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23.敬愛のお返し

みんなで夕ご飯を食べている。

「みんなに聞いてほしい事と確認してほしい事があるんだ」

みんなが僕を見た。


「さっきステータスを確認したら、『テイム』を取得していてオクトンが僕のテイムモンスターになりました」

「おめでとうございます!」

「哲ちゃんだけずるい!」

「え?テイムモンスターじゃなかったんですか?」

「てっきりテイムしているのかと思ってた」

「「パパすごい!」」

みんなが思い思いの感想を述べた。


「それとエクストラスキルのレベルが上がって『敬愛のお返し』っていうのが出たんだ。僕を敬愛している人にスキルを与えてるみたいで、10人に与えてるからたぶんみんなだと思うんだけど…」

僕は自分で言ってて恥ずかしくなった。


「「「「「「「「え?ステータス!」」」」」」」」」

「お!ある!」

「やった!」

「よかった―オイラだけなかったらどうしようかと」

「敬愛が認められてのね」

「俺もあるけど読めない!」

「同志討たず?」

みんながまた思い思いのリアクションをしていた。


「なんてスキルがあった?みんな一緒?」

クリフがいつものように代表して答える。

「はい。一緒みたいです。『同志討たず』ってスキルですね」

「どういう効果?なんか名前怖いんだけど」

「『敬愛のお返し』を与えた者及び与えられたものに自分の攻撃が当たらなくなるって書いてあります」

「ん?どういうことだ?」

みんな理解が出来ていないようだ。


「多分、お互いの攻撃が当たらないんだと思う」

「なるほど。スナイパーライフルを使う身としてはありがたいですね」

「そうだね。でも本当に当たらないかわからないから、今まで通り当てない様にしてくれ」

「わかりました。そうですよね、このスキルの効果が全然違ったら…」

「まあなんか得られたのは事実だから、事故が防止できるかもくらいに思っておいて」

「「「「「「「はい!」」」」」」」


僕達は確認を終え、食事を続けた。


▽ ▽ ▽


翌日、僕は田んぼの手伝いをすることにした。

興味があったが、バタバタで手伝えてなかったので今日はがっつりやるつもりだ。


別荘に行き、外に出るとザンとデルンがクリフに怒られていた。

「どうしたんだよクリフ」

「テツジ様。昨日の夜、酔った2人が『同志討たず』の検証を勝手にしていたと聞いたので説教をしていました」

「検証?」

「はい。2人の話によると、ザンに向かってデルンが剣を振ったら剣はザンの身体をすり抜けたみたいです。スキルの効果はわかりましたがあまりに危険すぎるため説教をしていました」

