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26.集落完成

田植えをして3週間ほど経った。

島はだいぶ様変わりをした。


まずみんなの家が出来上がった。

建築関係の本を大量に買ってあげたのとプンの能力のおかげで、木造だがものすごく豪華な家が出来上がった。

4棟全部にトイレがあり、電気が付いている。

さすがに電気配線は無理で、キャンプなどで使う電池式のランタンやおしゃれな照明がうまくマジックアイテム化したのでそれを設置している。


そして予定にはなかったのだが、みんなの家より大きめの建物が1棟建った。

ソーラーパネルを大量に設置した家電小屋だ。


家電小屋はポータブル電源をベースにソーラーパネルで充電してくれるものを買った。

小屋の中には冷蔵庫・洗濯機・テレビ・BDレコーダーなどが置いてある。

僕的には別荘のリビングでくつろいでくれてもよかったのだが、主人と奴隷の関係はしっかりと言われたのでみんなが休める場所を作った。

正直、ピュアスライム達が居るので洗濯機などはいらないんだが一応買っておいた。


別荘の2階の2つの空き部屋はドグドくんとアデスちゃんの部屋になった。

どういう部屋が良いか聞いたら、任せると言われたのでベタな子供の部屋になった。

2人とも気に入ってくれてるみたいで良かった。


マジックアイテム化しなかったら嫌なので多めに買って変換をしていたので、残高は¥291,209,120になっていた。

マジックアイテムにならなかったものは変換機を使ってお金に戻したが、やっぱりだいぶ減っていた。


みんなの日本語の勉強はまあまあ進んでいた。

プン夫妻は読むのは難なく出来るようになったが他のメンバーはまだまだ時間がかかるようだ。

以外にもドグドくんとアデスちゃんがプン夫妻の次に日本語を読めるようになっていた。

絵本や漫画などを買ったおかげだろう。


▽ ▽ ▽


「テツジ様!」

僕が別荘のリビングでドグドくんとアデスちゃんと遊んでいたら、ダルン達がやってきた。

「ん?どうしたの?」

「家の建築も落ち着いたので、船の修理をしたいんですが」

「あーそういえばそうだったね。小町のマジックバッグに入ってるから、田んぼに行って出してもらおう」

「「「はい」」」

僕らは小町を探しに田んぼに向かった。


田んぼに到着した。

田んぼの稲は黄金色になっていた。

シゲ爺が言うには、そろそろ収穫が出来るそうだ。


田んぼを見渡すと、作業をしている小町が居た。

「小町!」

僕の方を振り返る小町。

オーバーオールで麦わら帽子をかぶる小町は田んぼに現れた天使かと思った。


「んー?どうしたの?」

「ダルン達が、船の修理をしたいんだって」

「あー!マジックバッグの中に入ってるやつね。わかった―。今行く」

小町はそういうと田んぼから出てきた。

出てきた瞬間にピュアスライムが近づき、泥が全くついていない状態になった。

「ありがと」

ポニョン!ポニョン!


