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1000PV記念の番外編に出たオレです

 

 ※番外編です。読み飛ばしても問題ありません。



「キョウお姉様。本日は番外編らしいですよ」



 ミヤビの言葉にため息を着く京。



「話も大して進んでないのにか」



 京のため息を無視しながら頷くミヤビ。彼女の栗色の髪も賛同するかのように揺れる。



「と言っても、登場人物もそこまでいないので、今のうちに皆さんに自己紹介をしてもらいましょうよ。私たちの特徴をよりハッキリと覚えて貰えますようにインタビュー形式でやってみましょ」



 その言葉を境にミヤビはどこからかL字のソファーを用意し、短い辺の場所に座る。その後京を長い辺の所に座るように指さす。勢いに負けて座る京。気付いたら周りには鮮やかな花やテーブルが置かれていた。



「おまたせしました。ミヤビの部屋スタートです」



 いつの間にか髪型が大きな玉ねぎのようなものに代わり、メガネもかけているミヤビ。手にしている紙はおそらく何かの資料だろう。この意味が分かった京は付き合うかどうか悩んだが、特にやることもないのでミヤビの茶番に付き合うことにした。その時だった。どこからか金髪の騎士が現れ、玉ねぎヘア(てつこ)化したミヤビの肩を軽く叩いた。



「まて。そこに座るのは君ではなく、私だ」



 突然現れた憧れの第一騎士にミヤビは完全にフリーズした。いつの間にか玉ねぎヘアとメガネは無くなっていていつものミヤビの格好に戻っていた。



「はわわわ! キンお姉様!!」



 触れられた肩に置かれたキンの手を両手で包むミヤビ。口元から僅かにヨダレが垂れていた。そんなミヤビをキンは嫌な顔一つせずにそっと場外へ追い出すように移動させる。



「また出番になったら呼ぶからしばらく席を外しといて貰えると嬉しい」



 遠回しに邪魔だから出て行けと言うキン。それに気付かずミヤビはルンルンで部屋から出ていった。



「合点承知之助!」



 ミヤビが座っていた場所に座るキン。足を組み、京と視線を合わせる。視線を感じた京はキンを鼻で笑った。




「んだよ。オッサン。あの手の女の扱い上手いな」



「伊達に長い間出来る女騎士を演じていないぞ。イメージを崩さず、相手を手のひらで転がすのはモテる人間の初歩的なテクニックだろ」



 先程の京のように鼻で笑うキン。その後、ミヤビが残していった紙を手に取り黙読する。数秒後、簡単に流し読みすると、キンは視線を京に向けた。




「さ、とりあえずこの話を進めよう。えっと、とりあえず名前と年齢を」



 お前も茶番に付き合うのかよと内心つぶやきながら京はゆっくりと口を開いた。



界外(かいげ)(きょう)。29歳」



 京の言葉にキンは大きなため息をついた。




「そうじゃなくて。こっちの世界でのエトセトラだよ」


「えー……。名前はキョウ。年齢は……29でいいか?」




 京の質問を無視して、キンは手鏡をどこからかとりだし、京に渡した。自分の顔を鏡で見る京。




「どう見ても29じゃないだろ。22か3くらいじゃないか」



「んなのわざわざサバ読んで生きるのめんどくせぇよ。別にいいだろ実年齢で」



「おい、実年齢45のサバ読んで30のキン様がここにいるんだぞ」




 京から鏡を奪い取り、投げ捨てるキン。再度紙に目を向け、数秒後には京に視線を戻す。



「とりあえず次だ。えっと……。趣味と好きな食べ物?だって」



 キンの質問に数秒沈黙する京。その後ゆっくりと口を開いた。



「趣味はプラモとゲーム。まぁ、あとはネット小説読んだりアニメを観たりとかも好き。好きな食べ物は……ってこの情報いるか?」



 京の言葉にキンもゆっくりと頷いた。



「正直要らないと思う。でも、ここに質問の答えを書く所があるんだよな」



 ミヤビが残した紙を京に見せるキン。そこには京に対する質問がびっしり書かれてあった。そして、その横には答えを記入する空欄も備えてあった。



「……」



 沈黙で全てを語る京。そしてミヤビがなぜあのような行動をとったのかも悟った。それが分かればやることは一つ。



「ミヤビ!」



 京が部屋の外にいるであろうミヤビに聞こえるように叫ぶ。どんな事が起こったか露知らずミヤビはルンルンで扉を開けた。



「はーい! キョウお姉様!」



 まるで帰宅した主人を迎え入れる新妻のような態度をとるミヤビ。しかし、その後の京の痛いほどの冷たい視線により、ミヤビは蛇に睨まれた蛙のように固まった。



「これはどういう事だ」



 先程のQ&Aが書かれた紙をミヤビに突き出す京。ミヤビはゆっくりと後ずさりしながら視線を逸らした。



「あはは。ほら、せっかくなので、キョウお姉様の事を色々な人に知ってもらおうかなって……」



「でも、ここにあるバストサイズや性癖は必要無いよな?」



 京が紙の下の方にある質問を指さす。そこにはスリーサイズとフェチ、好きなプレイが質問内容にあった。




「いやー。そのー……」



「お前が知りたかっただけだろ?だいたい、おかしいなと思ったんだよ。いきなりインタビュー風な茶番が始まるなんて。いつから用意していた」




 徐々に切れ味が増す京の言葉と視線。ミヤビは全力で逃げたかったが、京の視線とキンがドアの前に立っている事により逃げる事が出来なかった。



「お姉様が気絶している間に……えへへ」



 最終的には笑って誤魔化すことにしたミヤビ。しかし、その選択は、京が剣を抜く事により一番やってはいけないことだと判断した。




「名前」



「はい?」




 京が再度冷たい視線でミヤビを見る。剣先をミヤビの鼻に向けた。



「名前だ!それと年齢、趣味、乳の大きさ、全部吐け」



 これでイーブンだと付け足し、剣先の角度をずらしながら威嚇する京。京の気迫に負け、ミヤビは震えながらゆっくりと口を開いた。



「な、名前はミヤビ……。歳は17。趣味は上位騎士のお姉様鑑賞。バストサイズは……Dです」



 ミヤビの言葉を聞くと、京はゆっくりと剣を鞘にしまった。そして、そのままミヤビの横を通り過ぎた。



「これに懲りたらこんな小賢しい手段を選ぶなよ」



 そう呟くと京はキンの方へ向かって歩いた。これが京なりの優しさだと気付いたミヤビは先程の震えは遠くへ置き去ったかのように立ち上がり、両手を広げた。



「はぁん! キョウお姉様! 好き! 本当はCカップです!」



 京に向かって助走をつけ飛びつくミヤビ。察した京は振り向きミヤビの場所を確認すると、すっと左に2歩歩いた。それにより、ミヤビは顔面から盛大に転倒した。



「要らん見栄を張るな!」



 それだけ叫ぶと京はキンと共にドアを開け、どこかにでかけてしまった。



 待てよ。オレって何気にコイツにかなりのセクハラしたんじゃね?



 京の1人反省会は誰にも届かなかった。

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