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思い付き短編

無名の勇者たち

作者: 比良滝 吾陽

 椅子替わりの岩に腰掛け、じっと待っている。

 一年前、勇者の召喚を行った王国に出向き、ここのことを国王たちに伝えた。

 訓練を終え、旅に出た一行がそろそろ近くまで来ているだろう。

 他より高い土地の上で、役割の時が訪れるのを待っている。


=========


 かつては、片田舎の村にいた。

 子供たちが四人。

 男の子が一人と、女の子が三人だ。

 同年代の彼らは、ともに育った、幼馴染だ。

 一番年上の少女、その下の同い年の少年少女、そして、一番下の少女。

 大人たちが野良仕事をしている傍ら、彼らの遊び相手はもっぱら自分が務めていた。

 一番暇だったからだ。

 彼らは、勇者の冒険譚に憧れており、いつか旅に出ると言って聞かない。

 子供の言うことだから、と親たちは大目に見ていたが、どうせできないだろう、とたかをくくっていたからだ。

 自分は違う。

 彼らは、いずれ彼らの思う冒険を始める。

 そう思ったから、彼らに自分の持っている技術を伝えることにした

 一番年上の少女は、弓の技術やサバイバルに探知の技術を。

 同い年の少年少女には、剣や格闘の技術を。

 一番下の少女は、一番魔力が多かったので、魔法を。

 全員に一通り基礎は教えたが、それぞれに適性の高いものを教えていった。

 ・・・・・・不思議なもので、子供たちはめきめき力を付けていった。

 成人の日には、彼らは洗礼を受け、神の加護を受ける。

 彼らはきっとその日、今の努力に見合う何かを得るだろう。

「・・・・・・ああ、きっと」

 少年以外は。


=========


 彼らを鍛え始めた日から、十年以上が過ぎた。

 彼らが洗礼を受ける前に、あの村は出てしまったから、彼らと会うのは、大体二年ぶりか。

 空を見上げる。

「いい天気だ」

 足音が聞こえる。

 数からして、八人。

 七人は大人の足音だが、一つは足音が軽い。

 七人の内の一人は、麓の村からここまでの案内人だろう。

 今、彼らの一行は七人編成、ということだ。

 かつて村で鍛えた四人と、召喚された異世界人が一人。

 おそらく、王国が付けた戦士が一人と、後の一人は誰だろうか。

「・・・・・・」

 姿が見える。

 石造りの門を抜け、彼らが姿を見せる。

 戦闘にいるのは、黒髪の青年。

 腰には剣を提げ、鎧を着ているが、微妙に似合っていない。

 その後ろに、かつての村で鍛えた少女達が三人と、白い衣服を着た女性。

 確か、聖女と呼ばれた女性だったか。

 その後ろに、かつての少年がいた。

 前を歩く五人は自分の装備と最低限の荷物だけだが、彼は大きなバックパックを背負っている。

 そして、その周りをちょこちょこと歩く、小さな姿。

 猫の耳の生えた少女だ。

 こちらも、最低限のものしか持っていない。

「ふ・・・・・・」

 まったく、らしい姿、と言えなくもないが、お人好しが過ぎやしないか、と心配になる。

 あの少年以外の三人の少女が、洗礼によって強い加護を得たのは知っている。

 一方で、彼にはそれほど強い加護がなかったことも。

 正直、あのまま村に残っていればよかったと思うが、彼はきっと、幼馴染たちを放っておけず、旅に同行したのだろう。

 そして、荷物持ちに甘んじている。

 一行の全員分の荷物など、どれほどの重さになるか。

「主よ」

 案内人の男が、こちらに声をかけてきた。

「ああ。ご苦労。下がっていい」

「は」

 短く言って、案内人は山を下っていく。

「さて、よく来た」

 それを見送り、一行に声をかけた。

「・・・・・・あんたが、聖剣の試練の案内人か?」

 先頭の男が声をかけてくる。

 召喚された異世界人だろうが、

「さて。礼儀知らずな小僧だね? まったく」

「なんだと?」

「待って!」

 一番年上だった彼女が、声をかけてきた。

「えっと。兄さん、ですよね?」

「え? リーデのアニキなの? あれ」

「あ、いえ。そうではなくて、私たちに闘い方とかいろいろ教えてくれていた先生みたいな人で。村では私たちのお兄さんみたいな人だったから、兄さん、呼んでいて」

「へえ?」

 異世界人の青年は、こちらをじろじろと見てくる。

「まあ、いいか。久しぶりだな。リーデ、クロエ、ニナ、それに、ランド」

 女性陣には年齢順に声をかけ、最後に一番後ろで荷物持ちと化している青年に声をかける。

「やっぱり、兄さん。・・・・・・え? どういうことです? なんで兄さんがここに・・・・・・」

「うん? 別におかしかあるまい? そもそも、俺が鍛えたお前らが、揃って異世界から召喚された異世界人の一行に加わっているのが、偶然だと思ったのか?」

 え、とリーデが首を傾げた横で、魔法使いの衣装に身を包んだニナは嘆息する。

「もしかして、あたしたちが勇者のパーティに入ることがわかってたから、兄さんは私たちを鍛えてたの?」

「そうだよ? 俺は、あの村の子供たち。まあ、お前らが勇者とともに旅立つのを知っていた。だから、鍛えに行ったのだ」

「・・・・・・それで、あたしたちが洗礼を受ける前に、村からいなくなったのね? もう必要ないから」

「そういうことだな。俺の役目は、勇者の手助けをすることだから」

 それが、世界を守護する紅玉竜の一族の役目なのだから。

「それと、そちらの聖女もだ」

「・・・・・・お久しぶりです」

「シエラも知り合いかよ!?」

「召喚前に、聖剣を入手するためにはここを訪れる必要がある、という情報を王家にもたらしたのはかの御仁です」

「へえ? じゃあ、俺の聖剣は、やっぱりここにあるんだな?」

 異世界人の青年が一歩を前へ出た。

「俺の名前はトウヤだ。勇者の聖剣のくれ!」

「・・・・・・礼儀ってものを知ってるか? 自称勇者の小僧」

「自称じゃねえよ! 俺が勇者だ。そっちこそ、勇者相手に失礼とは思わねえのか!?」

「思うわけないだろう? 聖剣も持たない、自称勇者なぞ、今までに何人見てきたか・・・・・・。それに、勇者である、というだけでは、敬意を払う対象にはならんよ」

「ああ? 俺がいないと世界がダメになるんだろうが?!」

「勇者がいないとダメかもな? だが、勇者に代わりがいないわけじゃない。別に、世界を救うのが勇者である必要もないし」

「はあ?!」

 トウヤと名乗った異世界人がこちらに詰め寄ろうとするが、それをシエラが止める。

「お待ちください。勇者様。あの方は、聖剣の試練の番人。我々の目的は・・・・・・」

「聖剣を手に入れることだってんだろ? で、勇者が聖剣を持ってねえと、世界の危機には対抗できねえ」

 トウヤはこちらをにらみつけた。

「あんた。世界が滅んでもいいのかよ?」

「構わんよ?」

「は?」

 即答が返ってくるとは思わなかったのか、トウヤは呆気に取られた。

「何か勘違いがあるようだから言っておくが、世界を滅ぼすほどの危機から世界を救えるということは、翻ってそいつ自身に世界を滅ぼすだけの力があることを意味する。信用できないものに、聖剣の試練を受けさせると思うか?」

