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25.田植え

トイレ騒動の翌日。

ついに今日は念願の田植えを行うことに。

今回は僕も含めた全員参加だ。


みんなが楽しめるように小町が汚れてもいいように衣装を用意していた。

まずは見た目から楽しむという計画のようだ。

アデスちゃんやピュアスライム達が居るので汚れても平気なのだが、小町の遊び心だった。

そういうところも本当にかわいい。


みんなが着替えて集合した。

麦わら帽子・チェックのシャツ・オーバーオール・長靴をみんな着ている。


「うん。みんないーね!似合ってるよー」

小町はテンションが上がっていた。

みんなも褒められて満更でもないようだ。


マジックバッグから苗を取り出して並べると、みんながシゲ爺の周りに集まった。

シゲ爺が丁寧に田植えのやり方を教えてくれる。

「よし!他にわからんことがあったら、ワシに聞いてくれ」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」

「じゃあ始めるぞ」

僕達は苗を持ち、田んぼに入っていった。



田植えを始めると、小町のスキルの効果が発揮されていることが良くわかった。

みんながまだ1列終わっていないのに、2列目が終わろうとしていた。


「なんか身体がどんどん動くし、全然疲れない!」

「『米マイスター』すごいね」

「うん!いままで知識とかでスキルの恩恵を感じたりしてたけど、こんなにわかりやすくスキルの恩恵を感じたの初めて!」


僕達の中で一番早くて丁寧なのは小町、そして時点でシゲ爺だった。

そして3番目はまさかのアデスちゃんだった。

小さな羽根を使い、浮遊に近い状態で田植えをしていた。

ザンもそれを見て真似しようとしていたが、さすがに大きい羽根で空中を細かく動くのは苦手なようだ。

バランスを崩してダルン達を巻き込み泥だらけになっていた。

僕も必死にやっているのだが、なかなか早く丁寧には出来なかった。


休憩になり、田んぼから出るとピュアスライムが近づいて綺麗にしてくれた。

「ありがと」

ポニョン!

言葉は通じているようだが、跳ねることでしか返事は出来ないようだった。


他のみんなが田んぼから出るとそっちに向かって跳ねて行き、全員を綺麗にしていった。

みんなはまだピュアスライム達に慣れてない感じだが、ピュアスライム達はお構いなしにいろいろしてくれていた。


休憩の間ぶらぶらしていたら、ピュアスライムが至る所に居た。

田んぼと繋いでる川に何匹か浮かんでいた。

スライムは水が好きなのだろうか?



▽ ▽ ▽



田植えがやっと終わった。

朝からやってこの人数で終わることが出来たのは、確実に小町・シゲ爺・アデスちゃんのおかげだ。

周りを見るとみんな腰を押さえていた。慣れない体勢で腰がいったんだろう。

まあ僕もだいぶ腰にダメージが来ていた。


「パパー!」

アデスちゃんが浮かびながら突っ込んで来た。


「アデスちゃんはそんなことが出来たんだね。羽根があるのは知ってたけどそんなに器用に飛べるなんて知らなかったよ」

「僕は飛ぶの得意なんだよ」

「そうみたいだね。ところでどうしたの?」

「背中出して!」

「背中?」

僕は後ろを向き、背中を出すと何かに刺された。


「ん?」

振り向いて腰を見ると、分裂したポイジー数匹が腰に尾の針を刺していた。

周りを見ると、みんな身体にはよじ登って針を刺してるポイジーが居た。


「うわ。これ効く。ありがとうアデスちゃん、ポイジー」

「いいよー。シゲ爺にもしてくる」

そういうと、アデスちゃんは飛んで行った。

この針治療みたいなやつはまたお願いしよう。


▽ ▽ ▽


みんなで夜ご飯を食べながら、今後の話をした。

「田んぼは収穫できる状態になるまで50日くらいかかる。普通ならな。この島ではどうなるかわからない」

「そうですよね。どうなるかわからない」

「稲が育つまでの作業は水の管理などがあるが、そこまで人ではいらん。なのでワシと小町、そしてプロールとペペンで管理しようと思う」

「あれ?プンはいいんですか?」

「プンはやりたいことがあるんじゃよな?」


シゲ爺がそういうとプンが口を開いた。

「はい。テツジ様、希望者に日本語を教える許可を頂けないですか?」

「え?」

「今までいただいたものは大体読めるようになりました。ひらがな・カタカナ・簡単な単語などは人に教えても問題がないレベルだと思ってます。今後、テツジ様達の世界の情報が必要になるときの為に、僕がやれることはしておきたいんです」

プンはいつもよりだいぶ熱かった。


この島での生活を本当に大事に思っているのが伝わった。

だいぶ前に渡した辞書を使えるレベルになっているのには驚いた。


「うん。いいよ!じゃあ希望する人は?」

手を挙げたのは、クリフとザンとドグドくんとアデスちゃん、そしてダルン達だった。


ダルン達は申し訳なさそうに手を挙げている。

「どうしたのダルン」

「いや、オイラ達は家の建築があります。もしプンが良ければなんですが、夜にオイラ達に教えてほしいです」

「テツジ様からもらった建築の本をオイラもちゃんと読みたい」

「オイラも読みたい!」

ダルン達の熱意も伝わった。


「どう?プン。だいぶ大変にはなると思うけど」

「大丈夫です。いままでペペンに教えながら自分も勉強をしていました、なので夜はペペンにも手伝ってもらいます」

「ペペンはそれで平気?」

「はい!旦那のやりたいことを応援するのが妻の役目ですから」

ペペンは良い妻だった。


「そうなると、プロールはどうする?」

「私はクリフに教わります。なのでクリフ、頑張って早く覚えてね」

プロールも尻をたたくタイプの良い妻だった。

この島には良い妻しかいなかった。


「じゃあ日本語の勉強についてはそんな感じかな?紙とかペンとかは僕の方で用意して、明日持ってくるね」

「ありがとうございます!」

プンは頭を下げた。


「他に報告する事がある人いる?」

「はい!」

手を挙げたのはダルンだった。


「家の建築ですが、テツジ様に最終的な確認をしてもらいたいです」

「うん。それはいいよ」

「電気などについてはまだあんまり自信がなく、ちょっとアドバイス貰えれば」

「了解!」

「木材はある程度の準備は出来てるので、最終確認が出来たらすぐに取り掛かれます」

「よろしくね」

「「「はい!」」」

ダルン達も気合がすごかった。


僕達はそれぞれの報告が終わり、夕ご飯も食べ終わった。

僕と小町は家へ帰った。


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