17.木材調達
今日の僕は気合十分だ。
小町と2人で朝ご飯を食べ、すぐに別荘へ向かった。
別荘の外に出ると、既に森に行くメンバーが集まっていた。
「みんなやる気満々だね」
「はい。今日は初の大仕事ですから」
「ちょっとみんなの武器持ってくるから」
「武器?」
僕は荷物部屋に行き、小町から借りてるマジックバッグにナイフ数本とハンドガンとスナイパーライフルを入れて持ってきた。
「とりあえず武器はモンスターが居たら渡すね」
「「「「「「はい!」」」」」」
「じゃあ、出発しよう」
僕達は森に向かった。
▽ ▽ ▽
クリフの提案で行先は、みんなが漂流していた方向になった。
理由は船の中にまだ何かあるかもしれないのと、船の回収だ。
ずっと忘れて放置してしまっていた。
「うわ。みんなを運んだ時はバタバタで全然見れてなかったけど、ものすごくデカいね」
「100人以上乗ってましたしね」
「いろいろ落ち着いたら、これも修理したいんだよね?」
「はい!おいら達にやらせてください」
「うん。いいよ。とりあえず中の捜索はダルン達とザンは飛んで上からお願い」
「「「「はい!」」」」
「クリフとドグドくんは周囲警戒で!」
「「はい!」」
ダルン達は横たわった船に入っていった。
「クリフに今後使って欲しい武器があるんだけど」
「え?もしかしてそちらの世界の弓ですか?」
「いや、銃ってわかる?」
「銃ですか。聞いたことはありますが」
「これなんだけど。スナイパーライフルっていうんだけど」
僕はマジックバッグからスナイパーライフルを取り出した。
「おー。これはどうやって?」
「ちょっと試しに撃ってみるね」
「はい」
僕はスナイパーライフルを構えてボルトを引く。スコープを覗いて海の方にある岩を狙い、トリガーを引く。
パシュン
「え?」
「こういう感じ」
「あの距離をスキルを持っていないテツジ様が?」
「うん。このスコープで遠くを見えるようになるんだ。覗いてみて」
スナイパーライフルをクリフに渡す。
「おーすごい!」
「ここを回すとスコープの見える距離が変わるから」
「おー!」
「撃ち方はさっき見たよね?」
「はい」
「これは危険な武器だから、クリフを信用して使わせるからね」
「ありがとうございます。1度試し撃ちをしても?」
「うん。いいよ」
クリフはスナイパーライフルを空に向けて構えた。
ボルトを引き、トリガーを引いた。
パシュン!
ドサ!
「え?」
1羽の鳥の死体が落ちてきた。
「当てたの?」
「は、はい。当てれました」
クリフ自身も驚いているようだった。
「ははは。やっぱりクリフにピッタリな武器だね」
「こんな素晴らしいものを、ありがとうございます」
「とりあえず、モンスターと出会うまでは預かっておくね」
「はい」
スナイパーライフルを預かって、マジックバッグに入れた。
「テツジ様!」
ザンの声が聞こえた。
「どうしたのー?」
「使えそうなものがあったのですが、運べなそうなので迎えに行きますので来ていただけますか?」
「うん!」
すると目の前にザンが降りてきた。
「では、失礼します」
ザンは僕を掴んで、空を飛んだ。
「おー。ザンはいつもこんな景色を見てるの?」
「奴隷になってからはほとんど歩いてました。ドラゴニュートの里では飛んだ方が楽だったので、ほとんど歩いてなかったですけどね。そろそろ降ろしますよ」
「わかった」
横たわっている船の側面に着地した。
「ここから入れます」
ザンは窓のだったものを開けてくれた。
中に入ると横向きのせいかだいぶ混乱した。
「こちらです」
高いところなどはザンに手伝ってもらい、目的のところに到着した。
「これはマジックボックスです」
ザンは木箱を指差した。
「これ全部?」
「はい。中には金貨や銀貨、あと船員達の服などが入っていました」
「了解。服は欲しがる人いるかな?」
「居ないと思います。小町様に貰った服の着心地を知ってしまうと」
「じゃあ取り出して船に捨てておこう。修理するときにまとめてかたずければいい」
「わかりました」
ザンはマジックボックスからいらないものを捨ててくれた。
「本などはどうしますか?」
「あー本は欲しい人いるかもしれないから残しておこう」
「はい」
ザンが整理してくれた木箱を4つ回収し、クリフ達の元へ戻った。
クリフ達の元には、ダルン達が既に来ていた。
「なんかあった?」
「剣が3本と金が入ったマジックバッグが2つありました」
ダルンは巾着袋のようなものを2つ持っていた。
「了解。じゃあ一旦預かっておくね」
ダルンから回収品を預かり、船をマジックバッグに入れた。
「おー入った」
「容量がすごいですね」
「良かったーここで朽ちちゃうともったいないもんね」
「ですね」
僕はマジックバッグに入れた剣を取り出した。
「剣が3本あるし、デルンとザンとドグドくんに渡しておくか」
「俺も?」
「そのサイズでの戦いにも慣れないと」
「わかった」
「剣の整備くらいならオイラ達でも少しは出来るのでお任せください」
「砥石あるの?」
「あっ!」
ダルン達は道具を持っていないことを忘れていたようだ。
「使えるかわかんないけど、僕の世界の物を買っておくね」
「すみません。ありがとうございます」
ダルン達は頭を下げた。
「じゃあメインの森探索に行くよ!」
「「「「「はい!」」」」」
▽ ▽ ▽
森に入るとすぐにモンスターと出会った。
「あれってゴブリン?」
「そうです」
ゴブリンはアニメ映画で見たゴブリンよりかわいくなかった。
「僕がやっていい?」
「「「「テツジ様が?」」」」
「うん。危なくなったら助けてね」
「「「「はい。全力で!」」」」」
みんなはものすごく心配して、前のめりで待機している。
僕はハンドガンをマジックバッグから取り出し構えた。
サイトを覗いてトリガーを引く。
パシュン
弾はゴブリンの頭に当たり、ゴブリンは倒れた。
「うん。いい感じ!どうだった?」
僕は反応を見ようと振り向いた。
みんなは口が開いたまま固まっていた。
「なんなんですかそれは」
「そんな小さい銃が?」
ダルン達は銃を知っているようだ。
「銃を知ってるんだ」
「はい。ドワーフでも火薬を使った大砲などは作っています。当然銃もです。ですがこんな小型な物は出来上がっていません」
「あーそうなんだ。こういうのをみんなに持たせようとこっそり計画してたけどやめるか」
「「「「「えー」」」」」
やはり男は銃に憧れるよな。
「私は頂いているので」
クリフだけは余裕そうだ。
「クリフ!どんなの貰ったんだ?」
ダルンさん達が詰め寄る。
「ダルン!そんなことより、ここら辺の木はどうなの?」
「あ、すみません。ここら辺の木の質はいいのですが、木材として使うためには1年ほど乾燥させないとダメな種類ですね」
「なるほど。じゃあ別の木がないか探しに行くか」
「「「「「はい」」」」」
僕達はさらに森の奥へ進んだ。