「・・・・・・それは・・・・・・」

「召喚されて、勇者とおだてられて、いい気になってここまで来たんだろうが、そもそもお前にこの世界を救う義理はあるまい? 何だったら、元の世界へ帰してやろうか?」

 その言葉に、パーティーのメンバー達は目をむいて驚いた。

「できるの?!」

「できるよ。やり方は分かってる」

「・・・・・・・・・・・・いらねえ」

 だが、トウヤは首を横に振った。

「俺は、あっちの世界に帰るつもりはねえ」

「・・・・・・そうか」

 どういうつもりで言っているにしろ、こちらには興味のない話だ。

「・・・・・・はあ。まあいい。聖剣の試練を望むというのなら、道を開こう。・・・・・・で、受けるのはそのトウヤという小僧一人だな?」

「当たり前だろ! 俺が勇者だ!!」

 どん、と胸をたたいてさらに一歩を前へだたトウヤを見る。

「了解した。では、門を開く」

 こちらの背後。

 石を積んで作られた門がある。

 そこに少しばかりの魔力と、血を一滴。

「開け。聖剣の丘へ続く道」

 空間がゆがむ。

 石門の内側へ、暗い門が口を開く。

「・・・・・・さて、これで試練への門は開いた」

「よし! さっそく・・・・・・」

 飛び込もうとするトウヤを制して、口を開く。

「ルールを説明しよう」

「お、おう」

「一つ、ただ前へ進め。前へ進まなければ、試練は終わらない」

「前へ。振り返るなってことか」

「べつにそこまでは言わん。ただ、振り返ってもな何もないし、引き返しても元の場所には戻れない。前へ進むしかない、と心得ておけ」

「わかった」

「二つ。武器や道具の類は置いて、身一つで挑め」

「そんな。危険はないのですか?」

 シエラの声にその姿を見据えて言う。

「あるに決まっているだろう? だが、その程度も乗り越えられない者に、聖剣は扱えん」

「それは・・・・・・」

「へ。心配いらねえよ! 俺は素手でも強いしな」

「・・・・・・まあ、中に魔物の類は出ない。そういう意味でも、武器の類は不要だ。・・・・・・戻ってくるなら、聖剣を手にしているだろうしな」

「へえ。なんだよ? 俺がうまくいくと思ってくれてんだな?」

「いや? 聖剣を手に入れられなければ、戻ってこられず死ぬだけだからな。逆説的に、戻ってこれたなら、必ず聖剣を手にしている」

「・・・・・・え? マジか」

「臆したか?」

「ビビッてはいねえよ!」

「そうか」

 虚勢でも、なんでもいいが、受けるのなら大事なことだ。

「三つ。最後だが、勇者であるということがどういうことか。よく考えることだ」

「は? なんだそれ? ヒントか?」

「ヒントではない。案内人は、試練へ挑む者に対し、そう伝える。・・・・・・そういう決まりだ」

「へ。そうかよ」

 道を開ける。

「では、試練を受けるなら進め」

「よし!」

 トウヤは後ろを振り返り、パーティーメンバーの顔を見て、

「行ってくる! 絶対聖剣を持って帰ってくるぜ!!」

 勢いよく、飛び込んでいった。


=========


「行ったか」

 残った者たちを見る。

 祈りを捧げたり、心配そうな顔をしたりと様々だが、

「兄さん」

 ニナが声をかけてきた。

「この試練って、どのくらいで終わるの?」

「中に入ったやつ次第だな。ただ、最短でも三日はかかるだろう」

 門の前。広場の端を示す。

「待っているのなら、そこでキャンプでもすればいい。あるいは、麓の村まで戻って宿を取ってもいい。・・・・・・好きにしろ」

 近くのちょうどよい高さの岩へと腰を下ろす。

「戻ってきても、死んだとしても、試練が終われば門が閉じる。それまでは、待つしかない」

「・・・・・・トウヤは、試練を突破できると思う?」

「知らんよ。俺はあの小僧がどんな奴かは知らん。それは、一緒にここまで旅をしてきたお前たちの方が知っているだろうに」

 呆れをにじませて言えば、それぞれに思うところがあるのか、複雑そうな表情をしている。

 その中で、ランドはさっさと広場の隅に、キャンプを張り始めていた。

 パーティの中で一番小さい猫耳の生えた少女が、それを手伝っていた。

 荷物持ちに甘んじているかと思ったが、マイペースにキャンプを張っているところを見ると、結構図太くやっているのだろう。

「・・・・・・ふむ。おまえら暇か。じゃあ、ついでだ。村にいたころからどのくらい成長したか。ここで見てやろう」

 立ち上がり、右手を前へ。

 魔力を収斂させ、剣の形へと整える。

 現れるのは、紅玉の剣。

「お前らが勇者のパーティとして進む、というなら、ちょうどいい。全員でかかってこい。どの程度か見てやる」

「いくら兄さんでも、我々全員を一度に、というのは・・・・・・」

 クロエが戸惑ったように言うが、

「実力を見てやる、と言っている。それともあれか? お前らも、おだてられて自分は世界最強になった、とでも思っているクチか? だとしたら、世間を知らなさ過ぎだ」

 軽い煽りだが、少しはむっとしたようだ。

「ケガをしても知りませんよ?」

「噛ませ犬のセリフを吐いてないで、さっさと来い」

 ああそれと、と振り返り、

「ランド、お前もだぞ? 全員でな」

 呼びかけると、キャンプを張り終えたランドは、何も言わずに荷物から木剣を取り出してきた。

