僕に気づいたドグドとアデスが叫んだ。
「「パパー!ごめんなさいー!」」
「ちゃんとママに怒ってもらった?」
「「うんー」」
小町を見ると頷いているから、ちゃんと反省させたみたいだ。
父親として僕がやれればいいんだけど苦手で。
小町にはほんと頭が上がらない。
「今度からはちゃんとパパやママや他の人の話を聞いてね。約束だよ」
「「うん」」
泣きべそをかきながら2人は頷く。
「それにサハギン達を討伐することにしたんだ。それには2人の力もいる」
「「で、でも…」」
2人は自分が約束を守れる不安なようだ。
「今回はパパもしっかり2人に言うから。だから信じて手伝ってくれない?」
「「うん!手伝うー」」
2人は泣きながら抱きしめてきた。
「よし。じゃあ2人ともザン達の所に行ってて。ちゃんとザンの言うこと聞くんだよ?」
「「わかった!」」
2人はザンの元に向かった。
小町が近づいてきた。
「ごめんね。色々任せちゃって」
「大丈夫。哲ちゃん怒るの苦手だもんね。支えあうのが夫婦だから気にしないで」
「ありがとう」
本当に小町は良い妻だ。
「それで討伐って?」
「うん。しげ爺にも聞いてほしいんだけど……」
僕は今日あったことと、島で討伐をしようと思ってることを話した。
しげ爺が口を開いた。
「上位種か。それはサハギンキングがいるかもじゃの」
「サハギンキング?」
「ああ。サハギンの最上位種じゃ」
首を傾げた小町が口を開いた。
「おじいちゃんは何で知ってるの?」
「ああ。ザン達に聞いたんじゃよ」
「そっか。おじいちゃんはずっとこっち住んでるもんね」
「そうじゃそうじゃ」
「それでサハギンキングって強いんですか?」
「強いぞ。気合入れないとダメかもな」
「はい。しっかり作戦を建てます。討伐の時は2人は別荘に居てください」
「いやだ!」
「え?」
小町は僕の提案を拒否した。
「ワシも隠れてるのは嫌じゃな」
「しげ爺まで!」
小町が僕の目を見て口を開く。
「みんなが戦うのに私だけ隠れるなんて嫌!」
「だけど……」
「私は哲ちゃんのスキルのおかげで攻撃を受けない!だから大丈夫」
この目は絶対に退かない目だ。
「ワシも最前線は難しいかもじゃが、これがあるから少しは戦うぞ」
しげ爺はリボルバーを取り出した。
「はぁー。わかりました。その代わり僕の指示には従ってください」
「うん!」
「ははは。従うぞ」
サハギン討伐には集落全員参加が決まった。
▽ ▽ ▽
夜になった。
僕は車を飛ばしていた。
小町としげ爺の参加が決まって、すぐに家に行ってあるところに電話をした。
下平店長だ。
下平ミリタリーショップに到着した。
お店には明かりがついていた。
僕は中に入った。
「五十嵐さん、お待ちしてましたよ」
「すみません。無理なお願いをしてしまい」
「構わないですよ。こちらが例の物です」
下平店長はアルミのアタッシュケースを出した。
「説明書などは入っております。できるだけシンプルなのを用意しました」
「ありがとうございます。このお店にそういえば売ってたなって思ったんで、電話してよかったです」
「一応、そっちの趣味もあるんでね。それにサバゲにも使う場合があるので」
「ほんと助かりました。ありがとうございます」
僕は頭を下げ、店を出た。
「あとはこれがマジックアイテムになるかどうかだ」