10.初めてのモンスターと来客者
ブーブーブーブー
「はい、もしもし?」
「ちゃんと家で寝たんだ」
「昨日小町に怒られたからね」
昨日、小町と電話した時にだらけきった生活をしていたことを伝えたらものすごく怒られた。
「えらい。今日の夜にはそっち帰るから」
「わかったー。島でやりたいことがあるから、電話出れないかも」
「了解!お土産たくさん買ってくね」
「よろしくー」
ガチャ
僕は小町からのモーニングコールで起きた。
声だけでも小町はかわいかった。
今日の予定はモンスターを探しに行き、エアガンがどれくらい使えるか試す。
僕は朝ご飯を食べ、島へ向かった。
▽ ▽ ▽
「オクトン、おはよー」
キューキュー!
「今日もポリタンクありがとね」
キュー!
「今日はモンスターを探してくるよ」
キュ?
オクトンは池から出て、僕について来た。
多分心配してくれているのだろう。
「とりあえず山の麓の森にでも行くか」
今日の装備はハンドガンとナイフだ。
因みにサングラスも付けている。
ハンドガンとナイフを見てみた。
○名前未設定
強度上昇(高)・威力上昇(高)・命中率上昇(中)・反動軽減(高)・リロード不要
○ナイフ
強度上昇(低)・切れ味上昇(低)
「名前未設定?なんか名前付けないといけないのか。小町に使ってもらうのだから、小町に決めてもらうか」
僕は自分の銃の名前を決められる可能性が出てきて少しワクワクした。
森へ向かって歩いていく。
道なりは平坦で歩きやすい。
キューキュー
オクトンが何か言っている。
オクトンの足が向いている方向を見てみると、ゼリー状のボールがあった。
「あれってスライムじゃない?」
サングラス越しに見ても全然情報が表示されない。やはり物じゃないとダメみたいだ。
ハンドガンを構えた。
「ここをカチッっとやって、スライドする」
ホロサイトを覗き、トリガーを引いた。
パシュ
弾は当たった。スライムは身体を維持できないのか、溶けるように崩れて行った。
「これって倒せた?」
キューキュー!
倒せたみたいだった。
意外とすんなりいけて驚いた。たぶんこの銃がすごいんだろう。
「よし。まだまだ探しに行くぞ!」
キュー!
僕とオクトンは森に入っていった。
あれから森の中でスライムを2匹倒した。
倒すのは最初と変わらず1発だった。
全然見つからないせいで、もう昼過ぎになってしまった。
「オクトン、見つからないからもう帰ろうか。ゴブリンとかほかの種類も見つけたかったな」
キューキュー
オクトンが何か言っている。
「ん?なに?」
キューキュー!
ジェスチャーで何かを伝えようとしてくれるかわからない。
「ごめん。わかんないや」
キュー
オクトンは落ち込んだようだ。
「ごめんね。一旦家に戻って昼食にしよう」
キュッキュッ
僕達は別荘に戻った。
珍しくオクトンが別荘に入ろうとしないので、オクトンにビールとおつまみを渡した。
キュー!
オクトンはビールとおつまみを持ってどこかへ行ってしまった。
僕は昨日買ってきた弁当を食べることにした。
▽ ▽ ▽
昼ご飯を食べ終わり、モンスターを探そうと別荘を出た。
するとオクトンが8本の脚を巧みに使って走ってきた。
キュー!!
「え?どうしたの?え?え?」
僕はオクトンが来た方向に引っ張られた。
向かっている方向は海だった。この前泳いだ場所よりも遠い方向へ向かっている。
「オクトン、どこ行くの?」
向かっている方向を見てみると砂浜に大きな船が横たわっていた。
「え?」
近づくと船の周りには人が倒れていた。
「やばい。助けなきゃ!」
僕とオクトンは何回も往復して倒れている人を別荘の前まで運んだ。
「これは一体」
家の前に運んできた人達を見て、僕は驚いた。
全員が人間ではなかった。
6mくらいの巨人の人を運ぶのはさすがに無理だったのでオクトンが運んでくれた。
背か小さい人や、映画で見たことがあるエルフやドワーフ。それに角と尻尾が生えている人。それに子供もいる。
みんな息もあるし脈もあるが、まだ目が覚めない。
僕1人では抱えきれない。
「オクトン。ここは一旦お願い」
キュー!
僕は急いで家に向かった。
家側の変換部屋に置いているスマホを取り、小町に電話を掛けた。
プルルルルルル…ガチャ
「どうしたの哲ちゃん」
「小町、帰ってくるのは何時になる?」
「あーごめん。メッセージ入れたんだけど見てないよね」
「え?」
「今日帰れなそうで、明日の午前中に帰ることになる」
「えーまじかー」
「どうしたの?なんかあった?」
「島に人が来た」
「えー」
「しかも全員人間じゃなくてエルフとかドワーフとか、ボロボロの船が砂浜に横たわっていたからたぶん漂流したんだと思う」
「その人たちは今何してるの?」
「気絶してるから、家の前まで運んで寝かせてる」
「わかった。明日早めに帰れるようにするから、水とご飯!絶対必要だから買いに行って」
「わかった!」
「哲ちゃん、頑張ってね!」
「うん!」
ガチャ
僕はすぐに車に乗り込み、スーパーに向かった。
▽ ▽ ▽
水と食料を大量に買い、島に戻ってきた。
賭けで買ってみた栄養ドリンクが体力上昇(低)・回復力上昇(低)の効果が付いた。
外に出るが、まだ誰も目を覚ましていなかった。
「オクトンありがとう」
キュー!
僕とオクトンは目が覚めるのを待ち続けた。
「ん?んー?ここは?」
エルフの男性が目を覚ました。
「あの?大丈夫ですか?」
声をかけるとエルフの男性は驚いた。
「え?あれ?ここはどこ?」
「ここは僕が住んでる島です。砂浜に皆さんが流れ着いていたので運びました」
エルフの男性は辺りを見回した。
「大きな山がある島で、木の立派な家、それの8本脚のモンスターを従えてる」
「え?」
「あなた様が我々の救世主なんですね?」
「えー?」