 あの木剣には見覚えがある。

 村にいたころに、訓練用に作ってやったやつだ。

 わざわざ旅の荷物を増やしてまで、あれを持ち歩いている。

 その事実が、どうにも面白い。

「ランドの実力は、我々の中では一番低い」

 クロエは言うが、

「それはお前らが、加護を得て増長しているからそう思うだけだ。・・・・・・まあ、やれば分かる」

 少し、たるんでいるようだから、叩き直さないとな、と剣を構えた。


=========


「・・・・・・お前ら、村にいたころより弱くなってないか?」

 ぼっこぼこだった。

 全員でかかってきて、こちらは一太刀浴びることもなく、全員が倒れている。

 いや、一人、二人。

 ランドと一番小さい少女が、ふらふらとしつつも立ち上がった。

「・・・・・・ふうん?」

 ふと、思い出した。

「そういえば、そこの一番小さいのは、まだ名前を聞いてなかったな。何だ?」

「・・・・・・フィト」

「フィト?」

「ランドが、名前くれた」

 なるほど、だからランドになついているのか、と得心する。

「そうか。で? ランド、お前、まだできるか?」

「・・・・・・とう、ぜん!」

「ようし! ならさっさとかかってこい!」

 叫びを挙げ、ランドがかかってくる。

 いなした直後に、フィトの蹴りが飛んでくる。

「お?」

 それをかわせば、次はランドの攻撃。

 いなせば、フィト。

 ランド、フィト、ランド、フィト、と二人で絶え間ない連撃を続けてくる。

「ふむ・・・・・・」

 いなし、かわすことに不自由はないが、反撃をするには隙がない。

 正直、全員でかかられていたころより、ずっとやりづらい。

「・・・・・・ほう?」

 その動きを見て、察する。

 思わず、深いため息が出た。

「なるほどなあ・・・・・・」

 少し強めに剣を振れば、ランドとフィトは離れて立っている。

 さっきのふらふらと立ち上がったのとはまるで違う、力強く、大地を踏みしめている。

「・・・・・・ランド。なんでこんな・・・・・・」

 クロエの茫然とした声が聞こえたが、今はいい。

「どれ」

 上段の構えを取る。

 ランドもそれに合わせて構えを変えた。

 中段へと構えを変える。

 合わせて構える。

 下段へと構えを変える。

 合わせて構える。

 そんなことを数度繰り返し、頷く。

「よし。一本打ち込んでみろ」

「はい!」

 中段の構えから振りかぶり、鋭く一歩を踏んで、ランドは打ちかかってきた。

 ぎりぎりまで見極め、わずかに身をずらす。

 だが、振り下ろしの軌道が追いついてくる。

 剣を構え、受け止める。

 振り下ろされた木剣はこちらの剣をたたき、だが、跳ね返る。

 素早く後ろに下がったランドは、そこから次の剣を放ってくる。

 数合の打ち合い。

「・・・・・・ふむ。よし」

 少し強めに振って、距離を開けさせる。

 基本をしっかりと踏襲した剣は、村でランドやクロエに教えたもの。

 クロエは、おそらくそのあと王国騎士の手ほどきを受けたのだろうが、加護の影響もあるか、少し我流の剣になりつつある。

 一方で、ランドの方は、あの村で学んだものを、ただひたすらに修練を積んだ形になっている。

「ここまでにしておくか」

 言って剣をしまえば、ランドは、腰を落として座り込んでしまう。

「ランド。水」

「ああ。フィト、ありがとう」

 二人の仲はいいようだ。

「・・・・・・番人様」

 シエラが落ち着いたとみるか、声をかけてきた。

「・・・・・・なぜ、このようなことを?」

「ただ待っているというのも暇だろう、というのもあるが、一度はいろいろ教えた相手だ。たるんでいるとなれば、叩き直したくもなる」

「兄さんは。私達がたるんでいるとでも?」

 クロエは不満そうだが、

「実際そうだろうが。お強い加護をもらったお前らより、ランドの方がよっぽどしっかり戦えている。・・・・・・加護に胡坐をかいて、基礎の鍛錬を怠った結果だ。馬鹿どもめ」

「そ、そんなこと・・・・・・!」

「・・・・・・今まで、強い相手と戦ってこなかったのは幸いだったな。まともに戦えるやつが出てきていたら、お前ら全滅してたぞ」

「強い相手って・・・・・・」

「番人様」

 シエラがこちらをにらみつけてくる。

「我々は、世界にあだなす邪悪を討つ為、大いなる神より加護を与えられました。それが、加護のせいで弱いなどというように・・・・・・」

「逆だ愚か者」

「え・・・・・・?」

「加護は、加護。神の慈悲だ。間違えるな。加護を得たことで強くなったと言うのなら、お前たちには、その強さが最低限必要になる『何か』が待っている、ということだ」

「最低限必要な・・・・・・?」

「そう。あくまでも、最低限必要な、だ。お前たちが加護があれば勝てる、と甘えて努力を怠るようなら、確実に負けるぞ?」

 言い放つと、シエラは黙りこくってしまった。

「・・・・・・加護を得たからと言って、だからどうした、ということだ。その程度の力を持っている者なら、この世界にはごろごろいる。そういった者たちは、加護に比肩する力を持ちながら、それ以上に自らを鍛えることを怠らない。そんな相手と競わなければならないお前たちが、加護に甘えて鍛錬を怠るなど、愚かと言わずになんという」

