42.冒険者との出会い
みんなの逆異世界観光が終わり、島でのんびりしていると
数日構ってもらえなかったドグドとアデスに捕まった。
与えていたDVDは2日で見終わったようで、だいぶ暇を持て余していたらしい。
「パパ!ザンにいろいろ教えてもらって強くなったよー」
「俺も!」
「そうかー。じゃあ今日は海にでも行くか?」
「「うん!」」
ドグドとアデスは笑顔で頷いた。
「じゃあ他に行きたい人がいないか、みんなに聞いてきてくれるか?」
「「はーい!」」
ドグドとアデスは急いでみんなの元へ向かった。
▽ ▽ ▽
田んぼへ向かうとシゲ爺と小町、それにプン夫妻が作業をしていた。
「あれ?育苗は終わったんですか?」
「終わったぞ。マジックアイテムのおかげでものすごく速く成長するぞ」
「今後、絶対お米には困らないですね」
「そうじゃな」
シゲ爺が言うには、近々田植えをするそうだ。
シゲ爺と話し込んでいると、ドグドとアデスがやってきた。
「パパ!クリフとザンとオクトンが行くって!」
「わかったよ。じゃあビーチでみんなを集めてくれる?」
「はーい!」
ドグドとアデスはビーチに向かった。
「ねー!どこ行くのー?私も行きたーい」
小町がそう言いながら、僕に飛びついてきた。
本当にうちの嫁は可愛い。
「ドグドとアデスが戦いたいらしいから、ちょっと海斬丸を出そうかなって」
「えー絶対行く!」
「田んぼはいいの?」
「大丈夫!私も準備するから待っててね」
そういって小町は別荘に向かった。
▽ ▽ ▽
海斬丸をマジックバッグから出して、乗り込む。
今日は漁をするつもりじゃないのでクルーザーモードだ。
「モンスターがいたら停めるから言って!あとやばくなったらすぐ逃げるよ」
「「「はーい」」」
「「わかりました」」
キュー!
「じゃあ出発!」
僕は操舵室に入り、海斬丸を出航させた。
数分進むと、前に見かけたウツボのようなモンスターが現れた。
頭が6つあるから、多分2匹だろう。
「トライデントモレイだっけ?美味しかったから、倒して回収しよう」
「「はい!」」
「「「はーい」」」
「じゃあ、1人1つ頭を倒そうか。小町とクリフは銃を使っていいよ。ザンは銃でも刀でもどっちでも」
「「わかりました!」」
「よーし!頑張るぞー!しゅわしゅわラムネ!」
小町の手にはパステルブルーのサブマシンガンが現れた。
「オクトンは、みんなのフォローをお願い」
キュー!
「じゃあ僕もやりますか!キャラメル!」
手元にアサルトライフルが現れた。
「行くよ!」
ザンとドグドとアデスはすぐに飛び上がった。
ギャーウ!
その様子を見たトライデントモレイの頭の1つが船に向かってきた。
「小町!危ない!」
僕とオクトンは小町の元へ向かうが、トライデントモレイの頭は透明なものに何かに弾かれた。
『過保護な防壁』が発動したのだろう。
想像以上の能力で僕は驚いた。
「すごいね。『過保護な防壁』だよね?」
「たぶんね。守られてるからってあんまり無理しないでね」
「うん!わかってるよ」
そういって小町はしゅわしゅわラムネを構えてトリガーを引いた。
パシュパシュパシュパシュパシュパシュ!
小町が放った弾がトライデントモレイの頭をハチの巣にした。
「ふー!うまくやれたー!」
僕は小町が無事に倒せたことを確認して、余っている頭に向かってキャラメルを構えた。
ギャーウ!
トライデントモレイは叫びながら僕に突っ込んでくる。
突っ込んでくるトライデントモレイの頭をオクトンが殴って吹き飛ばした。
「ありがとオクトン!」
キュー!
僕はすぐにキャラメルを構え、トリガーを引いた。
バシュシュシュシュシュシュシュシュ!
トライデントモレイの頭がハチの巣になった。
「よし!」
僕はすぐにみんなの状況を確認した。
4人はすでに倒し終わっていた。
ザンとドグドとアデスが戦っていたトライデントモレイの頭は切断され、クリフと戦っていた頭には眉間に風穴があいていた。
「テツジ様!死体は私の方で回収しますね」
クリフはそういうとトライデントモレイの死体をマジックバッグに入れた。
「みんな大丈夫そうなら、海斬丸を動かすけど」
「「大丈夫!」」
僕は操舵室に入り、海斬丸を動かそうとした。
すると、甲板からザンの叫び声が聞こえた。
「テツジ様!前方の海中にものすごく大きな影が!」
「え?」
「たぶんモンスターです!海斬丸を動かすと衝突する可能性が!」
「わ、わかった」
僕はハンドルから手を離し、甲板に出た。
ザンの言うとおり前方にものすごい大きな影があった。
「トライデントモレイより大きいよね?」
「はい。これは戦闘になるかもしれません」
「みんな!念のため武器を構えて!」
みんなは武器を構えた。
海中に見える影がどんどん濃くなっていく。
「テツジ様!来ます!」
海面が徐々に盛り上がっていく。
海の中から現れたの大きなカメのモンスターだった。
ギャース!
元の世界には絶対いないサイズのカメに僕は少しビビったが、やるしかない。
この世界に来て一番の強い敵であることは確かだ。
「よし!みんなで一斉攻撃だ」
僕はキャラメルを構えた。
「ちょっと待ってー!」
「え?」
カメのモンスターの甲羅の上から人が現れた。
「人?」
▽ ▽ ▽
僕たちは武器をしまった。
カメのモンスターの上にいる人は褐色の青髪の女性だった。
「えーっと」
「ごめんね!この子はうちのテイムモンスターだから攻撃しないでほしいな」
「は、はい。ところであなたは?」
「あっ!うち?うちは冒険者。【海獣の高波】のノヴァだよ」
「冒険者?」
「冒険者だー!」
異世界感が満載の冒険者の登場に小町のテンションは上がっていた。




