敵の住処
ここから上田香奈美が捕われている場所までは歩いて大体1時間程、街の外れにいるらしい
俺たちはその場所に向かっている
「あの、助けは呼ばないのですか?」
恵子はそう聞いてくる
「特に必要ないだろう、それに助けを求める時間が勿体ない」
「分かりました」
「そうだ、ちょっとステータスを見せてくれ」
「あっ、はい」
恵子は俺にステータスを見せる
イチハラケイコ
レベル:22
攻撃力:2467
防御力2184
魔力量:1925
スキル:言語理解、念話、身体能力強化、思考加速
気配察知、体力増加、脚力増加
エクストラスキル:短剣の才
こんな感じだった
「これなら平気かな……」
「何がです?」
「これから俺たちが向かう所はどんな危険が待っているか分からない、俺が守れれば良いがもしかしたら戦ってもらうことになるかも知れないんだ」
「そうなんですか……」
凄く不安そうだ、無理もないけど
「まぁ、出来る限り守るから恵子は彼女を救出したらすぐ逃げてね」
「はい、頑張ります」
そして目的の場所へ着いた
「恵子、最終確認だ。戦闘は基本俺がする、お前は彼女を救出したらすぐに逃げてくれ」
「でも、どうやって逃げるのですか?簡単に逃げ切れるとは思いません」
「これを使え」
俺は鍵の形をしたアイテムを渡す
「これは?」
「それは魔法具だ、その鍵を持ちながら適当な扉を開けてくれ、そうすれば安全な場所に行ける」
「分かりました!」
そう言って恵子は魔法具を首にかけた
「それじゃあ、行くぞ!」
「はい!」
ーーーーーーーーーーーー
敵のいる所は少しボロ目の小屋だった、俺は正面にある扉を思い切り蹴って開ける
「誰だ!」
中にはいかつい見た目の人が三人いた
「あ、あの香奈美を返してください!」
恵子がそう叫ぶ
「は?何のことだ」
「あいつのことじゃねぇの、兄貴がさっき連れてきた可愛い女」
「あぁ、あいつか。残念だが何処にいるかは言えねぇな」
「そんな……」
恵子は悲しそうな表情を浮かべる
「なら、力尽くで教えてもらうぞ」
俺はそう言う
「やってみろよ」
そして椅子に座っていた相手は立ち上がり武器を構えた
「恵子、下がってろ」
「わかりました……」
そう言って恵子は少し後ろに下がった
「おいおい、一人で平気なのか?」
「あぁ、余裕だ」
「そうかよ!」
剣を構え一斉に襲いかかって来た
「無駄だ」
俺は《時間束縛》で相手の動きを止める、しかしいつの間にか一人いなくなっていた
「死ね」
いつの間にか俺の背後にいた敵が俺を剣で刺そうとした、俺は腰につけていた剣を抜き相手の攻撃を受け止める、恵子に短剣を渡す時ついでに俺の武器も出しておいたのだ
「やるじゃねぇか兄ちゃん」
「そりゃどうも」
敵は俺から距離を取る、そして再び襲ってきた。おれはその攻撃を全て避ける
「くそ、当たらねぇ」
「今度はこっちの番だ」
俺は剣で斬りかかるフリをして魔法を使った
「《催眠》」
使った瞬間敵は倒れた、眠ってるだけなんだけどね
力尽くで教えてもらうと言ったが、恵子がいる前で出来る限り人は殺したくない
「さて、あとはお前らだけだ」
俺は《時間束縛》を解く、時間に限りがあるからこんなところで無駄遣いしたくない
「《催眠》」
「急に……眠気、が」
情報を聞ければ良かったけどこいつら吐く気なさそうだから諦めるか
「もう平気だぞ、恵子」
「はい、敵は眠ってるのですか?」
「あぁ、こいつらからは何も聞けなそうだからな」
「それじゃあ、香奈美は……」
「ちゃんと方法はあるよ」
「《探索球》」
俺は魔法を発動させる、すると小さな赤い光の球が現れた
「これに着いていけば目的地に辿り着ける」
「最初から使いなさいよ!」
恵子がそうツッコミをしてくる
「確かに、最初から使っとけばよかったな」
赤い球は部屋の中をぐるぐる回り、そして床の中に消えていった
「ここ何ですか?」
「多分……」
俺は探査球が消えた場所をよく調べる
「成る程ね」
しばらくして俺は何故探査球が床の中に消えたのか理由が分かった
「何か分かったのですか?」
「あぁ、この床から魔力を感じる」
俺は床に対して《時間逆行》を使う
「うっ!」
頭に痛みが走った、俺は床に手をつく。《時間逆行》は今の俺にはやっぱりキツかったか
「大丈夫ですか?」
恵子が心配そうに聞いてくる
「あぁ俺は平気だ、それより見てみろ」
俺は《時間逆行》を使った場所を指差す、そこにはさっきまで無かった地下へと続く階段があった
「魔法で隠していたんだろう、まぁ俺には効かないけど」
「そうだったんですね、下に行くのですか?」
「もちろん、そこが目的地だからね。嫌ならついて来なくてもいい、多分この下は、ヤバイ」
「付いてきます!香奈美を救う為に」
「そうか、なら俺が全力で守ってやるよ」
「よろしくお願いします!」
そして俺たちは二人で下へ続く階段を一段一段下っていく
しばらく進み下の階層にたどり着いた、その瞬間
「きゃぁぁぁぁぁ!」
恵子が突然悲鳴をあげる、それもそのはずだ。だって俺たちが見たものは………
大量の死体だったのだから。