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疑惑

見てくれる皆様に感謝

そう言えばイオンの事をジャスコって言ったら田舎者扱いされました

誰が何と言おうと僕にとってはいつまでもジャスコです

梅森の顔がどんどん近づいてくる。


到達点を察した所で俺は周囲に視線を泳がせていく。

おいおい……休日のデパートだぞ?どんだけ周りにも客居ると思って……


いや、周りの目線を気にしている場合でも無い。

半ば諦めながらも口での最終制止を試みる。

これでも駄目だったら無理やり腕を振りほどいてでも避けるしかない。

「おい……!梅も」


「やっほーお待たせ!真帆ちゃんのお帰りだよー!」


俺と梅森の間に、如月が割って入る。


突如として静かな空間に振って来たのは正に場違いと言えるような底抜けた明るい声。

トイレに帰って来ただけなのに大げさな言い草だ。


頭を引こうとしていた俺はその勢いに驚き背もたれに頭を強く打ち付けてしまう。

「うぐぉ!」

「い、井口君!?」

後頭部に鈍い衝撃が響き渡る。

それに驚いた梅森は強く掴んでいた手をぱっと離してくれた。

そのまま気まずそうにベンチから距離を取る。


ようやく右手から人肌の感触が消えた。

俺の気持ちとしては痛みよりも安心の方が強かった。


激突の原因が自分だと思っているのか、おろおろと様子を伺う如月。

「ちょっ、だだ大丈夫?雄太郎!?」

(ごごごごごめんなさい!驚かせるつもりじゃなくて……)

微かに腫れ上がった俺の頭を赤子を触るかのような手つきで優しく撫でて来る。


落ち着いたところでさすがに恥ずかしくなり俺はそっと頭上の手を払う。

そして心の声で死ぬほど謝罪されている訳だが。


きっと向こうにとっては予想だにしないであろう一言を俺は発した。


「むしろありがとうな。如月」


梅森にギリギリ聞こえない位の声で感謝を伝える。

曇りない眼で、明るい声音で、純真無垢な笑顔で。


「はい?」

(何言ってんの?打ちどころ悪かったのかな?)


当然如月は目を丸くする。……それどころか真面目に心配されてないか?

至って俺の頭は正常だ、多分。


言葉足らずな為酷く意味不明で申し訳ないが、かといって経緯を説明するわけにもいかない。

梅森との一件は多分見られてない……んだよな?


一悶着あったことを悟られない為、尚且つ寸前の所で帰ってきてくれた事に対する感謝。

それを混ぜ込んだ結果口から出たのは心からのシンプルなありがとうだった。

本当にこの状況に関してはベストタイミングとしか言いようがない。



複雑な事情があったことを上手い具合に察してくれるよう彼女の頭脳を信じる。

頼むぞ、アイドル時代はクイズ番組で何度も優勝してたよな?



「……ん?」

何故か俺に対して気の毒そうな視線を向けてくるんだが。

混乱はまだしも、そんな顔をする理由なんて無くないか?


答えはすぐに如月の口から出てきた。

「雄太郎ってアレなの?痛い目に会ってもむしろ興奮したりするタイプなの?」

(だって……頭ぶつけてありがとうって……えぇ……)


血の気が引く。

どういう捉え方をしたらそんな結論になるんだ?



いや、確かに見方次第なら……でも、本当に違うからな!?


慌てていきなり湧いて出た俺のドM疑惑を否定する。

「な訳ないだろ!ありがとうってのはそういうのじゃなくて……」

「あ、ううん!否定したいんじゃないの。趣味とかは人それぞれだもんね!大丈夫だよ」

(…そういう性癖だって言うなら……私も頑張るしかないか)


如月は苦笑いを浮かべながら俺の肩をぽんと叩く。

違う、そうじゃない。同情路線に入るな!

てか何を頑張る気なんだお前は。明日からドSキャラにでも転向する気か?


一難去ってまた一難、とは正にこの事。

梅森の攻めをかわしたつもりが…結果的にドM認定をされてしまうとは。



だがあのままキ……うっかり顔が近づきすぎてしまうよりかはよっぽどマシなオチだ。

後々説得して払拭できる疑惑が出来ただけで済んだことに俺は安堵する。




しかし、本当に前者の一難は去ったのだろうか?

先に言ってしまえばそんな事は全くない。

今回はたまたま如月の助け舟があっただけで、現状は何も解決していないんだからな。


最もそんな事を即座に考えられるほど当時の俺に余裕は無く……


遠くに居る梅森が呟いた一言は、如月に意識を向けている俺の耳に届かない。


「……やっぱり、邪魔が入る以上は二人きりの時じゃないとダメだね」


自分はまだ高校生の身空なので何かと世間の情勢に日程が流されることが多いです

従っていつまで二話更新を維持できるかは分かりませんが……

出来る限り無理のない範囲で精一杯やって行こうと思うので、宜しければブックマークや評価をしていただけるとありがたいです(*'▽')

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