「そうだね。僕も参加するよ」

「「え?」」

ザンとデルンは俺の参加表明に驚いていた。


「2人に何かあったらみんな悲しむんだよ?みんなのための検証かもしれないけど、怪我したらどうするつもりだったの?」

「「すみません」」

「反省してる?」

「「はい」」

「反省したなら許すけど。罰は必要だよね?」

「必要だと思います」

「夕飯時のお酒を禁止しよう」

「良いと思います」

デルンはそれを聞いて嘆いていた。


「そんなテツジ様―!」

「反省してないの?」

「していますが、酒禁止は…」

「クリフ、何日?」

「とりあえず3日にしましょう」

「わかった。2人共3日間酒禁止」

「「わかりました」」

僕はその場をクリフに任せて、田んぼに向かった。


田んぼに向かうとシゲ爺がマジックトラクターに乗っていた。

「シゲ爺。なんか手伝うことあります?」

「おー。哲治くんか。畦を作る予定なんじゃが、トラクターとクリフ達の水魔法があればすぐに終わってしまうのう」

「なるほど」

やる気満々で来たがやることがなさそうだ。


「哲治くんがトラクターを使うかい?」

「良いんですか?」

「何事も経験じゃ」

「やります!」

みんなが集まるまで僕はトラクターに乗り込んで運転の仕方を確認した。


「持ってきた日から触ってなかったけど結構動かせるな」

操作確認をしていると、みんなが続々と集まってきた。

「よーし。そろそろ始めるかのう」

シゲ爺がそういうとみんなはシゲ爺の指示に従い動き出した。


▽ ▽ ▽


数時間後、田んぼには立派な畦が出来上がった。

マジックトラクターの能力は本当にすごかった。

今は一旦休憩をして、みんなで昼ご飯を食べていた。


「小町様とシゲ爺様の料理もいつも美味しいですね」

「そう?そう言ってもらえるのはうれしいな」

小町はニヤニヤしていた。


「本当に小町の料理は絶品だよ」

「最近はプンとペペンも手伝ってくれるし、プロールとアデスちゃんも料理を覚えようと練習してるんだよ」

「みんな本当にすごいな」

「特にプンはひらがなとカタカナはもうマスターしていて、漢字も少し覚えてるんだよ」

「えー!プン本当?」

プンはそういうと照れ臭そうに口を開いた。


「はい。単語の意味は分からないものが多いですが、読める様にはなりました」

「あー単語の意味か。じゃあ辞書でも買ってくるか。単語の意味を調べられる本」

「ぜひ欲しいです」

「わかった。買ってくるよ。このままだと僕達の世界の知識も一番知ってるのがプンになりそうだね」

僕はプンと約束をし、昼食を終えて作業を続けた。


▽ ▽ ▽


畦塗りを終えた翌々日。

2回目の木材が届いたので、ダルン達に渡した。

建設予定地を見てみると、もうすでに1棟目に取り掛かっていた。

地面はものすごく硬くなっていて、石を混ぜた土台が出来上がっていた。


「これは『地盤強化』で固めてるの?」

「はい。それだけだと不安定なので、スライムの死骸を混ぜてます」

「え?」

「スライムはいろいろと使い勝手がいいんですよ」

「そうなんだ。そういえばトイレにスライムを使ってるって聞いたな」

「はい。共有のトイレを何個か作りたいので、昨日死骸集めと捕獲をしてきました。なのでトイレ用のスライムは10匹程になってます」

「それ大丈夫なの?」

「たぶん大丈夫なはずです」

「たぶんって。気をつけてよ」

「はい」

僕はその場を後にして、田んぼに向かった。


田んぼは入水を終えて、水漏れをしていないかの確認も兼ねて代掻きも行っていた。

小町とシゲ爺とクリフ夫妻とプン夫妻が作業をしていて人手が足りていた。


僕はオクトンの池に行き、オクトンと構ってもらっているとアデスちゃんがやってきた。

「パパ、何してるの?」

「ん?暇だからオクトンと遊んでるんだよ」

「僕も遊ぶ!」

「あれ?ドグドくんは?」

「ドグドはザンに剣を教わってる」

「あーなるほど」

「僕、あれを試したい!」

「なに?」

「スキル!『サモン』ってやつ」

「そういえばあったね。使い方わかるの?」

「なんとなくわかるよ」

「じゃあ念のため砂浜の方に行こうか。大きいのが召喚されると困るから」

「うん!」

僕とアデスちゃんとオクトンは砂浜に移動した。


「じゃあアデスちゃんやってみて」

「うん。サモン!僕の所に来て!」

その場の空気が変わった。

砂浜には魔法陣のようなものが現れ、その中から大量の何かが現れた。


「え?なんだ?」

出てきたのは大量の白いサソリだ。うっすらピンクの模様が入っている。

サソリ達は集まって合体し、1mほどのサソリになった。


「できたよパパ」

「このサソリは?」

「うーん。思ってたのとちょっと違うけど、僕の眷属みたいなものかな?」

「このサソリは毒とかあるの?いたっ!」

僕はアデスちゃんが召喚したサソリに腕を刺されていた。


「え?痛くない。あれ?しかも身体が軽くなった?」

「針には回復効果があるみたい。なんか思ったのと違うけど」

「思ってたのと違う?」

「うん。この子もかわいいけど、黒くてごつごつの可愛いのだと思ってた」

「う、うん。そうなんだ」

アデスちゃんの言っていることがちゃんと理解できなかった。


「この子の名前はあるの?」

「ある。たぶん。ポイズン、ちがう。ポイジーだ」

「ポイジーね。宜しくね、ポイジー」

ポイジーは大きなはさみを振ってくれた。


「ポイジーはいつまで居れるの?」

「うーん。たぶんそろそろ帰っちゃう」

アデスちゃんがそういうと魔法陣が現れ、ポイジーは消えて行った。


「ね?」

「そうだね」

「パパ、僕凄かった?」

「うん。すごかったよ」

僕がアデスちゃんの頭を撫でると喜んでいるようだった。



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