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インサニティ  作者: 鳴海 慶
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波紋

最初に姫歌さんに会ったのは 鳴瀬より先に家に帰った時、家で彼女に出迎えられた時だった



一目みて僕は、息を呑んだ。彼女が瞬きをして、踵を返して部屋の奥へ歩いて行くまで、瞬きすらできずに固まった。


そのくらい、生きて動いてるのが嘘みたいに、姫歌さんは……美人、だった。怖いくらいの、美少女。


「あ、……えと、お邪魔、してます」


「……。」


返事は無い。僕に興味が無さそうに伏せられた目つきは長い睫で視線がわかりづらくて、余計に人形じみてる。


……ホテルで見た時と、髪の色が違う。今の彼女は鳴瀬とおなじ、真っ黒なロングヘアだ。いや、雰囲気も、あの時の弱り切った姿と違って真っ直ぐにのびた背筋からすらりと手足がレースのワンピースをひらめかせて、綺麗だからか、まるで別人みたいに感じる。すごい……なんていうか、触れがたいオーラみたいなのが、部屋中の雰囲気を支配してるみたいだ。



「……君は何も知らないでしょう」



ふと


響くみたいな高い声がして、姫歌さんが少しこっちを見た


「……っ!」



耳元で、……話されたかと思った。


僕はまだ玄関先から動けない。



「ぇ、…え?」



首を動かした拍子に姫歌さんの髪が揺れ、横に流れて首筋が見える



細く白い首筋には、同じく真っ白な 包帯が巻かれていた。



「その傷」



「…ぁ、はい?」


「それ、……人魚を<やく>かもしれない」



姫歌さんは僕の手首を指さして、一つ溜息を吐くと僕の横を通り過ぎて外へ出て行ってしまった。


何だったんだろう……なんて、姫歌さんの衝撃に気をとられて僕は、言われたことはその時は忘れていた。













それからしばらくして、僕は鳴瀬に殺されかけた。



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