訓練
次の日俺たちは全員朝から広場のような場所に集められた、
「よし、集まったな」
「ちっ朝からなんなんだよ〜アルバートさん」
智也がだるそうに言う
「あぁ実は昨日王から命令があった、1ヶ月後近くのダンジョンへ行ってもらうことになった。その為に今日から訓練を開始する!」
ざわりと空気が揺れた、皆の顔には恐怖が歪んでいる
世界を救う選択肢を取ったのにそんなんでいいのか?
「まぁ安心しろ、ダンジョンに行く時は俺やこいつ、騎士団が数名付き添ってくれる、何かあれば助けるから」
そう言ってアルバートさんは隣にいた人物を指さした
「1ヶ月で俺たちは強くなれるのですか?」
「俺達が訓練してやるんだ、それで強くなれなければお前らに原因があると言えるぞ」
そういうアルバートさんに対して星光は顔を顰めた、バカにされたように感じたのだろう
「アルバートさん、時間が惜しい早く始めましょう」
アルバートさんがさっき指さした人物がそう言う、騎士団長に意見できるという事はそれだけの立場なのだろうか?
「分かった、この話はここで終わりだ、早速訓練を始めるぞ!」
「レオン、お前にも手伝ってもらうぞ」
「分かりました!」
「ちなみにこいつはレオン、王国騎士団副団長だ!」
「初めまして、レオンと申します今日から貴方達を訓練することになったのでよろしく」
あの人はレオンという名前らしい、冷静そうな人物だ
「それじゃあ今日は体術、魔術の訓練を一通り行う!」
「「「はい!」」」
「いい返事だ、それじゃあまずは体術から行う!」
「「「はい!」」」
そして体術の訓練が始まる、それぞれが扱いやすい装備を選びその装備の使い方を教わった、ちなみに俺は剣を選択した、何となく選んだけどこれが一番いい
そして訓練を開始して大体2時間くらい経ったとき
「よし、とりあえず武器は使えるようになったな、それじゃあこれから俺に向かって思い切り攻撃してこい!お前らの実力を測ってやる」
「アルバートさんにですか?」
「そうだ遠慮するな、お前らの攻撃ごときじゃ俺にはかすり傷すら与えられないだろうからな」
笑いながらアルバートさんはそう言う、その言葉に星光が反応した、
「分かりました、俺から行きます!」
「さぁ、来い!」
そして星光は剣をかまえアルバートさんに向かって行った、しかしアルバートさんは星光の攻撃を全て受け流している、やはり経験の差が違いすぎるのだ
勝負は星光の体力切れでアルバートさんの勝ちになった
「よし、星光の実力はだいたい分かった、次どんどん来い!」
その後他の生徒達もアルバートさんに向かっていったが皆んなアルバートさんに攻撃を当てることができなかった、皆喧嘩慣れしている智也に期待していたが、やはり無理だった、しかもその勝負拳で戦う智也に合わせてアルバートさんも剣を使わなかった、それでも勝てなかったのだアルバートさんの強さがわかる、そしてついに俺の番が来た
「次は……明彦か、来い!」
そして俺は剣を構えアルバートさんに攻撃した、しかし攻撃を受け流されてしまう、勿論わざとだがこれでいい、目立ちたくないからな
「よし、今日はここまでだ魔術の訓練もあるからな続きはまた明日、これから魔術の訓練を始める」
魔術と聞いて皆やる気になった、それだけ楽しみにしていたのだろう
そして何処かから声が聞こえた
「アルバート、魔術の訓練は私がやります」
そう言って出てきたのはカミラだった
「皆さんお久しぶりです!」
カミラを見た途端智也が向かっていった、そしてカミラの胸ぐらを掴む
「おい、お前のせいで俺らはこんな目にあってるんだ、責任取ってもらうぞ」
しかしカミラは怯まない、むしろ笑っている
「うるさい人はお仕置きですよ」
と言った途端智也の体が吹き飛ばされた、皆何が起きたのか分からないようだった
「今のは風魔法《風波》です、基本的な魔法の一つですね」
飛ばされた智也は特に怪我はないものの初めての魔法に戸惑っていた、皆智也に駆け寄り心配している
「カミラさん!すみません俺のクラスメイトが迷惑をかけてしまって」
星光がカミラに謝る
「いえいえ、大丈夫ですよ、これから気をつけてくださいね」
「おいお前ら、何とも思わないのかよ、こんな世界に連れてこられたのはこいつのせいなんだぞ!」
智也はまだそんなことを言っている
「黙ってろ!智也!」
星光が智也に言う、かなりの迫力があり流石の智也でも怯んでしまう
「ちっ、分かったよ……」
「ありがとう智也」
「そして、カミらさんに謝れ!」
「すみませんでした……カミラさん」
「いえ、もう大丈夫ですよ」
智也が謝ったのが珍しいのか、他のクラスメイトが驚いている、そして智也を見直した様だった、だがみんな気付いていない、智也の目がまだ諦めてないことを……
「さて、それじゃあ魔術訓練を始めますよ〜」
そして俺たちは魔術の説明を受けた、皆興味津々で聞いている、智也も凄い集中して聞いている、
要約するとこうだ
まずこの世界には、炎、水、風、土、雷、光、闇の七つの属性があり人によって適性が違うらしい、適性がないとその属性の魔法は使えないみたいだ、そして発動には詠唱が必要になる、詠唱せずに発動することも出来るそうだが強力な魔法になると詠唱しないといけないみたいだ
「私には水、風、光の適性があります、先程智也さんに使ったのは《風波》と言って風を発生させて相手を飛ばすと言う魔法です」
「さて、皆さんの適性はカードに記されていると思いますので確認してください」
そしてみんなカードを確認する、俺も確認するが適正は書いてなかった
「それじゃあ皆さんに各属性の基本魔法と詠唱を教えますね」
魔法は詠唱が必要になる、その詠唱を他人に教えることでその人に適性があり魔力が足りれば魔法を使える様になるそうだ
「あれ?明彦さん何も適性ないんですか?この時間一人だけ何もしないって訳にもいかないのでとりあえず炎属性の魔法教えときますね、練習してるフリとかしてください」
そうカミラが言う、小声なのでみんなには聞こえていない
「適性は鍛えれば身につけることができます、かなり大変ですが頑張ってください!」
「分かりました」
そしてカミラは微笑みながら他の人のもとに向かった
「さて、それでは皆さん詠唱をしてみてください」
カミラがそう言うと皆詠唱を開始した、そして次々と魔法を発動させていく
俺も詠唱をして発動しようとしたが、発動できなかったやはり適正がないのだろう
「星光!お前凄いな!」
清水翔太がそう言う、クラスのムードメイカー的存在だ、星光の方を見るとどうやらいろんな属性の魔法を使っている様だった、やはりスキル全属性適正があるおかげだろう
「皆さん中々良いですね……それじゃあもう少しレベルの高い魔法も教えときますね」
その後皆色んな魔法を教わってはとにかく試した、
そして気づくと日が落ちかけていた
「さて、今日はこのくらいにしましょう、それでは解散です!」
「「「はい!」」」
そして部屋に戻ろうとした時前からカミラが歩いてきた、そして俺とすれ違った時こう言い残した
「あの人はまた私に何かしてくるはずです、その時は……頼みましたよ」
俺はカミラの方を向き何故俺にいうのかを聞こうとした、だがそこにもうカミラの姿は無かった
「……考えとくよ……」
俺はそう言い部屋へと戻った