人類勇者メグムが語る4
次から戦いに進みます。実力差がありすぎてやりにくい。。。
ララを見る。小さく私の後ろに縮んでいる。
ゴブリンは弱いし、オークは遅いから、今までこうして守ってあげれた。
でもこいつだけはダメだ。
格が違う。
私一番高い速度でさえ負けている、ラスボス的な魔王様
庇いきれるわけがない。
「ベラ。」
「ここに。主よ。」
剣を向けながら隙を伺っているこっちを無視して、魔王が軽く後ろへ語りかける
すぐに金色の閃光が闇夜を切り裂くが如く、一瞬で魔王の隣へ移動した
金戦神虎。
魔物にそこまで詳しくない私でも、聞いたことがある
言わば速度と硬度特化、Bランクの魔物。
現に、その動きは天眼なしでは追えなかった。残影のような金色の閃光だけがやけに記憶に残った。
「あそこにいる兎の獣人を保護しろ。傷つくな。」
「御意。」
そう言って、金戦神虎はまだ金色の光と化して、私に突っ込んでくる
敵わないと知っていても、私がそのまま退くわけにも行かなかった
身体強化Lv2!
「させんよ!!!」
横から一薙ぎ、金戦神虎に効くかどうかわからないが、どうにか止めないと全力で放った一撃
それを、金戦神虎が避けるに値しないと言わんばかりに、そのまま頭で受ける
たったそれだけで、ブロンズソードが折れてしまった。
「うっ!」
「戦いの途中でよそ見とは、呑気なものだ。」
「っ!!!」
急に背中から寒気がして、振り返る前に頭を掴まれてしまった
空中で急加速の最中、私辛うじて理解できた
私は、魔王に投げられたのだと
どうやって背後をとったのか、今更考えても始まらない。
私は必死で冷静さを取り戻し、半ばに折れた剣を魔王に投げ捨て、空中で一回転して受身をとろうとするが
それでも衝撃を逸らしきれず、数メートル転んでようやく停まれた。
私の様子を見て、魔王はご満悦のようで、唇を歪めてみせた
……そうだ!ララ!
「ララ!!」
「メグムお姉ちゃん……」
ゆらりと立ち上がり、まずはララの安否を確認。
ララはあの金戦神虎の口に咥えられていて、その様子からは無傷だろう。
「ララを返せ!!!」
激昂して、金戦神虎に突っ込もうとしたが、目の前に過る寒気でつい足を止めた
地面に刺さったのは、一本新品のブロンズソード。
さっきそのまま突っ込めば、恐らくそれに貫かれたのだろうと思うと、今更ながらビビってしまう
「たわけ。武器もなしに人類族が金戦神虎に傷付けられるわけないだろうが。頭冷やせ。」
「魔王さま。彼女はまだまだレベルが低いですが、成長すれば脅威です。今の内に処理しておくべきかと。」
「知っている。」
っ……魔王の隣に寄り添う人類族が、さらっと怖いこと言う。
でも概ね正解。私のスキルは言わば成長チートなんだと思う。
今この村に足止めされているけど、大きな所に行けば、恐らくもっと成長ができたはず。
それこそ、武術の才能(特大)と魔法の才能(特大)で、目の前の魔王にさえ届くかもしれないほどの力を
でも、今は酷く弱い。
いや、ゴブリンやオークなら問題ないし、異世界転移された時間を見てそこそこじゃないかと思う
それでも目の前のやつはそれを遥かに上回る。
だから、私が魔王なら、私も今の内そのひ弱勇者を殺すだろう。
「だが必要ない。」
ん?
「こいつはどの道オレには届かん。それに惜しいだろうが、それだけの女を殺すのは。」
「左様でございますが……無理やり犯りますか」
「どうかな、まずは楽しんでおこうか。」
おい、物凄くいやな単語聞こえたんだけど
そのヤるって、殺るだよね?
ああ!でも死にたくねぇ!!!!!!
しかも後にちゃっかりと楽しむと付いているし!
ピンチ!
別の意味で大ピンチだ!!
「少女よ。一つ賭けをしよう。」
「へ?(゜Д゜)」
「このまま戦っては、あんまりにもこっちが有利なのでな、貴様にハンデをやろうと思う。」
「ハンデ……か?」
「そうだ。いじめは子供の教育に悪いしな。貴様、オレに一本取ってみろ。」
「誘拐犯がララ言うな!一本って?」
「そうだ。オレに一本取れたら、貴様とそこの兎獣人共々解放してやろう。」
え!マジ?
いや、でも、美味しすぎてちょっと裏があるんじゃ……
「本当だ。オレは人を騙すことをしても、嘘は言わん。」
「うわ、めっちゃ怪しそう……」
大体人を騙すんならそれはもう嘘つきと言ってもよくないか?
「受けなければそのまま貴様を叩きのめすまでだがな。どの道貴様に選択するだけの立場ではない。」
「わかった。受けよう。んで、私が負けたらどうなるの?」
「貴様が負けたら、オレの女になるっていいんじゃないか?」
「おい何どさくさ紛れて告ってんのか。」
「コク?何の話だかわからんが。受けなければ力ずくで手に入れるまでだ、大差ない。」
どうやら、私に選択する権力ないらしい。




