魔王さまのご指導
なぜかな、魔王さまより、メグムちゃんの方が書きやすい……
目の前の長剣を見つめ、少女は意を決したかのように、軽く息を吐く。
そして、その長剣を抜き、軽く振ってから、自分のワンピースのスカート部分を切り裂いた。
何のつもりかと少々驚いたが、彼女はそのまま、そのワンピースから取った布切れで、自分の長髪をまとめ上げた。
「お待たせ。」
ロングからポニーテールになった彼女を見て、得心がいった
恐らく、彼女はそれと言って武術の手ほどきをうけたわけではない。完全な自己流だ。
そんな彼女も、いつもなら髪を下ろしたままで戦っただろうが、如何せん、長いだけの髪は邪魔だ。
つまり、髪が邪魔にならんように、彼女なりの本気のサインと考えていいだろう
邪魔なら切っとけよと思わなくはないが、女子にはこだわりというか、その辺に妙な何かがあるかもしれん。
「先手を譲ってやろう。どこからでもかかって来るがいい。」
「そうさせてもらうよ、ふっ!」
彼女、メグムといったか、まだしも全身にオーラを纏い、地面を蹴った
そのオーラ、ベラの時も見たが、身体強化の術を掛けられたやつが持つそれだ。
元も、ベラが使ったのは魔法だが、彼女のその術はもっと自然であり、まるで身につけた技のように美しい気の流れがある
だからこそ、メグムと言う名のその少女は面白い。
彼女を一目で見た瞬間、サリアと違う意味で気に入った。
サリアは正直のこと、無論それ以外もかなり役に立ってくれているが、情欲の対象として気に入っているのが大半であり
メグムからは、それ以前に、輝かしい才能が溢れてきているから興味を持った
オレは直感型の人間だ。
理屈を並べるのも好きだが、それは現代の癖。
実を言うと、大体のことは直感だけで何となくわかってしまうので、それを頼りに突っ走ってしまう。
現代ともなればオレはただの庶民なので、どうにか自分の直感に理由を付ける習慣ができてしまったが
直感で、彼女の身に宿る才能を理解してしまう。
武術の才能は武に生きたオレにとって、直感もクソもなく一目瞭然だが、それ以外も非常にデカイ才能を持つことが理解できる
武術に関しても、オレにすこし及ばないものの、普通に考えれば十分地上最強目指せる才能だ。
ただ、相手がオレと言う規格外であることと、正しい訓練を受けてないことだけ。
だから殺さない。
惜しいだろうが、そんな美しい原石を見たら、手放すことできなくなるのが人情というもんだ
俺は今魔物の王で、その人類族を虐殺しとるが
「てぃ!」
「バカ正直に突っ込んでどうする。しかも口から音が出ては、反応してくれと言っているようなもんだぞ?」
「じゃ反応するな!」
「ほれ、一々熱くなってはオレの思うツボだぞ。」
「指図するな!大人しく斬られて!きゃっ!!」
ちょっと調子に乗っているようなので、軽く転ばせておく
メグムはすぐ受身をとって立ち上がるが、目が真っ赤で今でも泣き出しそうな顔でこっちを睨んでいる
え、泣くのか?
「がぁぁぁぁ!!!」
と思ったら更にキレて、乙女が発してはいけない声を出しながら突っ込んでくる
適当に更に何度も転ばせてやると、今度はちょっぴり涙だして叫ぶようになる。
なんだその可愛い生物。
こっちがおちょくるとすぐに反応してくれて楽しい…ごほん、なんでもない
実は今、オレはあいつに武術の指導を仕込むつもりでやっている。
現に、彼女は叫ぶのをやめたりしないが、初心者のミスが目に見えるほど少なくなっている
最初の頃は1分間三回くらい転ばされてたものの、今は自分のスピードを運用してこっちの攻撃を避けるようになった
これはちょっと、キツくしてもいいだろう
「ギアを上げてくぞ。」
「え!」
間抜けな声を出してメグムは固まる。
それを見逃してやるほど優しくないので、頭を掴んで投げ出す
何度転んで辛うじて受け身を取ったメグムが、顔も真っ赤になっている
まぁ、そのまま自分の至らなさと甘さを自覚してくれれば多少は成長するだろう。
そして、彼女は急に泣くのも叫ぶのもやめて、静かにオレを観察しはじめた
ふむ、オレから技を盗もうとしているのか?
いいぞ、少しだけ見せてやろう。
そうと決めて、右手に無相混元気を流す
無相なだけに見えにくい混元気が陽炎のように周りの空気を歪め、そこに意図的に雑にして混元気を見えやすくする。
いきなり見えない混元気ではハードル高すぎるからな。
彼女が目を大きく開いたのを見て、腕を前にかざし、混元気というエネルギーの塊をぶっぱなす
「カメ○メ波か!!!」
そう叫んでメグムはすぐに横に飛び、攻撃を避ける
正確にいえばカ○ハメ波ではなく、どっちかというと元○玉……いや、それはどうでもいいか
大事なのは
「魔王様。ノリで屋敷を破壊しないでください。」
「……すまん。」
この村そのまま住むつもりなので、破壊してしまうと後で修復が大変だ。(ゴブリン達が)
奴らには悪いことしたな、と思っていると、メグムはその大きな目を細めて小さく何か呟いていた
何か掴みかけたかもしれないが、敵として待ってやるわけにもいかない
地面を蹴って一気に彼女を肉薄にして、その頭を掴んで投げ飛ばそうとするが
「たぁ!」
急にメグムの長剣が凄まじい勢いで逆袈裟で斬りつけてくる
まったく予備動作がなかったので、オレは驚いてすぐに力一杯で飛び上げ、どうにか斬られずにメグムの後ろに着地した
まさか、ガチ素人が、ここで無拍子でくると思わなかったのだ
無拍子とは、言わばノーモーションの技だ。
大体の人は攻撃する前に予備動作がある。
チンピラが拳を振りかぶって殴りにくるように、剣や槍、その手の武道は大体次の動きを悟らせるモーションがある
無拍子はそのモーションを失くし、相手の意表を付くための術だ。
「あーあ、いけると思ったのに。本当に化物なんだから。」
不機嫌そうにメグムが呟く。
その時、オレは彼女の剣が異様に光ってることに気づいた。
「この剣……」
「それ?何となくこうかな、と思って魔力を注いでみただけ。いや、あまり効果ないかもしれないから斬られてみ?」
いたずらっぽく笑うメグム。
でも、この剣に纏う輝きに、覚えがある。
まるで……
「魔王様!それは聖属性の魔力です!」
まるで、サリアが使った、あの巨大な剣のような、神々しい輝きだ。
名前:メグム
種族:人類種、人類族
レベル:14/-- 性別:♀(笑)
HP:326/502 MP:120/536 SP:105/365
筋力:100(+10) 耐久:36 敏捷:200
魔力:79 特殊:57 幸運:99(+1)
スキル
身体強化Lv3、豪運、天賦の才、自動マッピング、天眼、武術の才能(特大)、魔法の才能(特大)、限界突破、魔力付与(聖)Lv1
称号
神に愛されし者、テスト要員、異世界人、限界突破、全能の勇者、露出狂、百合ロリコン
装備
ブロンズソード(中古)、麻のワンピース、猫のスリッパ
魔力付与(聖):レベルに応じて、対象に聖属性の力を付与する。聖属性は総じて人類種に効き難く、魔物種に大きなダメージ補正がある。