「・・・・・・・・・・・・」

 黙り込んでしまった一行を見て、ふん、と鼻を鳴らす。

「今からでも遅くはあるまい。きちんと鍛えなおすことだ。・・・・・・少なくとも、今のままのお前らなら、あのトウヤが戻ってきたとき、ついていけなくなるぞ」

 やれやれ、と肩をすくめ、ランドへと視線を送る。

 ランドの方は、フィトに何かを話したり、地面に何かを書いたりしており、フィトはフィトで真剣にそれに付き合っている。

 ふ、と思わず笑みが浮かぶ。

「・・・・・・と、さて。お前たち。説教は終わりだ。キャンプするなり何なり、きちんと自分で考えて動けよ」


=========


「番人様」

 夜になり、焚火を囲っている一行から外れ、一人で酒を飲んでいた。

 そこにシエラが近寄ってきて、声をかけてきた。

「何か?」

「いえ。昼のことで、礼を」

「・・・・・・何がだ?」

 問い返せば、シエラは頭を下げる。

「失礼をしました。神を信仰する教会の出でありながら、私もまた、聖女という地位におごっていたかと」

「別に構わんよ、と言いたいが、あの件に関しては間違いなく教会の怠慢だな」

「それは・・・・・・」

 下げていた頭を上げ、何とも言い難く顔をしかめるのを見て、

「確か二世代ほど前ではあるがな。あの神の加護に関する見解は、お前達の教会の教皇から聞いた言葉だ」

「教皇様から・・・・・・?」

「当時は、まだ勇者一行の神官だったから、教皇じゃなかったが、俺のところに来て勇者と聖剣についての話をしているときに、よく言っていた」

 思い出す。

「神は人に慈悲は持つが、それは人を甘やかす、ということではない。神は、人に対し、何かを期待しておられる。故に、決してその危難を遠ざけるようなことはせず、だが、決して越えられない試練はお与えにならない。加護は、人の身では超えられない試練を超えるため、最低限与えられる慈悲である、と」

 ふむ、と頷く。

「まあ、そいつ自信が自分を甘やかさないために、自分に言い聞かせている風ではあったけどな。勇者との旅を終え、教会に戻ってから、他の神官どころか、当時の教皇なり聖女なりより遥かに強い神聖術を使えることから、教皇の座に就くことになった男の言葉だ」

「・・・・・・・・・・・・そう、ですか」

 シエラは絞り出すように、息を吐いた。

 あの男とよく似た色合いの髪をした聖女シエラの姿を見て、ふ、と笑う。

「教訓は、よく心に刻め」

「はい」

 ふう、とシエラは息を吐き、さらにこちらを見てきた。

「もう一つ、お聞きしたいことがあります」

「うん?」

「勇者様がお受けになっている試練の内容について。差し支えなければ、お教え願えないでしょうか・・・・・・?」

「ふむ・・・・・・」

 む、とうなる。

「・・・・・・気になるか」

「はい」

「むう・・・・・・。まあ、いいか」

 知ったところで、どうなるものでもなし。

「とはいえ、試練の内容は神が決める。大体の方向性は知っているが、俺が知っている試練を受けているとは限らない、とは覚えておいてくれ」

「はい」

 ふと、奥を見れば、皆、こちらに意識を向けている。

 例外は、ランドくらいで、フィトもなんだかんだとこちらを見ている。

「・・・・・・大体、試練は三段階だ」

 話し始めた。


=========


 聖剣を手に入れる試練は、おおよそ三つの段階を踏む。

 一つ目は、極限状態への追い込み。

 食料も水もない、そんな状態で、ただ前へと歩き続ける。

 道はあるが、先は見えず、風景に変化もない。

 そんな道をただ、飢えと乾きに苛まれながら、ひたすらに歩く。

 そうしてやがて倒れる。

 その極限状態で、試練を受けに来たものの底を測る。

 試練のために作られた空間は、外よりも時間の流れが速い。

 外での一日で、おおよそ一週間は経過しているはず。

 そこまで、戻るということを選択せず、折れることなく歩き続けることはできるか。それがまず一つ。

 ここまでは、すべて同じだ。

 そして、そこから二つ目の試練、誘惑が始まる。

 誘惑とは何かって?

 ここからは、受けるものによって異なる。

 大概は、故郷だ。

 なんでそれが誘惑になるか。

 こんな試練を受けに来るものの多くは、故郷なり何なり、まあ、自分の大事な者を滅ぼされたが故に力を求めるものだ。

 故に、その失った大事なものが戻ってきたら、さて、それ以上先に進もうと思うかどうか。

 ああ、ちなみに、大概はここまではあっさりと越えることが多い。

 まあ、もう失っていることを知っているからな。迷うことも少ないんだ。

 あの小僧の場合?

 まあ、おそらくは元の世界へ一時的にでも戻されているんじゃないか?

