12.新しい住人①
僕は食事をしながら、別荘に数人ずつ呼んで詳しく話すことにした。
まずはエルフのクリフ夫妻だ。
「救世主様。この家はすごいですね」
「そうなの?」
「はい。こんなにマジックアイテムがある家を始めてみました」
「あーなるほど」
クリフ夫妻は目を輝かせていた。
「じゃあ簡単に自己紹介お願いしていい?」
「はい。エルフのクリフです。そして妻のプロールです」
プロールさんが頭を下げた。
「2人は本当にこの島で暮らすのでいいの?」
「はい。エルフは元々国があったのですがもの何十年前に無くなり、みんなバラバラに隠れて暮らしております」
「え?2人共いくつなんですか?」
クリフさんもプロールさんも僕よりちょっと年上に見えた。
それに見た目はブロンドのイケメン海外俳優夫妻みたいな見た目だ。
「2人共130歳は超えてますよ」
「え?」
「エルフは長寿なんですよ」
「そうなんだ。ごめん話を続けて」
「はい。エルフは奴隷として高額で取引されるようで、私達が隠れ住んでいた村もエルフ狩りにあって奴隷にさせられました」
「え?エルフ狩り?」
「はい。ですので、私達に帰る場所はないのです。ですので救世主様のお手伝いをさせていただきたいです」
「わかったよ。でもクリフさん、救世主様って呼ぶの禁止ね。テツジって呼んでください」
「わかりました、テツジ様」
「様もいらないよ。もう奴隷じゃないんだから」
「え?いや、奴隷ですよ?」
「ん?主人が居なくなったから奴隷じゃないんじゃないの?」
「いえ、主人が居なくなった奴隷はフリー奴隷になり、主人になる人とフリー奴隷の同意があれば奴隷契約を結び直すことができるのです」
「じゃあみんなフリー奴隷ってやつなのか」
「いえ、テツジ様の奴隷です」
「え?なんで?」
僕は予想外のことを言われて驚いた。
「先ほどの一緒に島で一緒に暮らすという発言で契約が結ばれたようです。先ほど手の甲が光りましたよね」
さっきの光が契約したということらしい。
「そんなあいまいな契約なの?」
「そうみたいです」
僕は小町になんて説明すればいいんだ。
「これって解除できないの?」
「できません。奴隷契約関係のスキルがない限り無理です」
「え?みんなそれでいいの?僕の奴隷で」
「はい。契約が結ばれたということは、全員が望んでいたということです」
「あーなるほど」
「ですので、私と妻の事も呼び捨てでお呼びください」
「そこまでする?」
「はい。おねがいします」
「わかりましたよ。プロールさんもそれでいいんですか?」
プロールさんが口を開いた。
「テツジさま。敬語になっています、それに敬称が付いていますよ」
「あっすみません」
プロールはお母さんみたいだった。
「じゃあ、クリフとプロールの特技とかある?」
「私は米作りに向いていると思います。植物の成長を早めるスキルを使えます。それに弓などの武器が得意です」
「私もクリフと同じく植物の成長を早めるスキルを使えます。あと薬やポーション作りが得意です」
「じゃあ妻の米作りを手伝ってもらいながら、生活してもらおうかな」
「「はい!」」
「じゃあ次はドワーフのみんなを呼んでもらえる?あと救世主様は禁止って全員伝えて、僕も敬称と敬語はやめるようにするから」
「わかりました」
クリフ夫妻は別荘から出て行った。
続いてきたのは、ドワーフ3人だ。
「簡単にで良いから自己紹介してもらえる?」
「はい。長男のオイラが話します。オイラはダルンと言います。隣にいるのが弟のデルンとドルンです」
3人共身長が低いが筋肉質で髭もじゃもじゃ。映画で見たまんまのドワーフだった。
「3人はこの島で暮らすのでいいの?」
「「「はい!」」」
ダルン達は物凄い声が大きかった。
「オイラ達は見ての通りドワーフなのですが鍛冶が苦手なんです」
ダルンは申し訳なさそうに言ってきた。
「あードワーフって鍛冶が得意ってイメージあるね」
「オイラ達の興味があったのが建築で、そのせいで他のドワーフ達にバカにされてしまい故郷を出ました」
「え?認めてくれる人はいなかったの?」
「数人は居ました。ですが耐え切れず故郷を出て暮らしていたところを掴まって今に至ります。なので帰る国などありません。それにこのすばらしい家と出会ってしまったらこの島から出ることはできないです」
ダルン達は目を輝かせて家の中を見ていた。
「あーなるほど。じゃあダルン達にはみんなの家を建ててもらおうかな」
「「「是非やらせてください!」」」
また声の圧がすごかった。
「テツジ様、お願いがあるのですが」
申し訳なさそうのドルンが口を開いた。
「あの船の修理をしてみたいのですが」
「あーいいよ。妻がマジックバッグを持ってるから運べるとは思うし」
「本当ですか?」
「うん。でも家が最優先ね」
「はい!」
ダルン達との話も終わり、ダルン達は外に出て行った。
次は背の小さい男女が来た。
「簡単にで良いから自己紹介してもらえる?」
「はい。僕はプンと言います。そして妻のペペンです。僕達は小人族と言われる種族です」
「小人族なんだ。歳は?エルフ族みたいに長寿なの?」
「いえ、人間よりは長生きですが長寿ではありません。僕は30歳で妻は24歳です」
「え?プン!僕と同い年だよ。しかもペペンはうちの妻と同い年」
「本当ですか?すごい奇跡ですね」
「本当だね。2人はこの島で暮らすのでいいの?」
「はい。小人族はエルフと同じく奴隷としての価値が高いようで、故郷という故郷はないのです」
「なるほど」
この世界では故郷がなくなった種族が多いみたいだ。
「なのでこの島でテツジ様のお手伝いをさせていただきたいです。僕達は細かい作業が得意ですが、基本何でも平均的にやることができます」
「なるほど、じゃあいろいろ手伝ってもらおうかな」
「「はい!よろしくお願いします」」
プンとペペンが頭を下げ、家から出て行った。
僕は後半戦のために気合を入れ直した。