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拷問場の気高き乙女 ブラックジョーク短編

作者: お嬢様帝国

「くまさん可愛いなのー。ふふ」


純白の天蓋付きベッドに座る処理場様は熊さんのぬいぐるみを撫でながらあどけない声で仰いましたわ。


「熊さんのぬいぐるみ可愛いらしいですわね」


同じく夢の世界へ誘われそうな純白の中のベッドに座る私はそうお伝えしました。


「い、言うまでもないなの」


「それにしても可愛いらしいお嬢様が住んでいそうなお部屋ですわね」


広々としたお部屋の中には動物達のぬいぐるみが沢山飾られていますわ。また、家具はピンク色の物ばかりですわ。


「そ、それも当然なの。その……でも少し嬉しいなの」


「あら、良かったですわ。あと、今思い出したのですが、ご用件は何ですの?」


そう、私は処理場様に用があると伝えられ処理場様が住むお屋敷に足を運んだのですわ。ご用件が気になりますの。


「えっと……、実は、私小説を書いていたなの」


そんな趣味がありましたのね。処理場様はお慕いする男性の事をお話しする乙女の様に赤面していますわ。キュートアグレッションを感じてしまいますこと。


「その小説を支配者に読み聞かせたいなの。こ、これが要件なの。じゃあ……、今から読み聞かせていいなの?」


「よろしくてよ」


「よ、良かったなの」


白衣のポケットから取り出したノートには沢山の妄想かわ詰まっているのかしら。

そんな事を思っていると処理場様はノートをぱらぱらとめくり小説が書かれているページを見つけた様子ですわ。


「えっと……、読んで行くなの。これはとある男子校生の日常物語なの。『俺の名前は小早川拓人。生まれは千葉県で、東京都足立区にある高校に通う16歳だ』」


どこかで聞き覚えが……。まさか……!


「それ作者の事ではないの!作者の個人情報を漏らしたらまずいですわ!!」


「『今日も自室でラノベの事を考えていると自宅に山口組の幹部が来た』」


「既に住所特定されているんですの!?というか何故山口組!?」


「『起因は過去にSNSで山口組本部の前でメントスコーラをやるなどと書き込んだ事である』」


「何をなさっているの!?」


「う、五月蝿いなの……!!黙って欲しいなの……!!」


高圧的でご機嫌斜めな独裁者の様な雰囲気ですわね……。


「貴女の小説に突っ込み所が多いから仕方なく口を挟んでしまいましたのよ……」


「……そうかなの。わ、私はやはり才能が無いなの?」


……どんよりとした表情ですわね。まずいですわ。気分を損ねてしまった様ですわね……。おだてるべきですわね。


「そんな事ありませんわ。個人情報を漏洩するという発想は独創的で良かったですわ。

あと、直ぐに才能が無いと判断なさるのは早計ですわ」


無理に褒めると処理場様はホットココアでも飲んだ後の様な安心の笑顔を見せて下さりました。私も一息つきましたわ。


「あ、安堵なの……。じゃあもう一作読み聞かせていいなの?」


……!身震いを隠しましたわ……。まだありますのね。出来れば聞きたくありませんが、処理場様のご機嫌の為にも、


「是非お聞かせ下さい」


「やったなの!その……、今度は童話なの。『むかしむかしある所に腕が8本生えたお爺さんが居ました』」


「この時点で異常ですわ!!」


「お爺さんは強風オナニーをしていると、」


「異常性癖ですの!?」


「怒り狂いながら包丁を振り回す幼女と遭遇しました」


「どの様なシチュエーションですの!?」


「だ、黙れなの……!!」


「ひっ……」


包丁を振り回す幼女もこんなお顔なのかもしれませんわね……。酷くお怒りの様でした。


「そんなに私の小説に文句があるなの!?」


「そ、そんな事ありませんわ!あまりの素晴らしさに感想が迸ってしまいましたのよ!」


「ほ、本当なの……!?」


処理場様のお目目にはキラキラとした光沢が出来ていますわね……。気分の動きが激しいんですのね。


「ええ。本当ですわ」


「やったなの!」


シャンデリアの如く輝く処理場様の瞳を見るとこのお方に優しくしてあげたくなりますわね……。そうだ、


「私と共に創作をしないかしら?私なりの創作メソッドを伝授致しますわよ」


「同意なの!支配者と創作するなの!」


新しい玩具を見つけた幼女の様でした。


「では素晴らしい作品にしましょうね」


「当然なの!!」





終わり

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