 そのまま、その世界へとどまることを望めば、それでやつは元の世界へ戻り、この世界には二度と戻ってこんだろう。

 本人は帰るつもりはないと言っていたが、実際に帰れるとなれば、さて、どちらを選ぶか。

 そして、次の試練へと進むことを選べば、第三の試練が始まる。

 内容は、単純。

 掛け値なしの絶望を味わうこと。

 どれだけの力を得ても勝てないのではないかと思う強敵。そもそも戦うことなど考えもできない、自然災害のような脅威。仲間のすべてを失い、大事なものをすべて喪失し、戦う利用もなくし、それでも世界のために戦うことを選択できるか。

 それこそ、勇者らしく、勇気を示すことができるのか。

 それが、第三の試練。

 二つの試練は、大概乗り越える。

 だが、この第三の試練で、ほぼ確実に折れる。


=========


 説明を終えれば、シエラは顔を青くしている。

「言葉だけを聞けば、さほど過酷には感じませんね」

「だが、無理だ。勝算のない相手に、それでも挑むことができるもの。ときには蛮勇と呼ばれるそれを持ち合わせるものを、勇者と呼ぶ」

 空を見上げる。

「聖剣はな。勇者に対し、一振り。存在する」

「勇者に、一振り」

「この試練を受けに来る者は多い。だが、戻ってきたものは歴史上でも数えるほどだ」

「・・・・・・それらすべてが勇者であると」

「君たちが歴史に記す、な」

 シエラへと視線を戻し、告げる。

「・・・・・・それは、どういう」

「勇者は、一人ではない。・・・・・・この試練は、勇者に聖剣を与える試練ではない」

「・・・・・・え?」

 疑問の声を上げたのは、誰だったか。

「それじゃ、トウヤは勇者じゃないって・・・・・・」

「そう言っている。異世界から召喚されようが、他の誰が呼ぼうが、勇者ならば一振りの聖剣を持つ。・・・・・・この試練は、勇者が聖剣を得る試練ではなく、勇者になるための試練なんだ」

「そんな! そんなこと、教会では誰も・・・・・・!!」

「そりゃそうだろう。勇者とは、人類の脅威ではなく、世界の脅威に立ち向かう者のことを指す。下っ端は知らんが、教会上層部はだからこそ決して、勇者の真実を明かさない。・・・・・・足手まといにしかならないからな」

