岡部凛花
すいません。当初の展開と大幅に変更している弊害で少し更新ペースが乱れます。
最低でも一日一話は頑張ろうと思うのでお付き合いただけると幸いです
代わりと言っては何ですが新作を投稿したので良ければこっちもお楽しみください
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初めて生徒会室というものに入ったが、意外にも普通なものなんだな。
周りをちらちらと観察しながら素朴な感想を抱いてしまう。
何て言うか……職員室をそのまま小さく切り取ったような感じの部屋だ。
単身呼び出された俺だが意外にもそこまで動揺はしていなかった。
梅森の話から薄々と注意が促されていたので覚悟は出来ている。
最もいきなり生徒会室で二人っきりと言うシチュエーションまでは予想しきれなかったが。
「さて、まずは自己紹介をしておきましょうか。1年Ⅾ組の岡部 凜花です」
そう言って目の前に立つ黒髪ポニーテールの眼鏡を掛けた少女はすっと生徒手帳を差し出してくる。
名刺かよ。と突っ込みたくもなるがそういう空気じゃない。
「えー2年C組の井口雄太郎…です」
岡部から伝わってくるのは後輩とは思えない様な眼圧。
たまらず先輩である俺まで敬語を使ってしまう。さすがに生徒手帳までは出さないけどな。
トントン、と机の上をシャーペンで叩きながら早速岡部は話を切り出す。
まだ最低限の挨拶をこなしただけだが、恐らく意表を突こうと思っているのだろう。
「長々と話すのもどうかと思うので単刀直入に聞きましょう。貴方は如月真帆さんとお付き合いをされているのですか?」
(さぁ、どう答え)
「ありえないな」
「……!?」
間を置かず否定する。
即答っぷりに驚いたのか岡部の手が一瞬ピタッと止まった。
(切り込んだつもりですが、思ったより動揺しませんね……演技じゃない?)
聞こえてきた向こうの声に心の中でガッツポーズを行う。
あくまで俺の表情は常に無のまま。
岡部は食い入るようにこっちを見ているが、いくら注視しても情報は出さないぞ。
以前、俺にはサプライズの類が通じないと言ったが勿論この状況でも例外ではない。
どれだけタイミングを計った所で手に取るように分かるんだからな。
俺は完全に余裕を取り戻していた。その理由は三つある。
一つ目は岡部の不意打ちを完全にいなしたこと。
二つ目は話がこじれそうな要因を作りかねない二人が不在な事。
そして三つ目は……彼女の裏側に隠されている。
(確かに私も梅森先輩の裏で監視していた時は普通の友達にしか見えなかったけど……)
そう、なんとこいつはこの間の買い物の際、常に俺たちの背後にくっついていたらしいんだ。
ストーカーじゃないか!と言いたい面もあるがまぁ風紀委員としての仕事の一環なんだろう。
いくら梅森の心を見てもこの情報は出てこなかったからあいつにも伝えられてないのは確か。
2重スパイと言う奴だ。
この事実を知った時は身震いしそうになったが……それ以上のチャンスを生む事に俺は気付いた。
あの日俺は如月との間で一切ボロを出していない。
普通に買い物をして普通に別れただけ。
見られて困ることなど何一つ無かった……如月とはな。
様は岡部自身が俺たちの関係がクリーンだと言う事を証明する最大の存在になるんだ。
誰にも言ってない点がむしろ仇になったな。
後はやるべきことは簡単、これから来るであろう怒涛の質問攻めに自然に対応するだけ。
ゴールはもう見えているんだ。
余計なボロを出さないように余裕を持ちつつ答えて行こうじゃないか。
「では、何故結婚などという噂が流れたんですか?」
「偶然話してたらその部分だけを周りの人たちが切り取っちゃったんだよ」
「その後如月さんと手を繋いで逃げたと報告されていますが……」
「軽くパニックになってたんだよ。昔の立場上あいつにも色々あるのを察してやってくれ」
「じゃあ夏に行きたいのは海ですか?山ですか?」
「……山。あぁでも虫嫌だからやっぱ海かなぁ」
「成程、ずばり好きな女性のタイプは?」
「色々あるけど……強いて言うなら多少なり裏表のギャップがある人だな」
……ん?
少し顔が強張る。
何か今おかしな質問あったよな?
沈黙はマズいと思って反射的に答えていたが、聞き間違え……はさすがにこの距離でないだろう。
ともかくとして岡部は今まで出した情報をノートに書き連ねている。
まとめてくれるのはありがたい。それを提出してもらえれば事態は解決にぐっと近づく。
(先輩は海派で……結構ギャップ萌えとか感じるタイプなんですね。メモメモっと)
いや何でそこをまとめてんの?




