13.新しい住人②
次に別荘にやってきたのは、頭に2本の角があって大きな尻尾が付いてる男性だ。
クリフが言っていた龍人の人だろ。
「テツジ様。ドラゴニュートのザンと申します。他種族からは龍人族と言われております」
「ドラゴニュート?かっこいいね」
「ありがとうございます」
「龍人ってことは飛べるの?」
「はい。今は仕舞っていますが、翼が付いております」
「おー」
ザンのきりっとした古風な顔立ちをしていた。深緑色の髪に赤色の目は物凄く印象的だ。
「ザンは何歳?ドラゴニュートも長寿なの?」
「人間よりかは全然長寿で大体250年くらいです。私は30歳ですが」
「え?ザンも?同い年だよ!プンも含めると3人だね」
「そうなんですか。テツジ様はもっとお若いと思ってました」
「そう?うれしいな。ザンは故郷とかに帰らないでいいの?」
「はい。自分はある使命のための故郷の里を出ました。不覚にも掴まって奴隷になってしまったところを助けてくれたテツジ様の為に働きたいと思います」
「そんな気にしなくていいよ。まあ居たいなら止めないけどさ。ところで使命って?」
「申し訳ありません。言えません。もし聞きたいのであれば命令していただければ聞くことは可能です」
「言わなくていいよ。その使命っていうのは僕らに被害が出る?」
「出ないと思います」
「わかった。話せる時が来たら話して」
「ありがとうございます」
ザンは頭を下げた。
「ザンは何か得意なことある?」
「戦闘ですかね?剣や槍が得意です。いまは武器を持っていないですが。あとは空を飛べるくらいしかないです。米作りに関することでなくてすみません」
「全然いいよ。この島にもモンスターが居るらしいから、みんなを守ってあげて」
「はい!」
「あと外に見える山が火山らしいんだけど、火口に入っちゃだめらしいから気をつけて」
「わかりました」
ザンからは和な感じがすごく感じられた。
次に来たのは悪魔族のアデスちゃんだった。
見た目は7~10歳くらいの女の子だ。薄ピンクの髪で太めの角。尖った耳で細長い尻尾が付いていた。
子供がハロウィンとかで悪魔のコスプレセットを付けている感じだった。
「自己紹介できる?」
「僕はアデスだよー」
「アデスちゃんはこの島で暮らすの?」
「僕はずーっと寝てたみたいで、船に乗る前の記憶があまりないの。だからみんなと島で暮らすの」
「そうなんだ…大変だったね」
「ううん。みんな優しかったから平気」
「それはよかったね」
子供の過酷な話はちょっと苦手だった。
「テツジ様は結婚してるの?」
「うん。してるよ」
「お嫁さんもこの島来るの?」
「来るよ。一緒に暮らしてるからね」
「じゃあ僕は、テツジ様とお嫁さんの子供になる!」
「え?」
「だめー?」
「ははは。まあ今日来た10人はみんな家族になるようなもんだからね」
「家族!!」
アデスちゃんは喜んでいた。
危なかった。小町がいない間に子供ができるところだった。
「アデスちゃんは何歳なの?」
「わからない」
「そっか。じゃあ何が得意?」
「魔法使えるよ」
「おーそれはすごい!今度見せてね」
「うん!」
僕はアデスちゃんを連れて外に出た。
次に話す相手は巨人のドグドくんだ。
さすがに大きすぎて別荘に入れられないので、僕が向かうことにした。
「ドグドくん。話し聞いてもいいかな?」
「うん」
「ドグドくんは巨人族なんだよね?」
「うん。でも小っちゃいし弱いから。巨人族って言えない」
「そんなことないと思うけどな」
体育座りで座っているドグドくんは僕から見たら大きな岩だった。
「兄貴が2人いたけど俺よりもすごく大きかった」
「そうなんだ」
「兄貴は俺を守ってくれたけど、俺は小さくて弱くて役立たずだから両親に捨てられた」
「そっか」
僕は心が痛くなった。ドグドくんのために何かしてあげないと思った。
「ドグドくん。この島でこれからいろいろやりたいことがあるんだ」
「うん」
「田んぼっていう畑を作ったり、みんなの家を作ったりしないといけない」
「うん」
「そんなときに僕達よりも背が高くて力のあるドグドくんが居てくれたら本当に助かるんだ」
「本当に?」
「うん。君は役立たずじゃない。僕達をこの島で助けてくれるかい?」
「俺でいいの?」
「ドグドくんに助けてもらいたいんだ」
「ありがとう。テツジ様。俺頑張るよ」
「うん。」
少しはドグドくんを元気にできたかな。
「ドグドくん。ちなみに何歳なの?」
「10歳」
「なるほど」
この島は最年少に頼ることになりそうだ。
▽ ▽ ▽
僕は面談を終わらせ、みんなを集めた。
「みんな、話を聞かせてくれてありがとう。僕からも話さないといけないことがあるんだ」
僕はみんなに違う世界から来たこと、別荘が違う世界に繋がっていることを伝えた。
小町が帰ってきたら謝らないとな。
僕の話を聞いたみんなは驚いている。
「もしこの島を今後出ることがあったら、この話は秘密にしてほしい。みんなに黙っておくこともできたけど、今後一緒に生活していく仲間、家族のような存在になるから全部話すことにした」
みんなは真面目に話を聞いてくれている。
「明日、僕の妻と義祖父がここに来るから改めてみんなを紹介させて。今日はもう暗くなるから、別荘の中で寝てくれ。ドグドくんは申し訳ないけど野宿になっちゃう。すぐにダルン達に家を作ってもらうから少し我慢してくれ」
「うん。大丈夫だよ。巨人族は外で寝るから」
「でも、家は用意する」
「うん。ありがとう」
僕はみんなを別荘の中に案内し、女性と男性を分けて2階の部屋で寝るようにさせた。
「ごめんね。明日布団は買ってくるから」
「そんなお気遣いしなくても」
「だめ!ちゃんと休める空間は作るから」
「ありがとうございます」
僕はみんなの事をオクトンに任せて、家に帰った。
「小町―頑張ったけどいろいろ状況が変わったよー」
電話したい欲を押さえて布団にもぐった。