 昔からそうだ。

 勇者は、世界中にいる。

 勇者となった者は夢を見る。

 未来の夢、あるいは、神託、と言い換えてもいいかもしれない。

 そして、そこには、第三の試練と同じ、絶望が待っている。

 内容は違うだろう。

 だが、どれも敗北の果てにすべてを失う未来であることは確実だ。

 だから、勇者の資格を得たものの歩む道は三つ。

 諦めて、怠惰に過ごすか。

 絶望して、自ら命を絶つか。

 あるいは、届かないと覚悟を決めながらも、それでも自らの力を磨くか。

 そして、自らの力を磨いた者は、聖剣の丘へと招かれ、聖剣を得て、勇者になる。

 この勇者には、聖剣の試練は必要ない。

「・・・・・・どれだけ努力をしたところで、世界の脅威に一人の力で立ち向かうには、全く足りないんだ。それでも、立ち向かう勇気を持つ。それが勇者だ」

 勇者の勇気は、決して光り輝くものではない。

 誰も彼もを魅了するようなものではない。

 絶対に勝利を運ぶ、そんな巨大な力ではない。

 どちらかといえば、胸の内に秘め、静かな支えにする程度の、小さなものだ。

 多くの勇者は、その絶望的な戦いに、たった一人で挑み、誰にも知られないうちに脅威を払う。

「・・・・・・」

 ランドがいた。

 姿を見る。

 そのそばには、フィトが侍っている。

「・・・・・・ふ」

 くく、と笑う。

「まあ、やつが戻ってくるか、それとも戻ってこないか。・・・・・・どちらにしろ、門が閉じるまで、お前たちは待つんだろう? 今日は寝てしまえ」


=========


 暗闇。

 遠目には、わずかな焚火が見える。

 広場の端で、星を見上げている。

「・・・・・・アニキ」

 ランドが、近くまで寄ってきていた。

「オレに、失望してるか?」

「なぜ?」

「それは・・・・・・」

「勘違いするなよ? お前が守りたいと思うものを、俺が誤解しているのでなければ、お前はきちんと役目をはたしている」

 からかい混じりの調子で言ってやれば、ランドは黙りこくってしまった。

「俺は、世界の守護者の系譜だ。・・・・・・だから、お前の願いにも応えた。いいんだ。お前はそれで。・・・・・・お前が、そう決めているならな」

「・・・・・・オレは」

 何か、悩んでいる風でもある。

「何もかもが変わらないようにはできないさ。ただ、お前はまだ、何者でもない」

「ああ」

「不要と思うなら、そのままでもいいのではないか?」

「・・・・・・・・・・・・」

「かつてのお前の疑問に、答えは教えた。あとはお前がどうするか。それは、俺が決めることじゃない。そうだろう?」

 かつて、初めて会ったとき、あの時、ランドはひどく焦っていた。

 がむしゃらに木の枝を剣に見立てて振り回し、泣きそうな顔で走り回り、できもしないのに魔法を唱えようとしていた。

「正直、俺がお前にしてやれることは、あの村で大体終わってる。あとは、お前の決断次第なんだよ」

「・・・・・・わかった」

 結局のところ、ランドの中では、答えなど決まり切っているはずなのだ。


=========


 それから三日ほど。

 特に何事もなく過ぎた。

 そして、ある日の朝。


=========


「・・・・・・アニキ」

「うん?」

「稽古をつけてくれ」

「なんだ珍しい。自分から言い出すとは」

「頼む」

「・・・・・・わかった」

 立ち上がり、剣を抜く。

「ランド」

 フィトが寄ってくるが、それをランドは手で制して、

「悪い。フィト。今回は一人でやらせてくれ」

「・・・・・・・・・・・・わかった」

 木剣を構えるランドを置いて、フィトは後ろへと下がる。

 周り、皆が見ている中で、ランドはふう、と息を吐いた。

「・・・・・・ふむ」

 こちらを見据えてくる目。

 強いにらみにも似たそれを受けて、構えを変える。

「・・・・・・ふっ!!」

 呼吸を合わせ、タイミングを読んだか、勢いをつけて、ランドが走りこんでくる。

「ほう・・・・・・!」

