ミノタウロス
「グォォォォォォ！」
雄叫びをあげながら俺たちの目の前に怪物が現れた
「こんなやつがいるとはな……皆！あいつはミノタウロス、討伐難易度Sランクに指定されるほどの怪物だ、今のお前らには倒せない、一旦引くぞ！」
「嫌ですアルバートさん！俺たちはここまで来たんだ最後までやりせてください！」
「星光の言う通りだぜ、どうなるかやってみないと分かんないだろ」
星光と智也がそう言う、その言葉に反応してから他の生徒たちも
「そうだ、やろう！」
「ここまで来たんだもんね」
「きっと勝てるよ！」
と言っている、
「分かった、ただし俺が撤退と言ったら直ぐに避難するからな！」
「ありがとうございます！よしみんないくぞ！」
「「「おぉ！」」」
そして俺たちは隊列を組みミノタウロスへと挑んでいく、
「行くぞ智也！」
「いいぜ足引っ張んなよ！」
智也と星光が先行してミノタウロスに近づいていく
「光よ！我に魔を打ち砕く力を与えよ！《光剣》」
星光が唱えた瞬間彼の持つ剣が光に包まれ巨大な光の剣へと変化していく
「炎よ！俺に燃え盛る炎の拳を与えよ！《炎拳》」
智也も魔法を発動させた、自分の拳に炎を纏わせている
「「くらえー！」」
2人の攻撃がミノタウロスに命中した、さらに追い討ちをかけるように後衛部隊が魔法を発動させる
「《火球》」
「風よ！全てを切り裂く刃となれ！《風刃》」
「雷よ！全てを貫く矢となれ！《雷矢》」
そして魔法が一斉にミノタウロスへ向かって行った、全て命中する、皆これでやったと思ったがミノタウロスには傷一つ付いてなかった
ミノタウロスは自分の持つ剣を俺らに向かって振るう
「聖なる力よ悪しきものを通さぬ壁となれ《絶対防御》」
クラスメイトの1人佐々木智香が魔法を唱えた、そして俺らの前に光の壁が現れミノタウロスの攻撃を弾く、今使ったのは《絶対防御》と言ってどんな攻撃も一撃防ぐと言う魔法だ、魔力消費量が半端なく一回使うのが限界だがどんな攻撃も防ぐのは強いと思う
「ありがとう！佐々木さん、それじゃあ行くぞ！」
再び星光と智也はミノタウロスへ向かおうとした、しかしアルバートさんはそれを止める
「バカかお前ら！今ので分かっただろ、今のお前らではあいつに攻撃を与えられない、ここは一体撤退するんだ！」
「嫌だね！俺らは勇者だ、撤退するわけにはいかない！」
「いや待て智也、アルバートさんの言ってる事は正しいと思う」
「何だよお前まで怖気付いたのか、俺1人でも行ってやるよ！」
そして智也は1人でミノタウロスへと挑んで行った、他のみんなはさっきの攻撃が効かなかったので倒せないと感じたのだろう、誰も智也についてこうとしなかった
「くそ！俺は智也をサポートする！お前らは下がってろ」
「俺も行きます、アルバートさん、智也を放っておけません！」
「みんなもそうだよな？」
「そうだそうだ！」
「智也君も仲間だしね！」
「よし、智也を救おう！」
皆智也が1人で挑んでいく姿を見て自分たちも何かしたいと思っているようだった
「嫌ダメだ！俺1人で行く」
「どうしてですか？確かに攻撃は効かないかもだけど障壁を張ったり魔法を使って足止めしたりできる事はたくさんあります！」
「……分かった、ただし無茶はするな、俺が隙を作るからその隙に逃げる、お前らは魔法でミノタウロスに反撃の隙を与えないようにしててくれ」
「分かりました」
「それじゃあお前ら、全力で行くぞ！」
「「「はい！」」」
そして俺たちは智也のサポートに向かった、とは言え無事で帰る事は困難だろう、俺も少しは手を貸した方が良いかな
「智也！」
「皆！それにアルバートさんも、どうしてここに？」
「お前が1人で突っ走るからサポートに来てやったんだよ」
「いらねぇよそんなの！俺1人で十分だ！」
「お前！そんなにボロボロなのによく言えるな」
「うるせぇ！これは仕方ないだろ！」
「とにかく俺がとっておきの一撃をあいつに放つ、それで隙が出来るはずだからその隙に逃げるぞ！」
「だから俺は逃げないって言ってんだろ！」
「よく聞け智也！今のお前らじゃあいつには勝てない、無駄死にするだけだ、だが訓練をして魔物を倒しレベルを上げればきっと勝てる！俺はお前らをこんなところで失うわけにはいかないんだよ！」
「アルバートさん……」
「そうだぞ智也、今は無理でもいつか倒せる、そのためにこれから頑張ればいいんだ」
「星光……」
「分かりました……従います」
「よし、それじゃあ始めるぞ」
「俺もやります！」
「他の者は魔法の準備をしろ、俺らが魔法を放ったら直ぐに追い討ちをかけるんだ、相手に反撃の隙を与えるなよ！」
「「「はい！」」」
そして皆詠唱を開始した
「大いなる炎よ我に全てを焼き尽くす力を与えよ！大いなる風よ我に全てを吹き飛ばす力を与えよ！今二つの力合わさり強力な一撃となる！《炎風竜巻波》」
唱えた途端アルバートさんの周りに炎の竜巻が現れ凄い勢いでミノタウロスへ向かっていく
「聖なる光よ！我に悪しきものを打ち倒す正義の剣を与えよ！全てを救う希望の光を与えよ！《聖光剣》」
途端星光の持つ剣が眩い光を放ちそれらが全てミノタウロスへと向かって行った
そして2人の攻撃が命中し
「グギャァァァァア」
ミノタウロスの体制が崩れ隙ができた
「今だ！魔法を放ちながら撤退するぞ！相手に隙を与えるな、障壁を張れる者は相手がもしも攻撃してきたらに備え準備しておけ！」
そして皆上の階層へ続く階段に向かいながら魔法を放った、移動しながらなので当てにくいがそれでも打ち続けた
しかしミノタウロスは思い切りジャンプし魔法が当たらない位置へ移動した、そのまま口に魔力を集めている、そしてかなりの大きさになった時俺らに向けて発射された
「っ、障壁を張れ！」
「光よ我らを守る壁となれ！《光壁》」
「土よ我らの壁となれ！《土砂壁》」
そして障壁を張るもミノタウロスの放った魔力砲は物凄い威力で壁が押されている
「手を貸してやるか……」
そう言って俺は誰にもバレないようこっそり魔法を使った
「《空間転送》」
唱えた途端魔力砲が消えた、皆呆気にとられていたがチャンスだと思い一斉に階段へ駆け込む、そして無事上の階層に辿り着くことができ一斉に崩れ落ちた
「よっしゃーー！」
「生きてる、生きてるんだよ、私たち」
「もう懲り懲りだぜ」
などと言っており皆疲れたようだった
「よくやったお前ら、生きて帰ってこられただけでも凄いことだ！さて、あとは帰るだけだぞ、最後まで気を抜くな！」
そして俺たちは地上へと戻って行った、途中魔物にも襲われたりしたが騎士団やまだ動ける者達で対処した、しばらくすると俺たちは地上に出ることができた
