表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒソウ学級  作者: 小雪小雨
1/1

Twenty

春の桜が舞い散り冬より少し暖かくなっていたこの日に俺、赤坂秋季はここにいた。

間違いなく「私立言ノ葉高等学院」間違いない。

基本的に勉強はそこそこの俺が必死に勉強して、どうしても入りたかった高校。

あこがれのこの場所に今、学校の制服を着て立っているんだ!

俺は足早に掲示板に貼られてあるクラス名簿を見に行った、大きい紙がどでんと存在感を増して現れている。

あ行の俺は上のほうを凝視して自分の苗字を探した、1のくくりの横に自分の名前がどんと載ってあった、4組1番か・・・とただ単に思っているときにとある違和感を感じた。


1組が32人、2組が31人、3組が31人、4組が・・・たったの20人。


えっ?30人とかの人数の少なさはまだしも10人くらい差がある、ただ単に妙としか言いようが無かった。

3年間一緒のクラスの最初が20人とは・・・。

嫌な予感がしたが、急いで教室へ向かっていく。

階段の音と俺の緊張の鼓動が互いに鳴り響く、緊張でもあり、疑問もあり・・・期待もあり。

1組、2組、3組と教室を過ぎていく、騒ぎ声がざわざわと通り過ぎているだけでも感じてくる。

そしてやっと一番奥の4組へと到達したが・・・

なんだ???この静けさ。

人数の少なさに比例するように口数が少ない・・・いやそれどころじゃない、言葉を発していない。

おしゃべりとかは俺が来る前はあったかもしれなかったが口を開けている様子は無い。

みんな移動はせずに座って外の景色を見ているかぼーっとしているか本を読んでいるか机に伏せてるだけ、不快すぎて不気味だ。

先ほどまでの3クラスの騒がしさはなんだったのか・・・?

疑問が渦巻く中、明らかに見た事のある姿が後ろ側に一人、この姿は間違いない!

「おはよ、功」

中学校時代の友人の沖田功、人に優しいし皆が気づかないところでいろいろなことをやっている、縁の下の力持ちタイプと言えばいいのかな?。

「おはよう」

彼は俺に挨拶を返した後なにも言わなかった、その行動に不安が沸かざるを得ない。

どうやら20人の内最後の一人は俺だったらしい、扉近くの席へ座った俺はただ周りを見回すだけ、やっぱり寝てるか俯いてるか・・・全員が自分の席へきちんと座っているだけで異質しかなかった。

物音がしたのは体感10分後、実際は3分後のこと。

長い髪の女の人が俺らを見回し、話し出した。

「入学おめでとうございます!今日から言ノ葉高校の一員です、これから入学式が第一体育館で始まりますので移動を開始してください」

彼女はとても元気な声とまぶしい笑顔でクラスに光を与えていく。

だが、ほぼ真逆に生徒の顔は相変わらず暗い、みんなそそくさと教室を出て行く。

俺は流れに遅れないように教室を後にした。


入学式が終わった放課後、俺の最初の不安は少し溶けていた。

多分初めてで緊張していたのだろう、会話が少しづつ見え始めていた。

もちろん功との会話もテンポがよくなってきた、だけれど、それだけじゃない!

「ん?あれって・・・」

とある一人の女子生徒を見つめた、こいつも明らかに知り合いだ。

「ん?あーー!!!!し、秋季いつの間にここに!」

そりゃ同じ生徒だし当たり前だろ・・・。

「しかも功もいんじゃん!中学一緒の人多くない!?」

と、いう感じですごい今の状況に驚いているのはもう一人の同じ中学校だった奴、樹愛華、気が強くちょっとしたことではくじけないが、少々強がっている気がする奴だ。

「って・・・愛華・・・気付かなかったの?」

呆れ気味の功が愛華に問う。

「似てるかと思ったら知り合いだったっていうパターン」

と、頬を膨らませて斜めに床を眼球に映した。

一クラスに同じ中学の奴が3人、親近感があるような無いような・・・。

「けれどなぁ・・・」

俺の呟きに愛華はただ一目ぼれでもしたのー?と顔をのぞいてくる、いやいやと手をふりこの状況を見た。

会話があるにしても静か、ていうか17人は多分お互いの事を知らないのはなぜだろうか。

「このクラスが地味におかしいとは思わないか?他のクラスは30人くらい、このクラス20人、ここまで人数が違うとなんか疎開感を感じるんだよなー」

「長々と・・・まあ、確かに」

功が肯定する、ずっとこのクラスが20人って所も気になってるしこの会話の少なさ、まさか大変なことが隠れているのでは・・・?

「でも、秋季ならこのクラスをどうにかできるでしょ?」

愛華が言う。

「どうにか・・・おう、多分な」

中学の活躍とかを見て愛華は行ってるんだろう、確かに俺が何とかしなきゃなって感じがする、ていうか俺が何とかしないと。

そのためには・・・。

「明日クラス全員に挨拶してくるかな、それぞれがどういう奴なのか感じたいし・・・」

「さっすがー!秋季やるよねー」

「えっ、挨拶・・・?秋季僕も一緒に行っていいよね・・・?」

というような同じ中学校だった奴で話す会話、クラスで一番目立ってる。

そもそも帰宅する奴が多いから、今のクラスは8人くらいしかいない。

俺、このクラスを卒業式の日には皆笑顔なクラスにしてやるとすっごい考えてる。

それ考えたのはたった今だけどな、でも、暗い顔よりはいいだろ?

明日、俺と功で皆に挨拶をしてクラス全員の名前くらいは覚えておこう、たった20人だし。

と、いう思いを胸に教室を出て行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