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48.バブルトレントドラゴン

ドラゴンのような姿になったカーレはものすごい速さで船に向かって行った。


「凄いよ、カーレ」

ドラゴンのような姿だが植物だからなのか、声を発することはなかった。


船に着くと、カーレは僕達を甲板に降ろした。


「大丈夫ですか?」

クリフとデルンが心配そうに聞いてきた。

「間一髪だった。棲み処を見つけてサハギンと戦闘になったんだけど、戦ってる最中にみんなが寝ちゃったんだよ」

「「え?」」

2人は驚いていた。


「たぶん。スキルか魔法を使うサハギンの上位種が居たんだと思う。見たことのないサハギンが3匹いたからね」

「なるほど。魔法なら闇魔法を使うサハギンですね。ちょっと厄介かもしれません」

「そうだね。戦い方を考えないといけないかも」

眠気対策を考えるが、なかなか難しそうだ。


「テツジ様。こちらも報告することがありまして」

クリフは真剣な表情で言った。


「ん?報告?」

「はい。テツジ様達が海に潜ったあと、魔法で攻撃されました」

「え?」

想定外の報告で俺は驚いた。


「攻撃って、大丈夫だったの?」

「はい。敵が遠くに居たので、船も我々も無事です」

「遠く?」

僕は首を傾げた。


「渦潮を挟んだ向こう側に船が2隻ありました。そこからの攻撃です」

「え?モンスターじゃないの?」

「はい。あちらにも私のように遠くを見るスキルを取得しているものがいたのでしょう。大量の魔法が飛んできましたが、すべて外れました」

「よかったー。それでその船は?」


クリフはスナイパーライフルを覗いた。

「2隻あったので、1隻の船の船腹に数発撃ちこんで穴を空けておきました」

「おー」

「乗ってた者達は船を乗り捨てて去っていきました」

クリフのスキルがあったからできたことだろう。


「でもいきなり魔法で攻撃してくるなんて物騒だな」

「はい。風貌から予想するに、海賊の可能性があります」

「海賊?」

「はい」

海賊か。まためんどくさそうなイベントが起きそうだ。


「もしかすると私達が乗っていた船が目的地に到着していない情報を得て探しに来ている可能性もあります」

「なるほど」

クリフ達が乗っていた船には大量の奴隷が乗っていた。

それをどこかに運んでいたということは、当然それを待っていた者もいる。

探しに来てもおかしくはない。


「わかった。とりあえず一旦島に戻ろう。寝てるみんなも心配だし」

「わかりました」

クリフはすぐに操舵室に入り、海斬丸を出発させた。



僕はカーレのことが気になり、自分のステータスを開いた。

「ステータス」


テイムモンスターの欄にカーレが入っていた。

「やっぱりテイムしてる。レベル51のバブルトレントドラゴン?」


バブルトレントドラゴンに触れると詳細が出てきた。


〇バブルトレントドラゴン

 バブルトレントの最上位種の1つ。

 見た目はバブルトレントと変わらないが、体を伸ばすことができる。

 伸ばした体をドラゴンのような姿にし、身を守る。



「あーやっぱりドラゴンではないのか。でも最上位種?ってやつならやっぱり強いんだよな。追ってきたサハギン達の身体を貫通してたし」


僕は船に引っかかりながら海を漂うカーレを見た。

「この姿を見たら、誰も信じてくれなそうだな」


▽ ▽ ▽


島に戻ってきた。


到着と同時くらいにみんなの目が覚めた。

「「んん」」


とりあえずドグドとアデスは小町行きだ。

「クリフ。ドグドとアデスを小町の所に連れて行って。何をしたのかも小町に伝えて」

「わかりました」

クリフはドグドとアデスを連れて行った。


「テツジ様。申し訳ありません!」

ザンが頭を下げた。

キュー

オクトンもしょんぼりしていた。


「気にしないで。それよりちょっと面倒そうなことが起きた」

「面倒そう?」

僕は寝ている間の出来事を伝えた。


「上位種が3匹。それに海賊が攻撃してきた……」

「うん。目的はわかんないけど、海斬丸を見られたから人がいるってのはバレている。渦潮は稀に船が通れるようになるってノヴァが言ってたし、タックのような渦潮に負けないモンスターを連れてくる可能性もあるから対策をしておきたい」

「なるほど……。そうですね」

ザンは真剣な表情で頷いた。


「だから、サハギン討伐は速めにやらないと」

「眠らせられるのはどうしますか?」

「うーん。僕が眠くならなかったから、距離が関係してると思うんだ」

「そうですね。さすがに広範囲ではないと思います」

「だから島で迎え撃つ」

「「え?」」

キュ!?

ザンとデルンとオクトンは驚いていた。


「僕の都合なんだけど、海の中はやれることが少なすぎて択が少ないんだ」


僕は昔からいい作戦が思いつくタイプではないが、そういうのを思いつく人間がずっと近くにいた。

そのおかげで少しはやれる。

だけど海の中だとやれることが少なすぎる。

それをどうにか解消したかった。


「島まで誘導する方法は力業になっちゃうし、ザンやオクトンには頼りっきりになる」

「任せてください」

キュー!

「それにカーレがいる」

「カーレですか?」


僕はカーレがバブルトレントドラゴンだったことを伝えた。

「「え?最上位種!?」」

ザンとデルンは驚いている。


オクトンはずっと頷いているから知っていたのだろう。

そういえばバブルトレントか聞いた時に毎回否定のリアクションをしていた。


「だから島に全員連れて来れれば、どうにかできると思うんだ。だから手伝ってほしい」

「わかりました。やりましょう!」

「簡易的な防壁ならダルンに頼めばすぐ作れます!」

キュー!キュー!


あまり戦いとかはしたくなかった。

だけどやるしかない。

この島のみんなとここでの生活を守るためだ。


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