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半吸血人間  作者: 華穂
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吸血欲求


 油断していたのだと思う。けど、きっと油断していなくとも耐えられなかった。

 トオルは小刻みに震える体を抱きしめて、小さく蹲る。そうすること以外、どうすればいいのか分からなかった。







 わずかな肌寒さも消え、本格的に暑くなり出したこの頃。

 相も変わらず、トオルは周囲に自分の体質を隠しながらひっそりと飲血行為をする日々を送っていた。

 初めの頃は、仕方ないとはいえ誰とも知れない人間の血を飲むのにひどく抵抗があったが、それも二つほど月を跨げばもう慣れるもので。

 更に最近では宏人が手を回してくれたらしく、病院に宏人から貰ったカードを渡せば血液を提供してもらえるようになった。

 そのカードは一見ただの福祉医療証だが、公費番号が吸血人間を示す固定番号となっていてそれで見分けているらしい。

 勿論全ての医療機関で使用可能なわけではない。吸血人間自体が秘匿事項であり、それを知る機関も人間も少ないのだ。

 受付の人間も看護師も恐らく知らず、特定の病院に勤務する特定の医師のみが知る番号。

 このカードはトオルにはとても有難く、病院の会議室など無人の部屋を貸してもらって隠れるように飲んでいる。宏人も医師も事情を知っているとはいえ、人前で血を飲むのはやはり遠慮したかったから。


 そんな日々が続き、トオルは異常でありながらも日常を送れていた。

 朝起きて学校へ行き、授業を受けて友人と遊んで、三日に一度病院で血を飲む生活。

 日が経てば気まずさも自然と無くなるもので、宏人とも良好な関係を築けている。社会人である宏人は一人暮らしをしていて、時々あの隠れ家や、最近では普段生活している家の方にも招待してもらった。

 因みに隠れ家はトオルの家から車で片道十分ほどの距離にあり、最初の内に時間が掛かっていたのは道を覚えられないようにするため遠回りをしていたかららしい。それも今はなくなり、送り迎えをしてくれる際には真っ直ぐ最短距離を走ってくれるようになった。


 しかしそうやって仲良くなってきたと感じていても、たまに感じる壁。宏人は時折、トオルに隠れて吸血していることがあった。

 勿論トオルが気付いていることに宏人も気付いているだろう。吸血人間の鼻は血液に対してひどく敏感だ。最近ではようやく抑えることができたが、少し前までトオルは血の匂いを嗅いだだけで理性が飛びかけていたのだ。

 そのことに対しても何度かトオルは宏人に相談していたし、気付いてないかもしれない、とは思ってないだろう。

 それでも隠したいのだとすれば、一体何故?





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