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46.刀の稽古

倒したカニのモンスターを集落に運んできた。


ザンに教えてもらったが、僕が倒したのがサンドクラブ。

オクトンが倒したのはチャイルドサンドクラブというらしい。


サンドクラブは身がジャリジャリしていて食べるのには向いていないらしい。


「金鍔じゃ攻撃が通らなかったよ」

「クラブ型のモンスターは甲羅が固いですからね」

「ザンは日本刀使えるの?」


ザンはなぜか少し気まずそうにした。

「少しだけですが」

「もしよかったら、空いてるときに教えてくれない?」


ザンは少し黙って考えだした。

「……はい。私でよければ教えます」

「ありがと!」


ザンが気まずそうにしたのが少し気になった。




▽ ▽ ▽




私とデルンはテツジ様に昨日買っていただいた日本刀を持って、シゲ爺様の家に来ていた。


「シゲ爺様。私達に日本刀の使い方を教えてもらえますか?」

「ああ。構わんよ。約束じゃしな。刀を見せてみなさい」


私とデルンは刀を渡した。

「ほー。マジックアイテムになったんじゃよな?」

「はい。テツジ様のと同じ効果が付きました」

「名前は付けたのか?」


シゲ爺様の問いかけにデルンが口を開いた。

「かっこいい日本語にしたいので、プンに漢字を教わっています」

「それはいいのー。楽しみじゃ」

シゲ爺様は笑顔で言った。



「それじゃ、毎日この時間から始めようかの」

「「はい!お願いします」」

「2人はちゃんと学んでもらって、わしから教わったことを哲治くんに教えてあげてほしい」

「「え?」」

「銃と違って、剣では壁にぶち当たるじゃろう。そのときザンかダルンに教えを乞うてくると思う。その時はわしか教わったことは内緒でしっかり教えてやってくれ」

「わ、わかりました」


その日から、私とデルンは夜中にシゲ爺様から剣の稽古をつけてもらうことが日課になった。




▽ ▽ ▽




サンドクラブを倒した翌日、僕はザンに剣を教わることになった。

ザンの他にもデルンとドグドとアデス、それにパンダのパペットゴーレムのマオがいた。


「ドグドとアデスはマオと一緒にいつも通り稽古、テツジ様は私とデルンが教えますので」

「「はい!」」

ドグドとアデスは返事をすると砂浜に向かって行った。


「テツジ様、稽古ではこれを使います」

ザンから木刀を渡された。

「おお。なんかワクワクしてきた」

「まずは基本の素振りからです」

「わかった」


僕はザンとデルンの指導を受けた。


▽ ▽ ▽


夕方になった。

僕は日中のほとんどを素振りに費やした。

ザンとデルンは基礎重視のようだ。


「あーもう手が上がんない」


僕は老いを感じ、少しへこんでいた。

まだまだ若い部類のつもりではいたが、体力のなさが顕著に出ていた。


「お疲れ様です、テツジ様」

ザンがタオルを渡してくれた。


「ありがとう。ごめんね。基礎でいっぱいいっぱいになっちゃって」

「大丈夫ですよ。最初はみんなそうです」

ザンは遠くを見ながらそう言った。


「ザンもデルンもこういう稽古してたの?」

「「はい…。それはもうきつい稽古です」」

デルンの目が死んだようになった。

2人とも初心者の頃にハードな稽古をしていたのだろう。


「テツジ様。稽古中にもサハギンが現れましたが、やはり量が増えてます」

「だよね。ドグドとアデスとマオが倒してくれたけど、やっぱり対処しないとまずいね」


僕はそれなりに刀を扱えるようになってから、棲み処探しを再開しようと思っていた。

だがさすがにアラサーの成長待ちは、いつになるかわからなすぎる。


「うん。海の中で戦える少数で調査だけでも行こうか」

「はい。それが良いと思います」

「わかった。メンツは誰が良いと思う?」

ザンは考えていた。


「私、ドグド、アデスですかね。デルンは海の中だとさすがに難しいよな?」

「そうだな。残念ながら魔法の相性も悪いし無理だ」

デルンは悔しそうに言った。


「先ほどの3人ですね」

「船を出して、クリフとデルンも遠距離から支援できるようにするのはどう?」

「問題ないと思います」

ザンは頷いた。


「じゃあ明日は棲み処探しに行こう」

「「はい!」」

「今日はさすがに疲れたから、早く夕飯を食べに行こう」


僕達は集落へ向かった。


▽ ▽ ▽


「どうじゃった?」

「はい!シゲ爺様のようにご指導させていただきました」

「よし。思ったより教えを乞うのが早かったから、心配したぞ」


私とデルンは素振りをしながら、シゲ爺様に今日の訓練の報告をしていた。

シゲ爺様から教えてもらい始めてから今日で12日だが、私もデルンも素振りしかさせてもらえない。


「2人が早く上達しないと、テツジくんの成長も止まってしまうからの。気合をいれなさい」

「「はい!」」


いつも優しいシゲ爺様だが、刀の稽古のときはとても厳しかった。

私もドルンも『剣術』スキルを持っているのにもかかわらず、シゲ爺様の基準には達していなかった。


「ザン。明日サハギンの棲み処を探しに行くんじゃろ?」

「はい」

「サハギンとゴブリンはどっちが強いのかの?」

シゲ爺様は私に問いかけた。


「陸ではゴブリン。海の中ならサハギンです。どちらも同じくらいの強さです」

「ほー。なら棲み処に上位種がいなければ問題はなさそうじゃな」

「はい。居るとしてもサハギンナイトかサハギンジェネラルだと思います」

「ジェネラルか。まあザン達がいれば大丈夫じゃな。わしの曾孫達もいるしの」

シゲ爺様はニコニコしていた。


私達はシゲ爺様に認めてもらえるように、素振りをつづけた。


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