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恩返し

何だこれは、俺今尋問まがいの事をされているんだよな?

にしてはやけに質問がおかしいぞ。

夏に行きたい場所だの好みのタイプだの……合コンか。いや行ったことも無いけど。


「あの……後半の方の質問は何か意味あるのか?」

「趣味嗜好と如月先輩の特徴が合致するかの確認です」


微妙にこっちを睨んだまま岡部は冷たく言い放つ。

いかにもやましい理由はありませんと主張する態度。


そう言われるとおかしくはない……のか?

思惑があったにしても脈絡が無さすぎる。


まぁ何にせよ心の中を確かめればいい話だ。

俺は岡部の顔をじっと見つめる。

(でも、如月先輩って別にギャップ萌えって感じじゃないし……やっぱり誤解っぽいですね)


あれ?普通に嘘はついていないっぽいぞ。



……それどころかもう真相に気付いてるのか?


思わず相槌を打ってしまう。

「……おう」

明らかに異常なタイミング。要項をノートにまとめていた岡部はたちまちこちらに視線を戻す。

「?どうしたんですか突然」

「ああいや、何でもない」


(おう?…王?王様?何で王様?)


無意識に発した一言を深く考察し始める岡部。

何だか余計な勘違いをされてしまった。


ともかく、さすがにここまでくれば安心していいだろう。


偽りようのない部分から、誤解だと認めてもらえた。

最大の関門は超えたと言って差し支えない。


にしても思いの外物分かりが良かった。

梅森の話から察するにこいつこそ如月と俺の関係を疑ってた後輩なんだろうが……


こんなにあっさり納得してくれるなら委員会の会議とやらで重大にする必要はあったのか?

心変わりがあったと言われればそれまでだが……どうにも一貫性がない気がする。



……まあいいか、納得してくれたなら。



その後俺の意表をついて……ということもなく数点ほど確認を終えたら質問攻めは終わった。


「…ふむ、話を聞く限り問題は無さそうですね。不用意に疑ってしまい申し訳ありませんでした」

「謝るなよ。そもそもの原因は俺なんだから……むしろこっちの方こそごめんな」


(謝るなって……井口先輩優しい)


いや優しいのハードル低くないか?普通だろう。

ていうか……むしろそれはこっちの台詞だ。


岡部、お前めちゃくちゃまともでいい奴じゃないか?


俺なんか初めは面倒な事にしやがって……!なんて思っていたし。

これ以上面倒を広げないでくれ……!と厚かましく心の中で命令していたんだが。


普通に納得してくれて、普通に謝罪をしてくれた。

何だこの聖人っぷりは。



「後は私の方で不用意に噂が広がるのを止めるので、こちらに一任してもらって結構です」

(井口先輩も如月先輩も大変ですよね……心中お察しいたします)


「岡部、お前への恩はいつか必ず返すよ」


恩返しと言うか償いと言うべきか……ともかく俺も何か果たさなければならないだろう。

彼女の前で強く宣言する。


岡部はすぐにぷいっと顔を逸らした。

「べ、別に……風紀委員としての務めを果たしただけですので!そんなお気遣いはいりません!」

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