 思わず感嘆した。

 速い。

 そして、

「おお!」

 重い。

 一撃一撃の威力が違う。

 得物が悪ければ、それごと斬れるような一撃。

 下手に受ければ、受けた武器を吹き飛ばされるか、体勢を崩されるか。

 どちらにしろ、受け損なうことのできない、いい攻撃だ。

 最初にやったときとはまるで違う。

「・・・・・・覚悟を決めたか?」

 つばぜり合いになった拍子に、問うてみた。

「・・・・・・ああ!」

 頷きか、気合か。

 どちらにしろ、こちらを大きく弾き飛ばそうとした勢いに乗って後ろに跳べば、

「てやああああああっ!!」

 気合とともに、ランドがこちらに大きく振りかぶった攻撃を打ってくる。

「・・・・・・ふむ」

 カウンターを決めるのは容易に見える。

 だが、

「すう」

 息を吸い、

「ふ」

 振り下ろされてくる剣へと向けて、こちらの剣をたたきつける。


 甲高い、音が鳴った。


 しばらくして、さく、と後方で音が鳴る。

 ちらりと視線をやれば、自分が持っていた剣の刃先が、地面に突き立っていた。

「ランド!?」

 驚きの声を上げたのが誰かはともかく、驚きの理由は分かる。

 ランドが持っていたのは、木剣のはずだ。

 だが今、ランドの手には黄金に輝く剣がある。

「何・・・・・・あの剣?」

 ニナが疑問の声を上げるが、シエラが応えた。

「聖剣です。あの黄金の輝き、聖剣以外にありえないでしょう」

「なぜ、ランドが聖剣を・・・・・・」

「決まっている。ランドは勇者だからだ」

 クロエの声に答えてやれば、

「バカな!!」

「ばかなもなにも、ランドは勇者だ」

「だって、ランドは強い加護も受けていないし、今までだって、あんな剣を使っているとこは・・・・・・」

「俺も、ランドが聖剣を抜いたのは初めて見たさ」

 それに、

「勇者である時点で、それ以上に強い加護など存在しない。神の加護など改めて受けることはない」

「だったら、なんで何も言わずに・・・・・・」

 茫然とした声だ。

 ただ、その声には応えず、ランドへと目をやる。

「・・・・・・ふむ。覚悟を決めたか」

「違う。もういい、と思った」

 ランドは手の中の剣を見下ろしながら、言う。

「もういい、とは?」

 こちらの問いかけを無視するように、ランドが門へと目を向ける。

 つられて目を向ければ、

「ほう? 帰ってきたか」

 素直に感嘆する。

 倒れこむように、トウヤが門から投げ出された。

 その手には、ランドの手にあるものとは意匠が違うが、やはり黄金の剣だ。

 倒れこんで動かないトウヤ、新しい勇者へと、四人の少女が駆け寄っていく。

「聖剣を手にした。あれも勇者か」

「・・・・・・みんなは、あいつが守ってくれる。オレは、オレがやるべきことをやる」

「・・・・・・別に、お前がやらなくてもいいんだぞ?」

「やる。決めた」

 ランドは、これまたいつの間にか現れていた鞘へと剣を納め、

「アニキ。ありがとう。オレ、行くわ」

「そうか」

 ランドは、いつの間に用意していたか、自分一人分の荷物を背負う。

 見れば、キャンプの跡地には、荷物がキチンと整理され、人数分に分けて置かれている。

 抜け目のない、というよりは、用意がいい。

「ん」

 見れば、フィトも自分の分の荷物を背負って、ランドの隣に立っている。

「お前さんは、ランドと一緒に行くか」

「うん。フィトは、ランドが好きだから」

「・・・・・・足手まといにならないようにな」

「・・・・・・気を付ける」

 こく、と頷いた小さな頭を撫でておく。

「ランド!」

 リーデが、ランドを呼んだ。

「荷物のところに、水とかいろいろ分けておいてある。必要な準備は、全部済ませといた」

 そんなリーデへ、ランドは淡々と告げる。

「・・・・・・ランド、あなた・・・・・・」

「オレは、物心ついたときから、ずっと夢を見てた。村のみんなが、死ぬ夢を」

「それは」

「村の真ん中に、小さい影がいるんだ。あれが敵だ。オレはあれを殺す」

