30.しげ爺帰宅
ゴーレム騒動から2日経った。
エレ達は驚くほど馴染んでいた。
エレとジラはダルン達を手伝って、船着き場を作っている。
長い鼻と長い首を器用に使っていた。
マオはザンとドグドとアデスと一緒に訓練をしていた。
手に持っていた笹を振り回している姿は、正直かわいかった。
田んぼは収穫できるくらいに稲が育っていた。
2ヘクタールの黄金色の田んぼは圧巻だった。
「しげ爺が帰ってきたらすぐ収穫できそうだね」
「楽しみだねー」
小町は早く収穫がしたいようだ。
「田んぼも広くしたいしね」
まだ家の周りの平面の土地は残っていた。
前にしげ爺が言っていた育苗をする施設も作らないといけない。
▽ ▽ ▽
しげ爺が帰ってきた。
「「お帰りなさい」」
「ただいま。いろいろ譲ってもらったり、買ったりしたぞ」
しげ爺はマジックバックからいろいろ取り出した。
「え?え?こんなに?お金足りました?」
僕はあまりの量に驚いた。
「旧型の中古だったり、譲ってもらったりしたから問題ないぞ」
「それならよかったです」
「壊れてるものもあるんじゃよ。マジックアイテムにならなかったら使えないものが」
「なるほど」
僕は納得した。
しげ爺が持ってきた物は、
トラクター1台・コンバイン1台・アタッチメント(ロータリー・ハロー・草刈り機)・軽トラ2台。
そしてビニールハウスと育苗をする機械と精米機だった。
能力の大小はあるものの、ちゃんと当たりのマジックアイテムになった。
「軽トラ2台とかどういうことですか」
「ははは。うちにずっと眠ってたものと、壊れてたのを譲ってもらったんじゃよ」
しげ爺はそういうと機械系の動作チェックを始めた。
トラクターやアタッチメントは島にあるものとほとんど同じ性能。
コンバインも軽トラもトラクターとそんなに変わらないが、コンバインは収穫したものを入れる内容量が多くなっていて、軽トラは乗せたものが落下しない能力が付いていた。
育苗をする機械と精米機は強度上昇と燃料不要の能力しかついていなかった。
一番の当たりはビニールハウスだった。
見た目は普通の大きさなのに、中が4~5倍近く広くなっているらしい。
温度調整も自動でするようで、だいぶ当たりだ。
「じゃあダルン達と設営してくるぞ」
「私もやるよ、おじいちゃん」
やっぱり小町は米作り関係になると意欲がすごくなる。
スキルの影響なのだろうか。
「わかりました。稲刈りは明日やります?」
「そうじゃのう。問題ない」
「了解です」
しげ爺と小町は田んぼの方へ向かって行った。
▽ ▽ ▽
一度家に戻ろうと、変換室に行くと残高が¥88,416,410になっていた。
「だいぶ減ったな。まだ宝石も取りに行けないだろうし、オクトンの酒も小町が前回と同じのをあげたって言ってたしなー。なんか金策を探さないとな」
僕はノートを読みに仕事部屋へ向かった。
パソコンの前に座り、四宮さんのノートをめくった。
○お金の稼ぎ方(上級)
上級は読んでるお前の能力が高くないとできないから、戦闘力がない奴は諦めろ。
因みに俺は戦闘力はあったが、やることはできなかった。
先輩がやっていたとメモに書いてあったから、共有してやる。
海に居る魚で珍しい種類が何匹かいるみたいだ。
メタルフィッシュの上位種とアーマースナッパーの鱗が高額で売れるらしい。
メタルフィッシュはサンマみたいな形だが、身体がメタルで出来ている。
上位種は色違いで少しサイズがデカいらしい。
アーマースナッパーは分厚い鱗に覆われている鯛だ。
アーマースナッパーは味も美味いぞ。
俺はアーマースナッパーを2匹、メタルフィッシュを1匹をたまたま釣ったが、本来は沖に居るらしい。
船を作るか、空を飛ぶ能力があれば楽に捕まえれるだろう。
僕はノートを閉じた。
「うーん。マジックアイテムの船があるからいけるか?」
僕はやり方を考えた。
▽ ▽ ▽
別荘に戻り、ザン達の元へ向かった。
ザン達は海辺で戦闘訓練をしていた。
「お疲れ―」
「「パパ!」」
ドグドとアデスがニコニコで近づいてきた。
「お疲れ様です」
ザンとマオもやってきた。
「どう?順調?」
「…はい。2人の武器が奇妙なので、能力把握するまで時間がかかってしまいましたが」
「やっぱり?」
「はい。2人とも空も飛べますし、近距離も遠距離もいけるので実践ではだいぶ戦えると思います」
「実践なんて起きてほしくなかったんだけどね」
「なかった?」
「3人にお願いがあって」
僕は3人に四宮さんのノートで読んだ内容を伝えた。
「なるほど。いいですね」
「「やりたーい!」」
3人共乗り気だった。
「もし船が使えなくなっても3人なら飛んで逃げられるし、僕ともう1人くらいなら抱えて逃げられるかなーって」
「他に誰か連れて行くんですか?」
「クリフかプンかなー?」
「問題ないと思います。テツジ様ともう1人くらいなら自分が抱えて跳べます」
ザンは久々の大仕事が楽しみのようだ。
「じゃあ明日は稲刈りの予定だから、明後日になるかな?」
「わかりました」
「「わかったー」」
僕が別荘に向かうと3人は特訓を再び始めた。