プロローグ
初投稿になります。
短いです
拙い文章ですが皆様が楽しめるように頑張ります。
プロローグ
淀んだ空。
静寂が支配する街。
いつもは賑やかな市場も今日に限っては人っ子一人、否、ネズミ一匹居はしない。
街を守る為の門はいかなる者も通すまいと固く閉ざされている。
そして門の外には鎧を纏い、各々の武器を持つ冒険者、領主から信頼と期待の証として贈られた装備を纏う兵士両方を合わせても1000人に届くかどうか。そんな彼らの目には深い恐怖と絶望が映っている。
僕がそんな彼らに言葉をかけなければいけない。
「みんな……怖いか?恐ろしいか?……そうだろうな、僕も怖い、出来ることなら今すぐにでも逃げ出したい。夢であるなら早く目覚めてほしい。でも、夢じゃない。逃げられない。見えてるだけで敵の数は1万を超えるだろう。戦っている間にも敵はどんどん増えていくだろう。でも、逃げられない。逃げちゃいけない。何故だ?どうしてだ?そんなの決まってるよな。明日の為だ!昨日と同じ今日、今日と同じ明日、それを守るために僕達はここにいる!勝てないと思うか?こんな戦い屁でもない!この中で1番レベルの低い僕が約束しよう!神に嫌われ、拒絶され続けた僕が約束しよう!」
僕は遥か後ろから駆けてくる敵に向かって魔法を一つ
「『読み飽きた』」
まるで本を閉じるかのように大地がめくれ上がり、敵の先陣を走っていた300程が巻き込まれた。
一拍置いて周りを見渡し、悪役のような笑顔を作って言い放とう。
「最弱の僕が勝てると思った戦で君たちが死ぬ事なんかあるはずがないだろ?」
戦いの火蓋は切って落とされた
ピピッピピッピピッ
目覚まし時計の無機質な電子音が部屋に鳴り響き、夢の世界から現実に引きずり戻される。
チュンチュン、チュンチュン
陽気な鳥達の鳴き声が朝の時を知らせる。
ワンワン!ワンワンワン!
目覚まし時計の音を嫌うペットが早く起きて止めろと鳴き叫ぶ。
いつもの朝。
まだ寝たいと文句を言ってくる身体を起こすために借りている部屋の風呂場に向かいシャワーを浴びる。その後は朝食を作り、犬のポン太に餌をやりご飯を一緒に食べる。
いつもと同じ光景。
いつも通り高校の制服に着替え真っ赤なダボダボのロングコートを着る。このコート、ネット通販で買ったのだがサイズを間違って買ってしまい手が袖から見えないくらいに大きいのだが防寒性が高くあったかいので返品せずにそのまま使っているコートなのである。
「さて、学校行きますかぁあああ!?!?」
スズン!!!
地震。
日本にいれば誰もが経験したことのあるあの地震だ。ただ、サイズが今までの比じゃない。後に大震災として歴史に刻まれるようなそんな大地震。そんな大地震で家の中が無事なわけがなく……
そこから先はまるで時間が止まっているかのようにゆっくり世界が動いていた。
倒れてくる本棚、飛び散る本、机の下で吠え続けるポン太、僕は本棚に押しつぶされる、駆け寄ってくるポン太、崩れ落ちてくる天井、顔を背けた先にあるラノベ、その一節。
そして僕の一生は終わった。ラノベの一節と共に
『異世界へようこそ、私達は君を歓迎しない。
新しい人生に苦難と絶望を与え続けよう』