ゲロ
イカ臭い悪臭がするトイレに移動した。
「くさい!!」静は鼻をつまみながら叫んだ。
セロは警察官の服装を脱ぎ、水道水で体に付着した返り血を洗い流した。
「親のベッドと同じ匂いがする・・・」星羅は呟きながら黒い本を開いた。
「そ、そうなんだ・・・」鈴鹿は引き気味に言った。
「・・・この本元々半分しか無かったような気が・・・」
「え?そうなの?」
「・・・」(そういえば、私が倒れた直後に反応した・・・)星羅はその場面を振り返った。
「まさか・・・誰か切れるもの持っている人いない?もしくは怪我している人いない?」星羅は鈴鹿と静かに聞いた。
「?持ってないよ。」と鈴鹿。
「ふぁ~眠い!」と静。
「セロさん、何か切れるもの持っていないですか?」
セロはトイレの水道水で嗽をしながら首を横に振った。
(うわ!汚!)鈴鹿はセロがトイレの水道水でうがいしているのを見て少し引いた。
「何をする気なの?」静は聞いた。
「血を本に付けてみようと思ってね。」
「だったら、歯で指を切ったら?」と鈴鹿。
「私それ出来ないから手本見せてよ。」星羅は歯で指を切れない事を知っていた。
鈴鹿は指を口の中に入れた。
「・・・」口の中をもごもごさせた後、突然体がぴくっとなった。
「ヴッ!!?」鈴鹿は口を押えながら便所に向かって吐いた。
「汚いマーライオンだね。」と星羅。
「どうしたの!?大丈夫!?」静は駆け寄った。
「静ちゃん、もんじゃ焼き出来たよ!」星羅は笑顔で言った。
「え?」
「だ、大丈夫・・・ちょっとね。」鈴鹿は嘔吐物が付いた顔で静の方を向いた。
「汚い!ちゃんと手と顔を洗ってよね!」静は体を引いた。
「うう・・・酷い・・・」鈴鹿は涙目で蛇口で顔を洗い始めた。
「目の前で警察官が撃ち殺されても動じなかったくせに、ここで吐く?」星羅は首を傾げた。
「それはユーチューブで見慣れているけど・・・いや、さっきこのトイレの蛇口を触った手を口の中に手を入れてしまったから・・・それを思い出したら急に吐き気が・・・」
「・・・」星羅達は無言だった。
「・・・」鈴鹿も無言だった。
「死ね。」星羅は笑顔で言った。
「鈴鹿ちゃんなんか、トイレに流されて下水処理場でうんこと一緒に分解されてしまえー!」静は叫んだ。
「おお、言うね。」と星羅。
「お、お騒がせしてすいませんでした!」鈴鹿は謝罪した。
「・・・ハア~」(これから先こいつらと一緒にいるのか?)セロは深いため息を付いた。




