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33.アーマースナッパーとてつこまち

僕達は島に帰宅した。


「よーし。みんなお疲れ」

「「「お疲れ様です」」」

「「楽しかった―」」

みんなまだまだ元気なようだ。


「アーマースナッパーの鱗を剥ぎ取るの手伝って欲しいんだけどいい?」

僕がみんなに問いかけるとみんなはうれしい反応をしてくれた。

「やりますよ!」

「当然です」

「テツジ様は私達が奴隷なのを忘れてるんですか?まあ奴隷じゃなくても手伝いますが」

「「やるー!」」

みんなの優しさに泣きそうになった。


「アーマースナッパーは鱗がお金になるみたいだから傷付けない様にお願い。身は美味しいらしいから晩御飯にしよう」

「「はーい」」

「「「了解です!」」」

キュー!キュー!

僕達は漁船の上に座り込んでナイフを使って剥ぎ取りを始めた。


▽ ▽ ▽


アーマースナッパーの鱗は500円玉くらいのサイズで、何重にも重なって身体についていた。

ナイフを使えば簡単に取れるのだが、量が多かった。

オクトンが8本の脚を駆使してくれたおかげで思ったより早く終わった。


「身は小町に渡しておいて」

「わかりました」

クリフは自分のマジックバッグに鱗を剥ぎ取ったアーマースナッパーを入れていった。


僕は生簀のディスプレイをいじって、メタルフィッシュ・レッドメタルフィッシュ・ブルーメタルフィッシュ・ブラックメタルフィッシュを甲板に出した。

マジックバッグは生きている物が入らないので、全部が乾燥するのを待ってからマジックバッグにいれた。


▽ ▽ ▽


僕は変換部屋でガッツポーズをした。

残高が¥395,616,410になっていた。

金策は大成功だった。


アーマースナッパーの鱗は1枚10,000円で1匹に鱗が50枚ほどついていたのでなかなかの金額になった。

メタルフィッシュは1匹50万、上位種は200万だったのでだいぶ大成功だった。

メタルフィッシュは何かに使えるか試したかったので、1匹ずつしか変換しなかった。


僕が喜んでいると、小町が変換部屋に入ってきた。

「哲ちゃん。釣りは終わったの?」

「うん。見てよ」

「えーすごい!そんなにいっぱい釣れたの?」

「大きい網を使ったからね。それに魚自体も高額だった」

「すごいすごい!これでまたいろいろ持って来れるね」

小町はニコニコしていた。

僕の嫁は今日も天使だった。


「小町は家に戻るの?」

「ううん。お米を少し変換してみようかなって」

「あー収穫できたやつか」

「うん。とりあえずてつこまちを1俵持ってきた」

「てつこまち?」

僕は聞き慣れているような聞き慣れてないような単語に動揺した。


「お米の名前!哲ちゃんの『てつ』と小町の『こまち』でてつこまち!」

「いいね。なんか自分の名前が付くとにやけちゃうな」

「さあ!私達のお米はいくらになるんでしょうか」


小町は1俵のお米を変換機に入れ、ボタンを押した。

するとディスプレイは¥395,766,410になった。


「1俵って何キロ?」

「60キロだから1キロ2,500円だね。ものすごく高いよ」

「どれくらいなの?あんまりピンと来てないんだけど」

「実家のお米が1キロ1,000円前後だよ」

「え?てつこまち、ものすごく高いじゃん」

「うん。すごく美味しかったから高くなるとは思ってたけど、想像以上だね」

小町は驚いていた。


「まだ持ってる?」

「少しならあるよ」

小町はマジックバッグから1キロのてつこまちを取り出した。

僕はサングラスを掛け、てつこまちを見た。


○てつこまち

米マイスターの恩恵(ステータス上昇(低)・腐敗低下(中))


「うわ。これ見てみて」

サングラスを小町に渡した。


小町はサングラスを掛けた。

「あー。能力が付いちゃったんだね。しかも私の恩恵だって」

小町は少し嬉しそうだった。


「これは僕達の世界には持って行けないね」

「そうだね。知り合いにあげるくらいならいいかもだけど」

「基本は僕達で食べるか、変換だね」

僕達はてつこまちの扱い方を決めて、変換室を出た。


▽ ▽ ▽


僕はダルン達の元へ来ていた。

「テツジ様。どうしました?」

僕に気付いたドルンが近づいてきた。


「漁に行ってきたんだけど、建築に使えそうな面白い魚が居たから持ってきたんだけど」

「本当ですか?オイラが預かりますよ」

マジックバッグからメタルフィッシュの死骸を出した。


「熱を加えると液状になるらしいから、何かに使えなそうじゃない?」

「それはすごい。ものすごく硬いですし、液状になるなら建築に使えるかもですね」

そう言いながらドルンはメタルフィッシュの死骸を両手で握ると少しずつだが指の跡が付いた。

「オイラのスキルでも握りつぶせないのは相当硬いですよ」

「そういえばドルンは握力がすごいんだったね」

「そうです!」

僕の握力じゃ絶対にメタルフィッシュに跡なんかつけられない。

ドルンの握力は物凄かった。


「じゃあ渡しておくから、使い道が思いついたら教えてね」

「わかりました!」

僕はメタルフィッシュを全部渡し、別荘に戻った。


▽ ▽ ▽


今日の夕飯も広場でみんなで食べる事になった。

初めて食べるアーマースナッパーは楽しみだった。


小町が料理を運んできた。

「はーい。こちらはアーマースナッパー飯です」

名前だけ聞くと美味しくなさそうだが、見た目は完全に鯛めしだった。


「鯛めしだね」

「うん。味見したけど完全に鯛だったよ。名前も見た目も鯛だしね」

「美味そうだね。ありがと」

「まだまだあるよ。良い素材のおかげで私もおじいちゃんも気合入っちゃった」

小町はそう言うと、アーマースナッパーのカルパッチョ・アーマースナッパーの煮付けを持ってきた。

どれもものすごく美味そうだった。


続けてシゲ爺がアーマースナッパーの刺身とごまアーマースナッパーとアーマースナッパーの花椒揚げを持ってきた。

「え?すごい豪華」

「歯ごたえもちょうどよく、甘みと旨味がもの普通の鯛よりすごいぞ」

シゲ爺の話を聞くだけでよだれが出そうになった。


料理がすべて出そろった。

「じゃあ食べよう。いただきます」

「「「「「「いただきます!」」」」」」」


僕はまず刺身を口にした。

「こりこりで甘い!え?鯛ってこんなに甘かったっけ?」

「新鮮なのも影響してるだろうが、こんなに甘いのはわしも食べたことないぞ」

シゲ爺はごまアーマースナッパーを食べていた。

名前はだいぶえぐいがすごく美味い。


アーマースナッパーめしを食べようとしたら、てつこまちの能力について思いだした。

「みんな、てつこまちに『ステータス上昇』って能力が付いてたんだけど、どう?」

そういうとみんなが一斉にステータスを開いた。


「少しだけど上がってますね」

「全部のステータスが少しだけ上がってる」

「ほんとだ」

みんなは驚いていた。


「やっぱり効果はあるんだな。なんか不具合あったらすぐに教えてね」

「「「「「「「はい!」」」」」」


僕達はアーマースナッパーを堪能し、シゲ爺の新潟土産の日本酒を開けて宴会のようになった。


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