「どこで出す?」

僕はダルン達に聞いた。

「一度どれくらいの損傷なのか見たいので、漂着した砂浜あたりでお願いしたいのですが」

「わかった」

僕達は砂浜に向かった。


▽ ▽ ▽


砂浜に到着すると、小町はすぐにマジックバッグに手を突っ込んだ。

すると目の前に大きな船が現れた。

だが様子がおかしい。


「ねーダルン」

「は、はい」

「前に見た時よりきれいじゃない?」

「そうですね。なんか別物って言われたら信じちゃうレベルです」

「だよね…」

探索した時は完全な木造だったのに、船底が完全に金属になっていた。


「小町、なんかした?」

僕がそう言いと小町は舌をぺロって出した。

「ばれた?」

かわいすぎた。


「バレるも何も、全然別物になってるんだもん。何したの?」

「哲ちゃんが家の庭を掃除してた日があったでしょ?」

「あーバッグをいっぱい買った日ね」

「そうそう。その日に試しに船を変換機に入れて元の世界用に変換して、また変換機に入れてこの世界用に変換したの。マジックアイテムになったらいいなーって思って」

「そしたらこうなったの?」

「実はそれをしたことを忘れてて、今思い出したの」

また小町は舌をペロッと出した。

天使かと思った。


「なるほど。あの日に残高がだいぶ減ってた理由が分かった」

「ごめんね。怒った?」

「怒ってないよ」

「ほんと?」

「ほんとだよ」

普通は注意しなきゃいけないんだろうけど僕にはこんなかわいい妻を怒ることはできなかった。


僕はサングラスを掛けて船を見た。


○海斬丸

強度上昇(高)・操作アシスト(高)・事故防止・モード変更可


「…ダルン」

「…はい」

「相当凄いマジックアイテムになってるわ」

「見たらわかります」

ダルン達は唖然としている。


「一応中チェックする?」

「そうですね。一応」

僕達は船の中をチェックした。


船の操舵室には大きな魔石のようなものがあった。

「これは何だ?」

僕が魔石に触れると大きなディスプレイが現れた。


「あれ?これみんな見える?」

「見えます!漢字は読めませんが、カタカナは何とか」

ディスプレイには日本語で文字が書かれていた。


僕はディスプレイをいじって一通り情報を仕入れた。

この船は4つのモードがあり、クルーザー・クルーズ客船・漁船・キャラック船に変わるようだ。

動力は魔力でためておくことが可能、操縦はモードによって形は違うみたいだがハンドルがあるようだ。

モードごとに付属しているオプションが違うとのことだった。


僕はみんなに船の説明をした。

「それはすごいですね。これは何モードなんですか?」

「多分クルーズ客船かな?ちょっと一番小さいと思われるクルーザーモードにしてみるね」

ディスプレイをいじってクルーザーモードを選択した。


「ん?」

「何にも変わりませんね」

そう言いながらドルンだ操舵室から出て行った。

「え!!!!!!」

ドルンの叫び声が聞こえた。


僕達はドルンを追って外を出た。

「「「えー!!!」」」

船はクルーザーに変わっていた。

操舵室は外から見るとだいぶ小さくなっているようだったが、中に入ると先ほどのクルーズ客船モードと同じサイズの操舵室だった。


「さすがマジックアイテム」

「「「ですね」」」

「すごーい!」

ダルン達は唖然としているのに、小町ははしゃぎまくっていた。


▽ ▽ ▽


僕達はそのあとディスプレイをいじったり、船内を移動して各モードのオプションの確認をした。

全モードに共通していたのは、だいぶ容量が大きいマジックボックスが付いていること。

何か物が入っている状態でモードを変えても問題ないようだ。


サイズはクルーザー<漁船<キャラック船<クルーズ客船だった。

操舵室を除けばクルーザーは12人乗り・漁船は20人乗り・キャラック船は40人乗り・クルーズ客船は100人乗りらしい。

何を基準にしているのかわからないが、たぶん目安で超過しても稼働はするだろう。


クルーザーには特別なオプションはないがスピードは一番早いようだ。単純に移動重視の船だな。

漁船は生簀と自動巻網機と1本釣り用の釣竿数本付いていた。

生簀は中に魚介類を入れた状態でモードを変えても、中にいる魚介類は生きてられるみたいだ。


キャラック船は見た目はがっつり木造だったが、見た目が木のような鉄でできていた。帆がある船で、海賊船みたいだった。

調理場や個室などもついていて、生活は可能そうだ。

唯一攻撃手段があるモードで、大砲のようなものが正面と側面についていた。

魔力を込めると込めた属性の弾が発射されるようだ。

人が操舵室以外に乗っているとモード変更はできないようで、個室に入れたものはそのまま維持されるみたいだ。


最後に問題のクルーズ客船だ。

一番サイズもデカく、部屋数もかなり多い。

もちろん調理場などもついていた。

部屋に何かを入れた状態でモード変更をしても、部屋の中身は維持されるようだ。


「いや、なんかすごいですね」

「そうだね」

ダルン達はドン引きしていた。


「どうしようか」

「そうですね。アイテムバッグに入れておくのはもったいないですし」

「船着き場を作りましょう」

「オイラも作りたい!」

3人はやる気満々のようだ。


「じゃあキャラック船のサイズが入れる船着き場を作ろうか。クルーズ客船は使うことがほとんどないだろうから、基本はクルーザーで停泊するけど、キャラリック船が入れるサイズにしとけばいろいろ融通効きそう」

「わかりました。そうしたら、別荘の裏に船着き場を作ります。ついでに道の整備もやってもいいですか?」

「お願いするよ」

僕はダルン達に船を任せて別荘に戻った。


▽ ▽ ▽


別荘に戻るとシゲ爺がやってきた。

「哲治くん。明日新潟に帰ろうと思う」

「え?何でですか?」

僕はシゲ爺の報告に驚いた。


「いや、帰ると言っても一時的じゃ。息子達にも長期滞在する話をしないといかんし、稲刈り用の道具を買いに行こうと思ってな」

「なるほど、びっくりしましたよ」

「ははは。孫の旦那にこんなに好かれるのは気分がいいのぉ」

「いやお世話になってますし、家族ですから当然の反応ですよ」

シゲ爺の言葉に少し照れてしまった。


「じゃあお金を渡した方がいいですよね?多めに渡すので使えそうなものは全部欲しいです」

「任せなさい。マジックバッグを1つ借りてもいいかな?」

「ボストンバッグのやつを持って行ってください」

「わかった」


そう言うとシゲ爺は道具部屋に向かって行った。



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