 強く、決意を込めて吐く言葉に、リーデが言葉を失っている。

「トウヤは、きっと別の敵を見たはずだ。オレとは違う敵を。・・・・・・世界の危機は一個じゃないから」

「でも、だったら、一緒に行ったって」

「それはやめた方がいい」

 口をはさんだ。

「勇者は、行動を共にするべきではない。一緒にいたら、一緒に潰されるかもしれんし、それにランドが言う通り、勇者が敵としてみなす世界の脅威は、同じとは限らん。片方に注力している間に、もう片方が世界を滅ぼしていた、なんて、笑い話にもならん」

「それは・・・・・・」

「ランドはもともと、一人で旅立つつもりだったんだ。ただ、それより早く、あのトウヤって小僧が来て、お前らが旅に出ることを決めた」

「それは、私達が心配だったから?」

「ああ。・・・・・・トウヤは勇者だって言っているのに、どう見てもただの人間だった。オレみたいに夢を見ている風でもないし、そんなに強くもない」

 その言葉には苦笑する。

 勇者としての焦りに追い立てられて強くなったランドは、強いの基準が自分を鍛えたこちらが基準になっている。

 実際のところを見れば、トウヤはそれなりに強い。

 あくまでも、それなり、だが。

「だから、どうしても心配だった。・・・・・・でも、それもこれからはいらない心配だ」

 ランドの目は、寝かされているトウヤへ向いている。

「今のあいつなら、多分大丈夫。オレは、自分の敵を目指せる」

「ランド・・・・・・」

「みんなは、トウヤを助けてやってくれ。あいつは、教会と国が認めた勇者。【人類の英雄】になることを期待されてる。みんなの助が絶対にいる」

「ランド!」

 リーデが叫ぶが、

「じゃ。オレ行くわ」

 軽い調子で片手を上げて、ランドはさっさと歩き去ってしまう。

 そのあとを、フィトがちょこちょことついていった。

「・・・・・・ランド」

「どちらの傍にいるのか、選んだのは君だろう? リーデ」

「私達が、トウヤと仲良くなったから、ランドはいなくなるの?」

「そりゃ違う。ランドは村にいたころから、一人で旅立つって決めてたし、誰かと一緒に旅をするなんて考えてもいなかった。・・・・・・それが変わらなかった。それだけだろ」

 ああ、いや、と首を振る。

「あのフィトってのには、絆されたみたいだな。・・・・・・まあ、一人じゃないなら、大丈夫さ」

「兄さん」

「お前らは、ランドの言う通りトウヤを助けてやれ。トウヤはこれから、人類全部の希望を背負う。仲間に、それに見合うやつがいなかったら、潰れちまうぞ」

「・・・・・・・・・・・・はい」


=========


 何年かして、勇者トウヤとそれが率いるパーティーが、魔王と名付けられた巨大なモンスターを討伐したという話を聞いた。

 トウヤはそれ以降も、教会や国の要請に従い、常人がとても太刀打ちできないと思うような強大なモンスターを討伐しては、その勇名を馳せているという。

 ランドとフィトは、風の噂に、それらしい影を時折聞くが、いま、どこにいるのかは定かではない。

 ただ、きっとどこかで、世界の危機と戦っている。

 この世界に無数にいる、無名の勇者と同じように。

ほとんど思い付きで書いた話なので、読みにくいかもしれません。

ざまあ系を見てて、こうかな、と書いたけど、ざまあはなかった。

ランドは行方不明になっていますが、この世界でだと試練を受けずとも勇者となれば、自分の聖剣が手に入るため、人知れず戦っている勇者はたくさんいます。

勇者だから強い、あるいは、強いから勇者ではなく、勝算がなくとも、大事なもののために挑む勇気ある者、としての勇者です。

トウヤも、試練を受けた結果そういうやつに変わっています。

実際、勇者の試練というなら、資格があるか試すより、勇者にふさわしく人格矯正してしまうような奴の方が効率いいんじゃ、とか思ったり・・・・・・。

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