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プロローグ
はじまりはじまり
雪が降る、大晦日の夜のこと。
ある少女が道を歩いていた。その少女の容姿は綺麗というのには程遠い、みすぼらしい恰好だった。鮮やかなカールがかった金色の髪は雪に覆われてしまっていて、身に着けている服も所々黒く汚れていた。足には靴が見当たらない。
こんな寒空の中、少女はどこへ行くのか分からない足取りで、とぼとぼと街を歩いていた。
ふと、少女は民家のガラスに映った自分の姿を確認する。
少女はガラス越しのガラスを見つめ、自分の頬を引っ張ったり色々と奇怪な行動をしていた。道を通る他の人々は少女の様子に気にする素振りを見せない。
そして、ある程度自分を見つめ続けた少女は、おもむろに身に着けているエプロンのポケットに手を入れると、中からは数本のマッチを取り出したのだ。
少女はため息をつく。
「やっぱりそうだ……」
少女は誰にも聞こえない小さな声でそう言った。