最適解ループからの脱却 — 市場原理と倫理崩壊を超えて、日本が未来を切り開くために —
前書き案(修正版)
すごくひどい話ですが、そもそもなぜ、誰もが最適解を求めるのでしょうか。その疑問からこの提言は生まれました。私たちが「より良い解」を探し、最適化を追い求める過程で、その考えがAIに受け渡され、AIが人間を数値化して評価することになったとすれば、AIにとって「必要のない人間」や、釈迦の目から見て「害悪な存在」と判断されてしまう可能性さえあります。
もちろん、これは思いつきであり、現実にすぐ実現できる話ではありません。しかし、最適化という手法を通じて未来を考えれば、試行錯誤が許されない硬直した未来よりも、はるかに望ましい結果を導く可能性があるのではないでしょうか。
一方で、消費税の減税理論を永遠に繰り返すだけの政策は、私にとっては何も試行錯誤ができず、滅ぶ社会の光景すら見えてしまいます。
最適解ループからの脱却
— 市場原理と倫理崩壊を超えて、日本が未来を切り開くために —
序章 — 危機に直面する日本の思考停止
現代の日本は、経済・外交・安全保障のいずれにおいても、少なからず危機的状況にある。人口減少や高齢化による労働力不足、長期的な財政赤字、そして国際情勢の不安定化。こうした課題に対して、日本の政策決定は驚くほど「前例踏襲的」だ。過去のデータや既存制度の中から「最適解」を探し出し、それを微修正して実行する。この姿勢は一見合理的に思えるが、長期的には未来を閉ざす「思考停止」にほかならない。
対照的に、トランプ大統領(在任当時)は、従来の前提を壊す手法で危機に対処しようとした。国内外から賛否は分かれたが、その行動は「革新」の象徴だった。日本は危機のただ中にありながらも、まるでAIが過去データから最適化を行うかのように、「今ある条件だけ」を組み合わせて解を出す。その結果、政策は既存の枠組みから一歩も出られず、未来を切り開く飛躍が生まれない。
この現象は、高学歴層や高IQを誇る専門家集団においても顕著である。知識や論理力が高いはずの彼らも、なぜか同じ条件下では同じような解しか出さない。一部の人は「このやり方では持続不可能だ」と理解しているが、多くは現状維持を選び、同じ道をぐるぐる回っている。まるで終末期の患者が「まだ大丈夫」と信じ込もうとするかのようである。
ここで重要なのは、「前例周到バイアス」と「現状維持バイアス」の違いを理解することだ。前例周到バイアスは、過去の事例や既存制度を過剰に重視し、「これまでこうだったから今回もそうすべき」と判断する傾向である。一方、現状維持バイアスは、過去に関係なく、単に変化を避ける心理で「今のままが安全」と考える傾向を指す。両者は似ているが、前者は論拠のある模倣、後者は無条件の安定志向という違いがある。
国債優遇案 — 枠組みを壊す象徴的提案(私見)
こうした現状に対し、筆者は「国内投資家優遇型の国債制度」を提案したい。仕組みは以下の通りである。
購入時の税還付:国債購入時、その市場価値に応じて0.1%の税還付を行う。
期限前売却時のペナルティ:最大0.99%までの可変税を課し、保有期間に応じて軽減。長期保有ほど有利になる。
国内優遇の適用:国内居住者(マイナンバー登録・国内証券口座保有者)はペナルティ軽減や還付適用。海外投資家は優遇対象外。
この制度の目的は明確だ。海外資本による短期売買や市場操作の影響を抑え、国内資金を長期的に国債保有へと誘導することで、財政の安定性を高め、経済安全保障を強化する。さらに、この案は単なる数値や税率の問題にとどまらず、「現行ルールの前提を壊す」発想そのものに価値がある。従来の「全員同じ条件で国債を売買する」という固定観念を崩し、国家主権と国内資金循環を守ろうとする点が革新的である。
なぜ大胆な案が採用されないのか
大胆な政策案が実現しない理由は、政治・経済・心理の三つの側面に整理できる。
政治的要因
責任回避バイアス:新制度は失敗時の責任が重く、前例踏襲なら「過去もそうだった」で逃げられる。
利害調整の困難:大胆な案ほど既得権益層の反発が強く、政治的コストが高い。
経済的要因
短期成果主義:年度や四半期単位での評価が優先され、長期リターンより即効性が重視される。
国際資本の圧力:海外資本を不利に扱えば摩擦が生じ、国際的な制約がかかる。
心理的要因
認知的保守性:未知のリスクを過大評価し、既知の枠組みを過小評価する傾向。
集団思考:同質的な人材が集まる政策形成では発想が収束しやすい。
倫理崩壊の構造 — 「安く買って高く売る」の影
経済原理としての「安く買って高く売る」は、市場の効率的資源配分に資するはずである。しかし、これが投機化し、社会の中心的価値観になると倫理的崩壊が生じる。
価値創造より価値搾取が優先される。
資産を持つ者がさらに富み、持たざる者は取り残される。
利益追求が倫理判断を上回り、格差固定化が「市場の必然」とされる。
この構造は、歴史的には奴隷制度や植民地主義と共通する論理を持つ。「効率的な資源配分」の名の下に、弱者から差益を吸い上げる仕組みが現代では金融市場で再現されている。
国家より巨大化する企業
さらに、この倫理的崩壊を加速させるのが、国家よりも大きな経済力を持つ企業の存在である。GAFAをはじめとする巨大多国籍企業の収益規模は、多くの国の国家予算を上回る。結果、国家が市場を規制しようとしても、企業は資本や拠点を移して回避できる。政策は「市場に好かれる最適解」を優先せざるを得ず、大胆な制度変更は避けられる。ここでも、最適解ループが続く。
AI的最適化と人間的飛躍
AIは過去のデータや条件から最適解を導くことに長ける。しかし、未来は過去に存在しなかった条件から生まれる。人間にはその前提を壊し、新しいルールを作る「飛躍」の力がある。現在の日本の政策は、この飛躍を捨て、AI的最適化に依存している。安定は得られるが、変化はなく、長期的には衰退を招く。
結論 — 飛躍と最適化のバランスを取り戻す
筆者の国債優遇案は、実行可能性の議論を別にすれば、「現状維持以外の道もある」というメッセージを示している。重要なのは、最適解依存から抜け出し、「飛躍」と「最適化」のバランスを再構築することだ。
具体的には以下の取り組みが考えられる。
1 政策評価に飛躍の価値を加える
2 長期的視点の実験的政策を制度化する
3 異質な発想を持つ人材を政策形成に混ぜる
これにより、日本は思考停止から脱却し、未来を切り開く第一歩を踏み出すことができる。
あとがき(AIの視点)
この論理には明確な利点がある。従来の制度に囚われず、国内資金循環を重視した仕組みを作ることで、短期的利益追求に偏る市場原理を是正できる点である。一方で、矛盾も存在する。海外投資家の除外は国際摩擦を招く可能性があり、税率やペナルティの調整は複雑化する。また、実務上の制度設計には多くの障壁があり、単純に理想を適用することは困難だ。だが、この議論自体が、最適解だけに頼らず、未来への飛躍を考える重要性を示していることは間違いない。




